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【偏愛土木写真0008】自然に受け入れられた法面

 このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。第8回は、熊本市から宮崎市まで九州山地を貫く国道219号の熊本県球磨村神瀬の球磨川沿いにある神瀬の法面(のりめん)です。

「法面」って?

 法面は、切土や盛土によって作られた人工斜面のことです。崩壊しないように安定した勾配で仕上げたり、それでも十分安全とならない場合は、ブロックを積んだり、法枠(のりわく)を施したりして人工物で保護してあります。

「この法面は自然に受け入れられてるね」

 昨年(令和2年)7月に発生した球磨川沿いの被災状況を、同年11月土木写真部の部活で記録していました。

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 色づく街路樹に目を奪われながら、国道を走らせていると…

 先輩技術者が「この法面は自然に受け入れられてるね」とひとこと急遽その法面を撮影することに。

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 名も無きこの法面がいつ施工されたのか調べていませんが、長い年月をかけて木が生え苔むし、徐々に自然と同化したのだと思います。今後この法面はさらに「自然」に近づくのでしょう。

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土木写真の使命と価値

 人の営みがあれば、そこに土木の痕跡が必ずあります。その土木構造物には必ず作られたときの「使命」があり、人の暮らしや経済を支え、災害から命を守ってきた「価値」があります。
 先人たちが築いてきた土木構造物を記録し、その様子を後世に遺し伝えていくことが、土木写真の使命であり、価値であると私は考えています。

国道219号神瀬の法面

 瀬戸石ダムから国道219号を人吉方面に3.4kmほど行った辺りで撮影しました。国道219号は、2020年(令和2年)7月豪雨災害の影響で球磨川沿いの一部区間で通行規制が発生しています。道路規制情報に注意しながらドライブをお楽しみください。

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写真・文:松永 昭吾(マツ)土木写真部福岡支部長
土木酒場大将。51歳。酒と本をこよなく愛する土木技術者。「土木は優しさをかたちにする仕事」がモットー。土木学会土木図書館委員会委員・土木学会誌編集委員・地震工学委員会委員・fromDOBOKU編集長。土木偉人かるた部西部支部長。マンホール探検隊九州支部長。(株)インフラ・ラボ代表取締役、(株)サザンテック執行役員上席技師長。工学博士・技術士・防災士。