映画鑑賞日記 2023.5

5月は原神にはまっていたのでぼちぼち…

■ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード★

想像つく?サミュエル・L・ジャクソンとライアン・レイノルズがバディを組んでるコメディ映画で一番面白いのがライアンでもサミュエルでもなくその嫁だってこと…。嫁がくそでっけえ声で騒ぐたびにその勢いで笑っちゃうし、すげえ雑にライアンレイノルズが吹き飛ばされるし、やってることがでんぢゃらすじーさんとかボーボボとかに近くてとにかくこれはかなりインターネットの面白センスだと思う。とはいえ、「本当の親子のあり方」ということをサミュエルとモーガンふたりからの否定/肯定で対比する構成はすばらしく美しい。まあこの美しい構成を全うするためにライアンを文字通りサミュエルの息子にしてしまうのは力業が極まっていて笑ってしまうが…

■ドアロック

あらすじを見る限りはっきりストーカーという人間怖い系のホラーだな、韓国発だし結構リアルな社会派かも、という風に想像していたのですがこれが全く違った。まずストーカーが現実離れしすぎており、冒頭五分でクロロホルムを用いて眠らせた主人公に全裸で抱き着いているという奇行を見せつけてくる。ストーカーの枠で括ってはいけないトンデモエキセントリック変態に先制パンチをかまされる形だ。その後は風呂に入ってみたりベッドの下に潜んでみたり、ムーブが完全にネウロの殺人犯なんだよな。でも一般通過するいやな男性(この作品に登場する男性は悉くカスである)のリアリティラインは結構高いくて最悪で。ナンバーロックって運がよきゃ知らん奴でも開錠可能なのになんで普通のアパートの鍵として普及してんの?イカれてない?そういう韓国の問題?は抉り出せているのか?

■トレーニング・デイ

悪徳警官のデンゼル・ワシントンと善良新人警官のイーサン・ホーク、という私の全く知らない役柄の二人に困惑する映画だった。あまりにも屈強なワルが大量に登場するので無理に飲み込まされてしまうのだが、イーサン・ホークは線の細いひよっこでは全然なく、かなり顔の険しい、西部劇ガンマンが似合う男性である。BLアイの持ち主がどんな屈強な受けちゃんもはかないお花のような存在に認識してしまうのに似ている(似ていない)。
デンゼル演じるアロンゾは本当にカスで、カスと見せかけて実は計算ずくの正義の切れ者というわけ、でもなくやっぱりカスなのだが、それでも不思議と「この人に認められたい」みたいな欲求をかきたてる。マフィアのもとから命からがら逃げだし、問い詰めに行ったはずだというのに「捜査官として認めるぜ」と微笑まれた瞬間に「そういうテストだったってことでいいかも」と思ってしまった。

スーパーマリオブラザーズ ザ・ムービー★

すっごく楽しかった~!完全にマリオが生まれた80年代に青春を抱える人たちを狙い撃ちにした思い出話であって、これまでのマリオゲームの集大成でもあって。襲い来る「あれじゃん」「これ知ってる」「それやったわ!」の奔流に押し流されてず~っと楽しかった。マリオ・ルイージ・ドンキー・ピーチといったキャラクターたちについてもみんな少しだけ掘り下げられてて新しい一面も垣間見える。クッパ様の歌声が吹き替えだと完全に玉置浩二だったんですけど、あれも時代を合わせての演技なんですかね?(チャーミングすぎる悪役だ)ところで例の虚無主義の星の子ですが、まあ言うてぺパマリとかでもあのシュールさってあったし…と思いスルーしていたのですけど、原作ゲームでは全然あんなんじゃないんですね。なんなんだお前。

■暗数殺人

韓国の実話モデルのクライムサスペンス。暗くてじっとりした手触りはやっぱり韓国映画が上手ですね。こんなんばっかり見てるせいで韓国映画の自国の美しい部分を撮る気のなさというか、薄汚れた街並みやさびれた田舎をありのままに描くばっかりの印象になっている。(よくない)
実話ベースの話は前回「殺人の追憶」も観ましたが、一番怖いのは実話の顛末部分なんですよね。暗数殺人でも、殺人鬼が捜査を搔きまわしてその信ぴょう性を落とすことで無罪を勝ち取ろうと企む中捜査官が小さなヒントから証拠をつかみ、最後には実刑を勝ち取ることができたというのに、現実では懲役刑を嫌って犯人は自殺してしまっているのだという。現実がフィクションよりもドラマティックで残酷だ。
犯人役の顔がやけに整っているにもかかわらず、怒鳴る顔の迫力や次に何をするかわからない緊張感が圧倒的ですごくよかった。別ドラマではしっかりイケメン役をやっているらしい。

■ザ・ディープハウス

湖の底に沈んだ民家をダイビングで探索する、というロケーションがまず素晴らしいな…と思った。薄暗いし、身動きも取りづらいし、その上焦れば焦るほどボンベの空気を消費してしまって文字通り寿命が縮む。地上ではありえないゆらゆらとした動きで魚だとか家具だとかそうでないもの(…)が近寄ってくるので、一度恐怖意識のスイッチが入ってしまうともう何もかもが恐ろしい影に見えて、精神力をひたすらに削られる。エンディングも超意地悪ですごくよかった。ボンベもカメラも振り捨てて逃げ出そうと必死で水面にもがき泳ぐ主人公を心から応援してしまった分、ラストシーンの水面の映像でちょっと待っちゃうんですよね、出てくるのを期待して見つめてしまうというか。穏やかな湖面が絶望の証に豹変した瞬間の切れ味が鋭すぎて、「あえてこのシーンを入れよう」って思った監督におびえた。

■オーシャンズ8★

カッケー女を無限に撮る!という意思のみですべてのシーンが生成されている。とにかくカッケー女優を大量に集めて大量にお着換えしており、すげえ柄のジャケットや超すげえ柄のドレスや服を見ているだけでも飽きることはない。なお、制作陣が一番楽しんでいるので、特典映像のインタビューで「ケイト・ブランシェットは36回衣装を変えた」と熱弁していて笑ってしまう。一番好きなのはアン・ハサウェイ演じるダフネで、「友達が少なくてさみしいし、なんだか楽しそうだから」という理由で意味もなく盗難計画に乗っかってしまうチャーミングなねじの外れっぷりが完璧にはまっている。迫真のゲロも最高だぜ。

■この子は邪悪

ネットで面白いという声があったので見たのですが、ギャラの8割が玉木宏のギャラなのか?というひどさだったな。
眼にフォーカスした撮り方は不気味で嫌いじゃないんだけど、セリフがとにかくクソ。セリフのクソさに対して玉木宏はよく頑張っていたと思う。
余談であるが、視聴開始時に「玉置浩二って『来る』のお父さん役(妻夫木聡)だっけ?」という二重のそいつじゃないボケをかましました。

■犬神家の一族(2023年版)

大竹しのぶってすごい女優さんなんだなあ~と思いました。声を張り上げるでもなく圧力を醸し出し、動揺をかすかに見せる演技も完璧、押し殺していた感情をこらえ切れずにスケキヨを責める声音、ぜんぶすごかった。おそらく、結末の解釈は原作からかなりアレンジされており、小林靖子好みのものになっていると思うんですが、私は嫌いではないです。往年の横溝ファンの意見が聞きたいところかも。

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