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え!? 同じものだったの?

ゴールデンウィーク、毎年変わりなく柑橘類は花の季節を迎えていますが、今年もコロナ禍となりました。元ボーイング737メカニック・天草の柑橘生産者の筒井洋充です。

ADDressの家守をスタートしましたが、最初の会員のお迎えはゴールデンウィーク後になりそうです。柑橘でのおもてなしが間にあうかどうか・・・?

写真には3種類の柑橘類が入っています。色が違うものは、すぐにわかるかと思いますが、同じ黄色、同じオレンジ色だとなかなか見分けがつかないです。種類も多く区別が難しい柑橘類ですが、さらに生産地によって呼び名が違うなんてものもあり、よりわかりにくくなっています。今日はそんな柑橘をご紹介します。

当園の主力「不知火」も実は・・・

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当園の生産の85%前後締める「不知火」、商品の説明など既に色々な場面で記載・お話していますが、これは有名な「デコポン」としても販売される品種です。
「デコポン」は熊本果実連の登録商標となっているので、生産や小売店が勝手使用できないものなんです。JAを通じて出荷され一定の基準を満足したものだけが「デコポン」の称号が与えられます。

なので、「不知火」と「デコポン」は同じというか、「デコポン」は「不知火」に含まれるものなんです。ですが、一方が登録商標であるため、生産者の通販、ポケマルや食べチョクなんかで購入できる「デコポン」はないんです。(はず・・)

さらに、「不知火」として販売されるものにも実は複数の品種があるんです。今回のテーマとは逆パターンで、違うのに同じものとして出回っています。
ここ天草でも「不知火」として、「デコポン」として出荷されるもの中には、オリジナルの品種「不知火」の他に、改良型のM16、そして熊本県で品種改良された「肥の豊」があります。他県でも改良されたものも存在します。

当園での栽培品種は、露地栽培では「肥の豊」、施設栽培では「不知火」となっています。

土佐文旦とパール柑って同じもの?

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ふぁおのお店でも一番人気(というか文旦ファンには熱烈な方多い)のパール柑、天草では他に「天草文旦」としても市場に出ています。

この「パール柑」は、「大橘」という品種だそうです。文旦の一種とされていますが、古くに中国からやってきたようでその来歴は不明とのこと。

この「大橘」、熊本には鹿児島経由で来たようです。その鹿児島では「サワーポメロ」との名で販売されています。

さらに3月のマガジンで色々と調べたところ、文旦界ではもっとも知名度がある(と思う)「土佐文旦」、これも実はその昔に鹿児島から伝わったもののようです。つまりその血筋は、「土佐分担」も「サワーポメロ」も「パール柑」も同じということのようです。

ジューシーオレンジってなに?

牡蠣と晩柑

当園でも数本ある「河内晩柑」、その名の通り柑橘類では遅く出回るものです。
(写真は、天草の岩牡蠣とセット販売した天草晩柑です)

天草では、「天草晩柑」と呼んで販売されていますが、もともと熊本市の西側 河内で発見された品種です。

熊本県内でも、他に「ジューシーオレンジ」と呼ばれてもいて、その名の通り果汁が多い品種です。このジューシーさから、「和製グレープフルーツ」を冠されたりもしています。

その他、愛媛の宇和島からは「宇和ゴールド」と呼ばれて販売されています。他にも違う呼び名はあるのでしょうか?

なぜ違うのか

他にも呼称が違うものはたくさんあると思いますが・・・

例えば、宮崎の「日向夏」、これは「ニューサマーオレンジ」とも呼ばれており、高知県では「小夏」とも呼ばれています。もともとは宮崎が発祥のようです。

栽培方法を工夫したり、時期をずらしたりといわゆるブランディングを行ったことにより同じ品種の柑橘類でも呼称が増えたのでしょう。結果知名度が上がらなかったものも色々のあるのではないでしょうか。
やはり、「デコポン」が成功例の一つかと思います。これは熊本以外のJA(中心)でも使用できるようにしたことで、ここまで拡がったのではないでしょうか。

これは柑橘類だけでなく、他の果物でも同じことが言えます。そして野菜も同じではないでしょうか。

逆に野菜では品種名はあまり登場せず、○○産きゅうりなどで販売されることが多いかと思います。きゅうりの品種を気にして買われることはあまりないのではないでしょうか? でも、きゅうりも多くの品種があります。

味は同じなの?

味については、同じではないです。仮に同じ産地のものでも味は異なります。気候や土壌、そして生産者のこだわりによっても変わります。

柑橘の生産を始めてから5シーズン目を終えます。毎年、味の傾向は変わっています。これは気候によるものが大きいと思います。そのため3シーズン目からは無駄な抵抗をやめて自然の力に任せるようにすることにしました。

最近は、SDGsなどもよく目にするようになっています。幸いにも災害にはあっていませんが、日々畑においては、年々の気候の違いを感じます。あと20年近く、ここ天草で「不知火」を栽培し続けることができるのか・・・そんな風に思うことが多々あります。花も咲き6シーズン目がどんどん進んでいますが、何か一つでも環境の配慮した取り組みをしていきたいと思います。

ぜひ、毎年同じ産地・生産者での味の変化を楽しんでみてください。


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