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【偏愛土木写真0020】通水100周年!ライトアップされた大河津分水路

 このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。第20回は新潟県燕市にある大河津分水路と堰のご紹介。書き手は新入部員の「たかてぃ」さん。



 お初にお目にかかります、新入部員たかてぃです。
 今回は日本を代表する土木遺産大河津分水路にて行われたイベントで夜に輝いた堰をご紹介します。その堰は新潟県燕市(旧分水町)の大河津分水路資料館近くにあります。


大河津分水路とは(概略)

 今では日本有数の米どころとして名高い「越後平野」。実は、大河津分水路ができるまでは「鳥も食わぬ」と評されるほど稲作に適さない土地でした。日本一の大河川・信濃川による広大な湿地帯が広がっていたためです。

 信濃川の河口は新潟市にありますが、その手前の燕市で一度日本海に接近します。そこで「信濃川の水の一部を海に排水しよう」という計画が江戸時代中期から存在していましたがなかなか実現せず… 明治に入りパナマ運河で有名な青山士によりようやく実現したのが、大河津分水路なのです!!

あの山を拓く ~大河津分水歴史動画~


 その大河津分水路も、今年(2022年)めでたく通水100周年を迎えます!

青山士の名言「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ」「人類ノ為メ國ノ為メ」が刻まれたモニュメント(2021.10.30撮影)
モニュメント前にて(2021.10.30)

つばめ桜まつり

 大河津分水路資料館付近は桜並木が続いており毎年多くの人が訪れます。毎年「つばめ桜まつり」としておいらん道中を模したイベントや、夜桜のライトアップが行われています。

土手沿いに続く桜並木(2022.4.16撮影)

 そして今年は大河津分水路通水100周年ということで、堰のライトアップも加わり、私もここぞとばかりに行ってきました。


堰のライトアップ

 前置きが長くなりましたが、ここからが本題!
 ライトアップされた旧可動堰・可動堰のご紹介です。

①旧可動堰

〈概要〉
設置年:1931年-2011年
規模:10門(現在は一部のみ保存)

昼間の旧可動堰(2021.10.30撮影)

 1922年の大河津分水路運用開始後、自在堰が設置されましたが河床洗堀により損傷。1931年に新たに旧可動堰が完成しました。10門設置され、2011年に運用終了、現在はそのうち3門が保存されています。

ライトアップされた旧可動堰(2022.4.16撮影)

 今回、ライトアップでは外側のフレーム部分が際立ち、昼間とは違う表情を見せてくれました。夜に輝く土木遺産、大変貴重です!


➁可動堰

〈概要〉
設置年:2011年-
堰長:293.1m
ゲート:10門(制水ゲート ラジアルゲート2門、調整ゲート ラジアルゲート4門・フラップゲート4門)

 旧可動堰の老朽化・機能向上のため2011年より順次稼働した可動堰。河川の堰としては珍しくラジアルゲートが採用され、大河津分水路も規模感を感じます。

 ライトアップでは、ラジアルゲートの回転棒が存在感を放っています。また、堰柱が一列に並ぶ姿も他では珍しく圧巻ですね!


 今回は「堰夜景」をご紹介しましたが、もちろん昼間の堰もおススメです!
 今回ご紹介した堰のライトアップは4月17日まででしたが、今年は大河津分水路通水100年のメモリアルイヤー!ほかにも数々のイベントが企画されています。皆さまも公式サイトのイベント表を見て足を運ばれてはいかがでしょうか。

 その際、燕市のマンホールカードとダムカードを貰うこともお忘れなく!

大河津分水路が描かれた燕市のマンホールカード(上)
大河津可動堰(下)

↓↓大河津分水 通水100周年記念サイト↓↓


文・写真:たかてぃ
全国各地で三脚を立て続けて早4年。大学で土木工学を学び土木の美しさを惚れこみ、カメラを購入。土木写真の撮影に勤しみ、得意分野は三脚を建立することによる土木夜景撮影。昼とは異なる土木構造物をカメラに収める。この春、大学を卒業し活動拠点は新潟へ。