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17歳の読書感想文「風と共に去りぬ」

本箱を片付けていたら、高校時代の文集が見つかり、私の読書感想文が掲載されていました!「〖風と共に去りぬ〗を読んで」です。読んだことは覚えていますが、感想文を書いたことはすっかり忘れていました。
そういえば当時、レットとアシュレー、どちらがタイプか友達と激論を交わしたこともありましたね~
以下がその感想文です。

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 題だけからして、ハッピイエンドのつまらない小説のように感じたが、全巻読んでみると終わりの方など全くすばらしく、M・ミッチェル女史を尊敬せずにはいられなかった。

 戦争によって人間の運命が少なからず回転させられることは常識であるが、この主人公スカーレットも南北戦争に生涯をあやつられた人間としてその例外ではなかった。なぜならこの戦争がなかったら彼女は不本意ながらも淑女であることを一生続けたに違いなかったから。
 勝ち気でわがままな娘スカーレット、その恋人で全くの紳士であるアシュレ、その妻で聖母のごとき精神をもったメラニー、スカーレットを最も愛し彼女の第三の夫となったレット、この四人が南北戦争の中を、その後の混乱時代をいかに生きたかが、この小説のあらすじである。

 スカーレットは、性質が性質なのでハラハラさせられるような人生を送る。
 最初の夫は戦死し、戦争の混乱の中を彼女はあくどい方法で事業を経営し、しかもその間にお金のみを目的に妹の婚約者と結婚してしまう。この辺の彼女は本当に悪女でいくらののしっても足りないくらいだ。淑女としての彼女は全く影をひそめる。

 敗戦。それとともにバックに北軍を持つ黒人たちは各地で横暴を極め、
それにはむかった南部人は死刑という有様。このなかで第二の夫は命を落とす。
 ここで変に思ったのは南北戦争につきものの奴隷解放である。歴史で習ったとおり結果としては良いことであったには違いないが、その目的は北軍が南部の黒人を自軍に入れることであり、戦後の彼らに対するやり方は、むしろ南部人のそれより残酷ではなかっただろうか。黒人自体主人のもとを離れたがらず、急に離れても生活に困るものが大部分だったのだから。

 それはともかく夫を失ったスカーレットはレットと結婚する。しかし彼女は少女時代からの恋人アシュレを思いきれず、ついにレットの彼女に対する永遠の愛も終わりを告げる。
 こんなことがあってもいいものだろうか。レットはあんなに彼女を愛していたのに。
 彼の回想のようなスカーレットへの告白の部分を読んで、言いようもなく彼が気の毒に思われた。

 最後に四人の人間について考えてみると、私自身スカーレット的なところもあるしメラニー的なところもある。しかしメラニーのような徹底的な聖女にはなれないと思う。
 レットとアシュレ。レットは道徳的には堕落した男だが、彼の他人の思惑を気にしない言動、深い愛は素晴らしく、アシュレの"紳士"などその比ではないように思われた。

 一回目の読みでは感情が先走って、筋だけにとらわれてしまった。二、三年してからもう一度読んで見ようと思う。


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とは書いてありますが、読み直しはしなかったですね~
今は映画の印象があまりに強いですね。しかもこの映画は南部を美化し
奴隷制度の残酷さを無視している、と問題視されたこともあります。
物語だけを読んだ17歳のわたしは、そこまで考えが及ばなかったのでしょう。

いろいろな背景も無視せず、いろいろな角度から見なければならない、
そのうえでなお、物語自体は素晴らしい、と今でも思います。
スカーレットの最後のセリフは感動的です。

Tomorrow  is  another day!         明日に思いを託して

               
                おわり

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