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ARTとWell-beingの研究記事 その4:お医者さん、もっと遊んだほうがいいんじゃない?

毎度。
Art Education Research UMUMの田中令です。

2019年の秋から若手医療チーム マチマニアさんと「アートとWell-being」の研究会「UMUMアートラボ ART×Well-being」をスタートしました。

Well-beingとは、諸説ありますが
直訳すると「良くいること」=「精神の健康」を意味します。
近年Well-beingの考え方がサービスや政策において注目されている一方
現状ではWell-beingに明確な定義はありません。

この研究会の運営メンバーは
医師をはじめ、研究者、医療系会社員、福祉関係者など
様々なプロフェッショナルが集まっています。
ここではその個性を生かし
メンバーのそれぞれの視点&専門分野から研究記事を綴っています◎
これまで公開した3つの記事も、非常に個性豊かで多角的なものになっています。ぜひ読んでみてください。

これまでの記事はこちら

ARTとWell-beingの研究記事 その1
「UMUMアートラボ ART×Well-being」 開催レポート


ARTとWell-beingの研究記事 その2
アートと健康の接点とは?5つの分類から知るArt in Healthの関係性


ARTとWell-beingの研究記事 その3
自己認識の探究について

そして!
第4回の筆者は医師の鮫島さんです。

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こんにちは!
マチマニアメンバーの鮫島です。

私はふだん都内の病院で小児科医をしていて、こどもたちと遊んだり、話したり、ときどき病気を治すお手伝いをしたりする毎日を過ごしています。
こどもたちは本当にひとそれぞれで、その子らしさがいつもとても面白いです。

UMUMとマチマニアとの共同研究ART×Well-beingのお話しを連載中ですが、今回はちょっと雰囲気が変わって、ARTと医療のお話しです。
メインは医療関係者むけとして書いていますが、医療者でない方もへえ~と思って読んでいただけると嬉しいです。

1.マチマニアについて 

私たちマチマニアは自分たちのやりたいことを実現するプラットホームとして存在している団体です。足りないところやわからないところを一緒に考えてくれる仲間として集まっています。

UMUMはじめ、全くほかのバックグラウンドを持つ団体とコラボレーションして活動ができるのもとてもありがたいことで、仲間として貴重な存在です。


2.アートをつかってひとを理解する 

医療関係者の方にとってもそうでない方にとっても、アートと医療はなかなか結び付けにくいものではないでしょうか。おそらく多くの医療者(特に医師)はアートふくめ医学以外のことに触れる機会もあまりないと思います。

そもそも日本人は個性を表現するのが苦手で、自分の考えを言語化するのが不得意と言われています。一方で相手(医療者にとっては患者さん)を理解するにあたって、彼らの発する表現から感情や考えを想像し、いかに寄り添うかは重要なことでしょう。そのためにはまず自分自身の感情や考えを表現することに慣れ、多様性を理解していくことが第一歩になると個人的には考えています。

教育やなどにおいても芸術をつかったアプローチが自己理解を促進することや他者の多様性の気づきにつながる可能性はこれまでも様々な研究者から報告されています。

最近はアートと医療の結びつきやwell-beingとの関係性について注目されているようです。アート表現を利用したヘルスケアプログラムについてアメリカやイギリスではさまざまな取り組みが行われています。それについてはさやかちゃんの記事にいっぱい書いてくれているのでぜひご覧ください。

医師たちが身を置く世界はあまりにもわかりにくく、専門的で、常識を学ぶチャンスが不十分に大人になってしまったと思うのです。医療関係者でない方たちからしたら、医者ってすごく偉そうにみえるでしょ?
ほんとは私たちはいつも不安で仕方ないし、仕事がつらいときもあるんですよ。

仕事がつらいってどんなときに思うのでしょうね。
自分の考えを理解してもらえないとき?
患者さんやクライアントや上司の気持ちや考えを理解できないとき?

自分の考えを周りに理解してもらえないのは自分の気持ちを表現できていないからなのかもしれないですよね。自分の内面をもっと理解することができたら、もっと周りにわかってもらえるのかも。

相手の気持ちや考えを理解できないなら、表現の引き出し方を学んだり、彼らがひっそりと出している表現の受け止め方を考えたりすることで、何か変わるかもしれません。


3.課外活動のすすめ 

私たち医療者はたぶん仕事が大好きで、一生懸命やりたいと思っているのでしょう。もっと楽しんで日々を過ごすヒントのひとつがアートかなあと。

ついでにファシリテーションの勉強や多職種のひとたちとの交流もできちゃいます。

ぜひ皆さんに何にでも興味をもって、何でもやってみてほしいです!チャンスはたくさんあるので、あとは、やるだけ。

私がよく後輩たちへお伝えしていることに一つに、すごい人が言うすごいものは簡単に見つけられるけれど、思ってもみないところにあるすごいものを探しに行ってほしい、ということがあります。
ぜひ一緒にすごいもの探し、やりましょう!


参考文献
・メディア理解としての芸術と芸術教育 感性の情報処理とリテラシー. 荷方邦夫. The Science of Reading, Vol. 60, No.1 (2018)


<次回の研究会開催のお知らせ>

第2回UMUMアートラボ ART×Well-being開催決定!!
日時:12月8日(日)9:00~12:00
会場:美学校(〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-20 )
対象:医療福祉従事者、医療従事者
「Well-being」に興味のある方
「健康」と「アート」にピンと来た方
✴︎アート、医療関係以外の方も、テーマが気になる方は大歓迎です!
詳細、お申し込みはこちらから
https://umumlab-aw.peatix.com/

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【UMUMのお知らせ】
立川、池袋など様々な場所で
こどものアトリエ、おとなのアトリエ
研究会や、美術教育研究会を開催しています◎
企画詳細&お申し込みはこちら
https://umum.peatix.com/
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<UMUMオーダー 随時受付中!>
保育園、幼稚園、学童クラブ、福祉施設、企業、学校など
オーダーをもとに企画をつくり
UMUMがおじゃまして美術表現の場をひらく「UMUMオーダー」。
こどもたちの造形、絵画表現活動はもちろん
研究会、託児企画、企業研修、skype講座など
オーダーメイドでつくります。
お問い合わせはhello✴︎umum.artまで。
(✴︎を@にご変更ください)
一緒に表現の場をつくりましょう!


いつも長文を読んでいただきありがとうございます! サポートは、企画のための画材&情報収集に活用させていただきます。