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探偵そばくん2~第1のナゾ完結編~

↑前作はこちらから

「さかなのつかみとりをせよ、って書いてあるけど、さすがに魚の掴み取りに本当に行くってことじゃないよね」ハルは自信がないのか小声でそばくんに聞いた。

 そばくんは、うん、と頭を左右に揺らしながら答えた。何かを考えている時のそばくんに良く出る癖だ。揺らしているのは、頭かも知れないし、時には体ごと揺れている時もある。

「こういう時はナゾ全体をしっかり見てみよう。ハルくん」そばくんはイスをテーブルに近づけ、ハルくんはそばくんにナゾがしっかりと見えるように厚紙をテーブルに置き直した。

 厚紙に書かれているのは2つの池を模した水色の丸と答えを示す赤い丸、そして水色の丸の中にはひらがなが書かれてある魚のイラストがあった。左の池の問題と右の池の問題をそれぞれ解き、2つの答えを合わせると何かが見えてくる問題のようだった。

「そばくん、何か分かりそう?」

 ハルは厚紙をじっくり見ているそばくんをチラチラと見ている。

「そうだね…これはたぬき問題と同じだね」

 そばくんは厚紙を見ていた顔を上げて、まるではてなマークが頭の上に乗っているようなハルの表情を見た。そしてハルが持っていた紙とペンを使って説明し始めた。

「たぬき問題っていうのはね、こういうナゾの時に良く使われるんだけど、たぬきの絵がナゾの中に描かれていることがあるんだ。なぜかというと、たを抜くという指示に変換できるからなんだ」

 そばくんは紙にたぬきのイラストとひらがなで「たぬき」、そして右矢印の先にた・抜きと書いた。

「そして今回の問題、魚のつかみとりをせよというのは、魚のイラストのひらがなの中に『つ』か『み』があるからそれを消しなさいっていう指示に変換できるんだ」

 そばくんはそう言いながら厚紙の中にある文字を消していった。左の池にある消すべきひらがなは「み」、右の池は「つ」だった。そばくんは左の池を、ハルは右の池の文字を消していく。

「そばくん、何とかできたよ!ちょっと読んでみるね」

 ハルは厚紙を顔の近くまで持って行き、消し終えた文字を読み始めた。

「はりじへまのや?りのごしんきのた?そばくん、どうしよう、全く意味が分からない文章だよ!解き方が違ったのかなぁ」

 ハルは何か見ていないものがあるかも知れないと、厚紙の裏を見たり、厚紙が入っていた封筒の中身を出すように振ったりしていた。

 その間そばくんは頭を揺らして、再び考える姿勢になっている。

「もしかするとこの厚紙は2枚目で、1枚目の紙はどこかにあるのかな。それが何かしっかりしたヒントになるのかも」

 そばくんはハルが手に持っていた厚紙を再度テーブルの上に広げて、ナゾを解き直していた。すると、封筒をくまなくチェックしていたハルが封筒の内側を指差して、そばくん!封筒に何か書いてある!とそばくんを呼んだ。

 ハルが見つけたのは封筒の内側に書かれてあった矢印と数字が示すナゾのヒントのイラストだった。それを証拠に真ん中には池を示す水色の丸が描かれてある。

 そばくんは封筒をハルから貰い、開いて見やすくした後に最初に解いたナゾの厚紙と並べて置いた。ハルは椅子に座ってキョロキョロと周りを忙しなく見回している。

「そばくん、結局ナゾの解き方は合っていたの?そしてぼくが見つけたこの紙は何を示しているの?」ハルはペンで何かを書いているそばくんに向かって、手をパタパタさせながら聞いた。そばくんは書き上げるとハルにそれを見せた。

「じゃあ、ハルくん。この通りにちょっと読んでみて!」

 そばくんが書き上げていたのは初めに解いたナゾの厚紙と2枚目の紙を組み合わせたものだった。読み上げる順番が矢印で示されている。

「じゃあ読むね」

 ハルは手で順番をなぞり、答えを確認した後そばくんの顔を見つめた。ハルの目は真ん丸に開かれている。読み上げるその声はいつもより1トーンほど高かった。

「は・じ・ま・り・の・へ・や」

「り・ん・ご・の・き・の・し・た」

 読み終えたハルの目はキラキラしていた。そして、そばくんは無事にナゾを解き終えて椅子にまったりと座っていた。

「今回のナゾはつかみ取りがどういう役割なのかを解き明かし、しかも追加のヒントを探し出すことができないと解けないナゾだったんだ。本当に見つけてくれてありがとうね!ハルくん!」

 ハルはそばくんからのまっすぐなありがとうをもらって、えへへと頭を手で掻きながら笑った。

 そばくんたちは無事にナゾを解き明かし、ナゾの答えが示す場所に移動してみることにした。

「りんごの木がある、始まりの部屋。つまりAの部屋だよ。ハルくん、行ってみよう!」


続く


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