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『人新世の「資本論」』/斎藤幸平(集英社新書)

本著は最新のマルクス研究の成果を踏まえて気候危機と資本主義の関係を分析し、様々なデータや数々の古典からの引用を通じて現代資本主義社会の抱える根本的問題を暴露し追及するものである。所々に見られる論理の飛躍や、自身の主張に対する反論の検討とそれに対する再反論の提示と言った反省的姿勢の欠如、壮大で抽象的な理論の具体的な実現方法と実現可能性の検討の薄さなど議論の余地のあるポイントも種々見られはするものの、有名な『資本論』の枠をも超越する晩期マルクスの思想の再興と掘り直しに基づきながら、環境問題への注目を改めて強く喚起し、我々を脅かす危機を警告し、人類社会の進んでいくべき道として「脱成長コミュニズム」という最もラディカルで「民主的」な一つの可能性(あるいは必然性)を示す、非常に示唆的で熟読に値する一冊である。(P)

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