サッカーとサイコエデュケーション
久しぶりの投稿です。
大学は無事二年生が終了し来年が最後の年になります。
慣れ親しんだサウサンプトンもあと一年だと思うと寂しい気持ちになったりもしません。
ただ夏のサウサンプトン、というかイギリスはもはや肌寒いくらいなので暑すぎる日本の状況をみてイギリスいいとこあるじゃんと思ったりもしてます。
今回はサイコエデュケーションについて書いていこうと思います。
もともとこの言葉はHealth Psychologyから来たものなのですが、Sport Psychologyでも使っている言葉なのでそのまま自分なりの解釈で使っています。
このサイコエデュケーション(Psychoeducation)は見てもらったらわかるように、
Psychology(心理学) + Education(教育)
を組み合わせた造語です。
このnoteでの定義は、
そのスポーツで理想的なパフォーマンスや行動を達成できるように様々な方法を用いて心理面での理解を深める。
とします。
実際にイングランドサッカー協会も2002年からより良いサッカー選手と指導者を育てるために”Psychology for Football”計画というものを始動させています。チーム単位でのワークショップやFAでの指導者講習会でサイコエデュケーションが行われています。
サイコエデュケーションの目的は挙げだしたらきりがないかもしれません。
・誤解されている心理学的考えや固定観念を減らす。
・メンタルスキルへのアドヒアランスを高める。
・信頼関係、相互理解を深める。
・心理的要素がどうパフォーマンスに影響するかを理解する。
・プロの世界に入るための心理的準備。
・サポートの方法。選手との接し方。
などです。きりありました。
これを様々な方法を使って達成します。
クラスルームセッション
イングランドU16はサイコエデュケーションの一つとして、各ポジションごとのグループに分かれ試合の分析をするセッションなどをしたりします。こうすることでお互いのサッカー観などを知ることができますし、戦術理解度も上がります。
プレシーズンにチームビルディングとしてサイコエデュケーションをするのはよく見かけます。
宿題形式
宿題と書くとちょっと嫌な感じがしますが、サッカーノートをつくるなどの方法です。
サッカーノートは選手のSelf-Regulation能力を高めるとも考えられているので自分としてはとてもいい方法だと思います。
講演
ピッチで練習
面談
オンラインセミナー
本
などなど。
このサイコエデュケーションは選手達だけに行うというものでなく、指導者や選手の両親に対しても行うべきものです。むしろこっちの方が大事な気がします。
サイコエデュケーションの目的の1つに相互理解があります。
これは選手達がお互いのことを理解することももちろんですが、選手と指導者、選手と両親、指導者と両親の相互理解も含まれます。
FAでは心理面での指導者講習会があります。指導者ライセンスでも心理面の重要性は説明されます。
ちょっとチームは忘れてしまったのですが、あるチームでは選手の両親と面談をおこなったり、選手との関わり方などのワークショップを開いたりすることもあるそうです。いくら選手が上手くても両親に問題がある場合はその選手を放出することもあるとも。
今年からブライトンの監督に就任したGraham Potterさん(スウェーデン4部のチームを5年で1部にあげた方)もインタビューで、「大事なことは選手達を知ることだ」と話していました。ちなみにGrahamさんは大学院でリーダーシップとエモーショナルインテリジェンスのマスターを取得しています。
相互理解が深まることによって集団凝縮性も高まりパフォーマンスも上がります。集団凝縮性については前に書いたのでそっちを見ていただけたら嬉しいです。
これだけでも相互理解がとても大切だということがわかると思います。
もう1つサイコエデュケーションの目的で固定概念を減らすというものがあります。
当たり前ですが指導者や両親が正しい知識をもっていて、それを基に選手にアプローチができれば選手は自然と成長します。
サウサンプトンやディナモザグレブのアカデミーの人と話した時も
「選手を人として成長させる」
ということをとても強調していました。
人として成長させるということはもちろんサッカーだけをおしえればいいと言う訳ではないです。
選手の心理面でのアプローチを間違えると、選手としてだけではなく人としてその後の人生を影響を与えてしまうかもしれないと言っても過言ではないと思います。
罵詈雑言を浴びせるとその選手を強くなるなんてことは絶対にありません。
なにも知識がないと人は経験に依存するようになります。学びをやめると自分の知っている知識だけで偏見を作り、自分とは違う考えを受け入れないようになります。
サイコエデュケーションに限らないですが、そういった学びの場を指導者や選手の両親と一緒に増やしていけたらいいなと思います。
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