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【小話】村上春樹とイレイザーヘッド【エッセイ】

※過去記事にいくらかネタを書き足したものです

村上春樹の去年出た新作、街と不確かな壁‥いや、壁と不確かな街‥だったっけ?とりあえず最後までタイトルを覚えられませんでしたがようやく読み終えた。ちょうど一年もかかった。なんてこったろう。読むの遅すぎ。

スマホ依存症は本を読みませんからね。。一年もの時間かけてようやく一冊読む。人によってはこのクソ長い小説を1日で読んだと言う人もいるんで、いかに人生無駄に生きてるかってことで反省させられましたね。

前作、騎士団長殺しは1ヶ月ぐらいで読んだと思うんだけど、ページ数は今回の倍はあったのに。俺の読書能力も劣化の一途。。まーあの時は子供がまだいなかったから。うん、子供のせいです(真顔)

人間の処理できる情報量も、追える文字数も、脳や眼球運動の処理能力を考えると自ずと限界が見えてくるんで、この650ページある小説を1日で読んだという言葉の信憑性が一体どれほどのものなのか‥(震え声) そんなことを訝しんでしまう、言いたくもなる、そんな感じです笑 つまり長くて冗長な小説だったということです。

しょーじき、この小説が無人島にただ一冊置いてある本だったとしても、俺は二度読む気はないですね。分厚すぎて鍋敷きにもなんねーよ。重りにはなるかもしんねーが。人を撲殺する用途にもギリギリ可能ではないかね。

え?中身のレビューはしないのかって?いや、しないね(真顔)。してどうすんだこんなもん。本はレビュー読んで読んだ気になるとかはあっちゃならねーんだよ。自分で読まなきゃ。自分の血と肉を消費して。文字通り人生の貴重な時間を割いてこの苦行に耐えてこそ読書には価値が宿る。

というわけで、とてつもなく冗長で長い小説なのですがつまらなかったとか読むのをやめたとか読んだのを後悔したとかはない。つまんなかったら途中で読むのやめるのが俺の数少ない特技だからね。最後まで読めたんだからね、一応。わるくなかったということだと思う。つーか、つまんないのに読みやすい、読めてしまうのが村上春樹のマジックですね。すごい作家なんですよ、春樹たんは。

女たる生き物は興味のない男にはとことん冷たいものだ。別れると決めたらいきなり全てをぶっちして目の前から消える。そういうもんだ。漫画の美少女みたく面と向かって別れる理由をとうとうと述べたりはしない(それは男の行動パターンだ)。それに未練たらたらでしがみつくのが男と申す者。何十年も引きずったり勝手に美しい思い出に変換したりもする。ま、そんな小説だな。多分だが。

それにしても、冒頭の話題に戻るが自分の読書能力の著しい低下にショックだ。今の時代に子を育てながら本を読めてる人なんているのか?本なんて読もうもんなら子供は即座に駆け寄ってきて

なにやってるのー?なにをよんでるのー?ねーしりとりしよー?プリンたべていーい?ねーだっこしてー、ねーちゃんともちあげてよーおちちゃうでしょー!

だ。少しもほっといてくれねー。スマホいじるのがせいぜいだよ。それでも画面を覗き込んできたり勝手につーと指で触ったりとひどいもんだ。無視してるとだんだん不憫に思えてくるのでつい遊んであげてしまう。すると数少ない自分の時間は消滅し、疲れを取る為に早く寝ることになる。読書なんかできるわけねーよ。←言い訳の山

デイヴィット•リンチの「イレイザーヘッド」って映画あったと思うんすけど、あれはリンチがクリエイターとしてこれからって時に、女とできちゃった子供の世話に追われて何もできなくなった暗黒の時代を描いてるんだそうですよ。

つーかこの話は有名で昔から知ってたのだが、いまこの映画を見ると共感の嵐ですよね。我が子をこんな醜いクリーチャーとして描く感性は異常だと思いますけど。確かに子供の存在は創作の邪魔をします。

なので、村上春樹が子供を作らなかった、まーできなかっただけかもしれませんけど、それは正解だったんじゃないすかね?他人がうだうだ言えることじゃないすけど。

確実に言えるのは、春樹たんが子供を育てる経験をしてしまってたら、或いは子供を放置する経験をしてしまったら、あの変わらない作風は瓦解してこんないつもと同じ長い小説を令和5年に発表することもなかったでしょうな。春樹たんの作風は「いつまでも若いつもりでいるオジサン」そのものだもんね。育児たる精神修行を回避した男の感性ってある意味若いんですよ。そりゃそうだよな。なので、子供が二、三人産まれてたら小説家をやめててもおかしくねーよ。夜中にセブンでバイトしてたかもしんねー(それってすげー立派なお父さんだと思うけどね)。まーそれは別の世界線の話になりますけどね。

こないだ、その「イレイザーヘッド」を久々にDVDで観ていたのですが、途中で子供が帰ってきたので観るのをやめて娘が学校からもらってきたプリントに目を通し、宿題をみてあげてところどころ署名をし、そのあとでカレーを作りはじめました。するとなんてこったろう!娘がいつの間にやら「イレイザーヘッド」のDVDカバーを手に取ってしげしげ興味津々で見ている。

ありゃりゃ!だめよそんなのみちゃ!

これなにー?

なんでもいいの!

面白いのー?

え?うん、まあ、

どんなはなしー?

えっとね、、怖い話?かな?

こわいのー?みたい!

いやだめよ!(←即答)

どうこわいのー?

なにがこわいのー?

どんなはなしー?

えっと、いや、あの、そのえっとね?んーと、まあとにかく怖いのだから⚪︎⚪︎ちゃんが27歳ぐらいになったらみなさい?ネ!

という感じである。泣けるだろ? 家で変な映画観るのは大変なの!映画観るだけでも大変なのに創作なんてできんすわ。つーか、「イレイザーヘッド」は今改めて観ると育児初めて夫婦が直面するストレスフルな毎日あるある映画でしかない

そんなわけで、娘にどんなはなしー?なにがこわいのー?なんて聞かれても何も答えられん!うん、確かに!何もいえん。

そして家の中で家族に愛されながら創作を続けるのはまず無理である。そこは諦めた。俺は最近は小説はぎゅうぎゅう詰めの通勤電車の中で書いている(悲)。

まあ、とはいえそれを全て投げうっても良いと思えるというか、イヤといってもそうなるんだが、それで全然問題ないと納得できる、それが育児であり愛しい我が子なのです。

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