自分まかない#03ひじきドライパックとサラダチキン
フリーランスは、自分で働き方を決められる割に忙しない。目の前の仕事を言い訳に、ついついおろそかにしてしまうのが食事だ。けれども食べるは“生きる”の源。簡単でも自分でまかなうことは、己をいたわる行為でもある。フリパラ編集メンバーでライターのジャスミンと、5分でめぐる食の冒険。
取材後の執筆に頭を悩ませているところに、出張の話が舞い込んできた。
場所は九州、出発はあさって。目下の原稿は週末にかけて進めようと思っていたら、そう悠長なことは言っていられなくなった。
家を出るまでに原稿の目途をつけるとなると、お昼ご飯ものんびりというわけにいかない。とはいえ泊りがけとなると、体調もある程度整えておきたいもの。特に外では不足しがちな海藻や野菜を摂っておき、逆に旅先で出くわすであろう、カロリー高め、味濃いめな食べものは控えておきたい。
物置を物色し、目に入って来たのがひじきだ。下煮を済ませたドライパックのひじきは、乾物と違って戻したり火を通したりする必要がなく手間が省ける。だけど味はしないし、そのまま食べてもおいしいとは言い難い。
そこで相棒にしたのはサラダチキン。鶏むね肉のあっさりが、今の気分にちょうどいい。よし、ひじきとサラダチキンで丼をつくろう。野菜はスーパーで数日前に、40%引きで入手したオクラを使う。
オクラはまな板の上で塩を振り、ゴロゴロと手のひらで転がしてから、流水で洗って産毛をとる。もう色も変わり始めているのに、産毛は指に刺さってチクチクする鋭さだ。オクラは生でも食べられるというけれど、耐熱皿に並べて電子レンジに40秒ほどかける。
レンジを待つ間、ひじきに軽く下味をつける。サラダチキンと最後にかける食べるラー油の塩気も考えて、控えめにしておくのがコツだ。今回はめんつゆ。夏は梅酢にしたら、さっぱりと食べられそう。そしてサラダチキンは、食べやすい幅に裂いておく。
オクラを小口に切ったら盛り付け。丼に軽くよそった白飯に、ひじきを敷いて、その上にサラダチキン、そしてオクラを散らす。オクラのいいところは、星形のかわいらしさ。緑も手伝って、彩りになるのが嬉しい。そして最後に食べるラー油を回しかけたら出来上がり。
食べるラー油のニンニクの香ばしさに、オクラの粘りが口になじむと思ったら、パリッと歯ざわりをもたらす。そして主張の少ないサラダチキンとひじきがラー油を絡ませながら、うまくご飯を包み込む。後からやって来るピリッと辛味が、また心地よい。
忙しない仕事の合間ながら、つくづく“飯を食う”感覚を私に取り戻してくれた。
悩ましい机上から、一瞬でも離れられたのも功を奏した。気持ちを切り替えて、出発間際までまた頭を悶々とさせるつもり。
〈材料〉
――ひじきとサラダチキンのピリ辛丼(1人前)
・ご飯:1膳分
・ひじきドライパック:大さじ山盛り2程度(40~50g)
・めんつゆ(3倍濃縮):小さじ2程度
・サラダチキン(プレーン):50g程度
・オクラ:2~3本
・食べるラー油:適量
※めんつゆはメーカーによって味の濃さが異なる。サラダチキンの味も鑑み、お好みの量を。
■材料の残りでもう1品
ピリ辛丼をつくるのに開けた、ひじきのドライパック。余ったらニンジンや大豆などを足してひじき煮にしてもいいし、ポテトサラダにするのも。著者はマヨネーズが苦手なため、レモン汁であっさり仕上げに。サラダチキンとオクラも使っています。
――ひじきのポテトサラダ(つくりやすい量)
・じゃがいも(中):2~3個
・玉ねぎ:1/2個
・水:大さじ2
・塩:1つまみ
・レモン汁:大さじ2程度
・ひじきドライパック:適量(どんぶりで使った残り)
・サラダチキン:50g程度(どんぶりで使った残り。パックに残った汁も使う)
・オクラ:4~5本程度(電子レンジで40秒ほど加熱済みのもの)
・黒コショウ:適量
・オリーブオイル:適量
(つくり方)じゃがいもは1口大に切り、大きめの耐熱ボウルに刻んだ玉ねぎ、水と一緒に加えて10分加熱。熱いうちにざっくりつぶし、塩とレモン汁で下味をつける。ひじきと細かく裂いたサラダチキン、ひと口に切ったオクラを混ぜ盛りつけ。上からオリーブオイルを垂らし、黒コショウをひく。
〈ひとこと栄養メモ〉
ひじきは鉄分が豊富ですが、体内への吸収率の低い非ヘム鉄です。タンパク質やビタミンCを含む食品と合わせて、吸収率アップにつなげるとよいでしょう。サラダチキンはタンパク質、ジャガイモはビタミンCが豊富です。(管理栄養士・たなべやすこ)
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