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ユーフォニアム修理

昨日はユーフォニアムの修理でした。
洗浄とピストン調整と古くなったパーツの交換です。

分解

古いオイルやグリスを、ジッポオイルで拭き取ります。

ジッポオイルには油分を溶かす働きがあり、管楽器修理に広く使われています。

こちらは古くなったパーツです↓

洗浄

楽器全体をぬるま湯に浸けます。

小さなパーツは超音波洗浄機にかけます。

超音波洗浄機では落としきれない汚れを歯ブラシなどで綺麗にしていきます。

楽器本体の方は洗剤の入ったぬるま湯に浸けておくと管内汚れがふやけてこのように汚れが出てきます。

汚れが溜まっている=管の内径が狭くなってるということですので、吹奏感に影響が出てきます。
ですので、定期的な水洗いが必要になります。
また、衛生的な観点からも、管内は常に湿気ている状態ですので、口から出た食べカスが腐っていったり、カビなどが繁殖したりしていますので、定期的に洗浄した方が良いと言えます。

写真にはありませんが、抜き差し管も同様にしてぬるま湯と洗剤で掃除をしていきます。

洗浄後

このように綺麗になりました。

ピストン調整

洗浄して汚れが無くなった状態で(フラットな状態で)ピストンの状態を確認していきます。

動作不良の原因はたくさんあり、
①汚れ
②傷
③サビ
④凹み
⑤曲がり
などがあり、どれが原因で動作不良を起こしているのか、丁寧に調べます。

まず汚れが無くなったので、傷やサビがないか調べます。
今回はサビがあったのでそれを削り落とします。

サビを落とす方法もいつくかありますが、今回は削りました。ただし注意が必要で、削る行為は楽器そのものを失う行為に等しいからです。
細心の注意を払ってサビだけを削ります。

少し良くなりましたが、まだ微妙な動きです。
凹みや傷、曲がりは無さそうなので、オイルラッピングをします。

奏者から「落とした」や「ぶつけた」などの自己申告があれば、そこを真っ先に疑いますが、事前情報がない場合は全て疑って点検します。
なお、奏者の話も参考にしますが鵜呑みにしません。間違っていたり、恥ずかしかったり後めたい気持ちがあって、隠す場合もあるからです。(落としたりぶつけたりすることはいけないことだと教わっているため、隠したがる傾向があります。)
修理する側としては、正直に話していただいた方が、スムーズに作業を進めることができます。
オイルラッピングとは擦り合わせとも言い、バルブオイルだけでピストンとケーシングを擦っていくことです。
それ専用の工具もありますが、今回はこの楽器のピストンとケーシングで擦りました。

とても動きが良くなりました。
研磨剤を使用すれば早く良くなりますが、オーバーラッピングと言って、削り過ぎてピストンとケーシングがブカブカになってしまうので、なるべく使わないように作業を進めていきます。
傷や凹み、大きな歪みなどがあった場合は研磨剤を使用することもあります。

もう一度洗浄

サビを削ったり、オイルラッピングで黒い削りカスが出てきましたので、もう一度洗います。

研磨剤を使用した際は特に入念に洗います。
研磨剤が残っていると、奏者の手元に戻り演奏を再開したら、演奏する度にピストンが削れていってしまうからです。こういったことからもなるべく研磨剤は使わないように作業を進めていきます。

組み上げ

新しいパーツを組み込みながら、楽器にオイルやグリスを塗りながら組み立てていきます。

完成

奏者に返却し、その場でピストンの状態を確認していただき、新しくなったパーツも見ていただき、大変喜んでいただきました。

早く演奏活動が以前のように再開できるといいですね!

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