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大好きな君へ

私、もう君とは会えない。
最初に言ったでしょう?
このままの関係だったら、この扱いのままだったら私は傷つく。
でももしこの関係がセフレだったら私は傷つかない。この扱いが妥当だと思えるから。でも最近度を超えてしまったと思う。私たちの距離が近くなりすぎて、まるで恋人みたいになってきちゃったと思う。私は君が嫌いで別れたわけじゃなくて、この先自分が傷つくのが怖くて別れたんだよね。将来も一緒に考えるとかじゃないなら本当に本気で好きになってしまったら別れることがもっと辛いと思ったから別れたんだよね。でも今こんなにも仲良くなってしまって、わがままになってしまってもっと知りたい、もっと欲しい、もっと会いたいって思うようになってしまって、これはもうセフレとかじゃないんじゃないかなって悩んでた。

私、ひとつあなたに嘘をついてた。この嘘を知ってしまったら、私のことを嫌いになるかもしれないけど、それでもいい?
私は君の名前を呼んだことが一度もないけれど、それは君の名前がお父さんの名前と同じだからっていう理由だけじゃなくて名前を呼んだらいつか来るお別れの時がもっと辛くなるんじゃないかなって思ったからなの。名前を呼ぶって特別な行為だと思うから。
君といる時間が温かくて楽しくて、君といる時間が心地よすぎて、こんなにも回数を重ねてしまった。
私にとっては1回1回がとても幸せだったし、癒される時間だったし、意味のある時間だった。君にとってはどうだっただろう。ただの暇つぶしだったのかな。私は君の癒しになれていたのかな。

多動で落ち着きのない私に穏やかすぎる君は退屈だった。どこにも一緒に行ってくれない、誰にも会わせてくれない、仕事熱心すぎる君とずっと君のお家で会うことが苦痛で、「この関係はセフレだと思う」と言ってわがままを言って困らせて泣いて振ってしまった。
一度別れてから間をあけて、「〇〇に会いたいな」って言ってもらえて嬉しかったと同時に少し辛くもあった。なぜなら、さっき言ったように別れ際に私が「この関係はセフレだと思う」と力説してしまったからだ。いっそセフレにならないかと半ばやけくそで提案したのは私からで、別れてから連絡をくれたということは、つまり、私とセフレになりたいということに違いないと思った。でも自分で打診しておいて傷付いたとかやっぱり好きだから無理とか言えるはずもなくて、君はもちろん将来の事とかも考えてないだろうし、身動きが取れなくなった。がんじがらめ。そしてただただぼんやりとしたセフレとしての関係だけが宙ぶらりんでダラダラと続いてた。

君の気持ちが全くわからないと言ったら嘘になる。ほんのり暖かくてどこか冷たい。それが堪らなかった。改めてまた会いたいと言ってくれた時、私とご飯に行ったりそういうことになる前に必ずかわいいとか一緒にいると楽しいとか言ってくれて、私に好意がゼロじゃないよってことを君は伝えてくれていたんだと思う。あるときは、好きとも言ってくれた。でも、私は何も返事をしなかったし、喜んでいいのか分からなかったし、また誰かを本気で好きになったら傷付くんじゃないかって怖かった。どういう反応したら正解だったのか今もわからないよ。
人を好きと言う気持ちはどうしてこんなにも泣けてしまうのだろう。
私も君のことは好きだし、なるべく一緒にいたいし一緒にいると癒されるし、安心感を感じるし、たまらなく愛おしいと感じるし、君の全てが好きだけど、正直なところ君と私はどこかちぐはぐで無限に傷付く。このまま君とずっとこのままダラダラとした関係を続けていたかったよ。
心では否定してるけど頭では「このままで良い訳ない」と分かってるの。

でも君のことちゃんと好きだったよ。人のことをなかなか好きになれない私がまたちゃんと人を好きになれた。この感情を思い出させてくれたこと、本当に心から感謝したい。ありがとう。
いつだって会いたかったよ。君にならピノの最後の一つでもあげられるよ。ケーキの最後の一口でも喜んであげるよ。飲みかけのジンジャエールを横取りされて全部飲み干されちゃっても笑って許せるよ。登山後でも48時間以上のフライトの後でもどんなにヘトヘトに疲れていても会ってくれてありがとう。いつも疲れた顔ひとつせずにニコニコしていてくれてありがとう。癒したかったのにこっちが癒されてたよ。毎日連絡してくれてそういうところがかわいかった。お家に行くといつも夜ご飯を作ってくれてうれしかった。君の作れる料理のレパートリーは少ないけれど、全部大好きで飽きたことなんて一度もなかったよ。食べるもの全て満面の笑みで「うまー!」って言ってる君の笑顔を一生覚えていようと思う。

いつも凪いだ海のような穏やかな優しさと愛をくれてありがとう。

さようなら。

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