猫の細道

　近くの公園にて、猫専用の通路を見つけた。
　人間用の入場口から、10メートルほどだろうか。公園は、周りよりも少し低く位置しているため、ここを囲むように並ぶ住宅は、公園側にコンクリートの土台を築いている。
　その隙間に唯一つ、鉄板の敷かれた細い道があるではないか。元は、金属特有の光沢を醸し出す、黒だか銀だったのだろう。時を経てそれは、見事な猫専用レッドカーペットへと変貌した。
　この先には、いったい何があるというのか、法律に支配された人間には、知る由もない。あるいは、その先からこのレッドカーペットを見つけた人間もまた、私と同じ感想を抱くかもしれない。
　今宵もまた、法に裁かれることのない猫だけが、このレッドカーペットを闊歩し、秘密に目の当たるのだろう。