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【商品の仕入れ基準】鮮魚部 三好編

全国各地から仕入れたこだわりの銘品を揃えるフレンドフーズには、プロフェッショナルな目利きができるスタッフが大勢います。そんなスタッフたちの商品の仕入れ基準をお届けしたら、もっと買い物が愉しんでいただけるのでは? そう考え、スタッフ・木本が取材してみました。

今回は鮮魚部・部長の三好編です。

「長くいるつもりはありませんよ」

不思議なめぐり合わせだなと思う。

美容師の見習いを1年ほどでやめ、アルバイト生活を送っていた三好。
もう一度美容師の世界に戻りたい。一念発起し、専門学校に通う費用を稼ぐべく、偶然出逢ったのがフレンドフーズだった。

入社面接で、当時の鮮魚部長に漏らした本音。「長くいるつもりはありませんよ」。

どこまで正直なのだろうか。

そんな男が、もう20年近くも鮮魚部で働いている。しかも、今では部長として。深掘りせずにはいられなかった。

マグロしか食べられなかった

ウソみたいな本当の話だが、三好は元々魚嫌い。唯一食べられたのはマグロのみ。実は元々は青果部に応募したのだが、鮮魚部長に気に入られ、鮮魚部に配属された。

見習いとして魚の捌き方などを教わるかたわら、さまざまな魚を食べさせてもらえる機会があったようだ。先輩のすすめる魚は、どれも舌鼓を打つほどのおいしさ。三好は次第に、魚に興味をもつようになっていった。

出来ない悔しさ

フレンドフーズの鮮魚部が提供する商品の味は、魚自体の良し悪しだけで決まるわけではない。

たとえば、刺身。断面の切り口が良くないと、どれだけ鮮度を保った魚でもおいしくはならない。

旬の魚は、捌き方などを覚えても、次に出逢うのは1年後。また、一からのスタートとなる。なかなか身につかない技術に、もどかしさを感じることもあったという。

自分の指先代わりともいえる包丁の研ぎ方も、洗練させていかねばならない。あらゆるスキルの習得に四苦八苦しつつも、それは魚の奥深さを知ることになり、ひいては魚へのリスペクトにつながっていった。

「二度と買わない」

仕事は厳しいながらも、環境に恵まれた三好。入社後、3年ほど経っただろうか。魚の調理にも少しずつ慣れ、自信が付きはじめた頃、鱧(はも)をお客様に提供する機会があった。

満を持して食べていただいたものの、手厳しい言葉がかえってきた。「二度と買わない」。どうやら、鱧の骨の処理が甘かったらしい。悔しかった。

「お客様はあらゆる面で自分を成長させてくれる存在」と三好は言う。初心に立ち返らせていただいたり、魚に詳しい方からはニッチな情報を教えていただいたり。お客様も三好に積極的に話しかける。そのコミュニケーション力は、美容師見習いの頃に身につけたスキルが生かされているのだろう。

4代目

初代、2代目、3代目と歴代の部長のもと研鑽を積んできた三好も、つい先日部長になった。「鮮度への徹底的なこだわり」と「季節を先取りした売場」。この2点を、自分のカラーとして打ち出していきたいと三好は言う。

まずは、初代部長が取り組んでいた若狭湾からの産地直送を復活させることに。ガソリン代が上がったり、コロナの影響で京都での買い手が減っていたりする逆風のなか、三好は何度も相手方に連絡を入れた。

「若狭ぐじに代表される小浜の新鮮な魚の産地直送を復活させたい」。

念願叶い、先日運んできてもらえたらしい。これから月に数回、産地直送の魚が売場に並ぶとのことだ。

また、京都の卸売市場からも魚を仕入れている。そこでも、鮮度にこだわった魚の買い付けに余念がない。サイズ感だったり、脂のノリだったり、自分と同じボーダーラインで目利きができる仲買人(※)と信頼関係を構築し、魚を仕入れている。

季節を先取りした売場は、これからのお楽しみ。

※仲買人…卸売人からセリで生鮮品を買い取り、市場内の店舗で小売店や料理店に販売する人

お客さまに正直

ここでもう一つ、三好のカラーを紹介したい。

食感を大切にしたり、甘みを重視したりと、お客様の好みは十人十色。どれだけ鮮度の良い魚でも、口に入れるタイミングによって満足度は異なる。

「好みに合わせたベストなタイミングで商品を提供したい」との想いから、お客様によっては敢えておすすめしないこともあるそうだ。

入社以来、20年もの付き合いのあるお客様もいる。売上を度外視してまでお客様に正直であり続ける姿は、実に三好らしい。入社面接で言った「長くいるつもりはありません」なんて、どこかへ消えてしまったようだ。

最後に、魚に興味がある方とそうでない方にもご連絡。

ただいま、鮮魚部では一緒に働く仲間を募集している。もう時効だが、三好は見習いの頃に大間の本マグロや幻のケイジなど、高級料理店やホテルでしか食べられないような食材も先輩に食べさせてもらっていたそうだ。会社に内緒で。これから入社される方は、三好と同じ経験ができるかも…ね。

インタビュー相手:
鮮魚部 部長 三好勝博(みよし かつひろ)

==
文:フロア部・木本将也


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