見出し画像

自分まかない#07 塩ラーメンととろろ

フリーランスは、自分で働き方を決められる割に忙しない。目の前の仕事を言い訳に、ついついおろそかにしてしまうのが食事だ。けれども食べるは“生きる”の源。簡単でも自分でまかなうことは、己をいたわる行為でもある。フリパラ編集メンバーでライターのジャスミンと、5分でめぐる食の冒険。

スーパーで5食パック買いが定番の袋麺。“インスタント(即席)”というくらいだから、簡便さがウリなはずなのだけど。忙しい日は正直なところ、自分ひとりのために具材を切ったり炒めたりするのもおっくうになる。

今日はまさにそんな感じで、ラーメンすらチャっと済ませたい。でもカップ麺だと、ひもじい気分なんだよなあ…。だから軽く気分転換になる程度で、台所に立つことにする。

主役はサッポロ一番の塩ラーメン。しょうゆ派?塩派? それともみそ派? 家庭によって定番が分かれるのは、マンガ『きのう何食べた?』でも描かれた。ちなみにジャスミンの実家は、父の好みでみそラーメン一択だった。その反動からか大人になった今、私はやたらと塩に手が伸びる。初めて食べたときは、薬味が七味ではなく切りごまなのが衝撃的だった。

冷蔵庫を探り、目に入ったのは水菜と冷凍とろろ。それから彩りにサラダかにかま。たんぱく質の不足は、仕事中のカフェオレで補おう。

冷凍とろろは流水にあてると、1分もしないうちに大方ゆるんでくる。

おっくうとは言ったが、水菜を切るくらいなら。忙しいと野菜不足になりがちだ。ちょっとよくばって2束食べよう。これでだいたい100gくらいか。ざくっと5cm幅に切ったらラップでふんわり包んで、電子レンジに30~40秒ほどかけてかさを減らす。

鍋の水は分量どおり入れ、沸いたところで麺を入れる。いつもなら、ここにキャベツやらにんじん、しめじなんかを入れるけれど。素でゆでるサッポロ一番は、なかなか新鮮な画面である。盛り付けの時間も踏まえ、箸でほぐしつつ2分ほどで火を止める。間髪入れずにスープをふり入れると、香味野菜の香りがふわっと立ちのぼる。これも塩ならではか。

盛り付けは奥に水菜をこんもりと。白地のとろろにカニカマの赤が思いのほか映えたから、切りごまも気どったふり方になってしまった。

塩スープととろろ、初めて組み合わせたけど結構いい相性。周りを気にせず思いっきり音を立てて麺をすすると、スープの塩気ととろろの粘りが口の中で混ざり合って、麺に厚みを持たせる。気持ち濃いめに感じるところは、水菜でお口直し。カニカマのうま味が時折やってきて、ズズっと勢いが増す。

オリーブオイルで味変プランの予定だったけど、その隙もないまま完食。またのお楽しみとしよう。

台所に立つと、その間だけは仕事への意識が遠のく。パンパンだった頭に束の間の余白をもたらすのもまた料理の効用だと、満たされたお腹をさすりながら思うのである。

〈材料〉

――とろろ塩ラーメン(1人前)
・インスタントラーメン(サッポロ一番 塩ラーメン):1袋
・とろろ(冷凍):1パック(40g)
・水菜:1~2束(50~100g)
・カニ風味かまぼこ:25g

〈ひとこと栄養メモ〉

インスタントラーメンは塩分が多いことで知られています。1袋で成人女性1日当たりの食事摂取基準(6.5g未満)とほぼ同量の食塩相当量が含まれていることも珍しくありません。別添スープの使う量を減らすなどして調整するとよいでしょう。またとろろ(長芋)や水菜は、体内のナトリウムを排出する作用のあるカリウムを多く含む食材です。(管理栄養士・たなべやすこ)

ジャスミン
フリーランスライター/ 『フリパラ』編集メンバー。
話し手・届け手・読み手の「健やかな生きざま」に、ほんの少しでもつながる期待を込め、オウンドメディアや個人出版、Web制作などに携わる。趣味はプチリッチフード探索。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?