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【映画批評】怪物

※去年書いた日記です

「怪物」を観てきました。是枝監督で脚本は今回違う人だったようですが、これまでのマンネリズム打破に繋がっており断然良かったと思います。「ベイビーブローカー」でさえまたこんな話かよって思ったからね。

村上春樹が新作のあの、なんだか長いタイトルの壁がどーのこうの覚えられない小説の後書きで「作家は同じテーマを何度でも表現を少し変えて繰り返すものだ」みたいなことを書いていた。村上春樹もいつもザ・またこんな話かよを量産する作家であるが、深く納得した。

是枝監督もそんな感じだが、今回は脚本が別の人ということで良い化学反応が生まれた感じだ。ストーリーもだが映画の構成がとても良かった。物事の一面見たのみでは何もわからない。善も悪も容易に反転するという事実を現代日本人にぶち込んでくれました。主婦の愚痴ツイート一本であっという間に悪魔として取り扱われる我々としては共感しかなかったです。(まあ俺はろくでもない人間ですが)

また、学校で何が行われてるのかさっぱりわからないというのは身につまされて色々考えさせられました。ホリ先生とか校長とか最初悪魔にしか見えないが、最も人間味があって気の毒だったなあと映画を通して観て思いました。

また、なんというのか本来黒幕になりそうな存在が決して画面の中心に映ることはなく、こんな連中には名すら与えん、場面やまともなセリフすら与えん、おこがましいわ、ということなんだろうかね。これは勝手な解釈ですが。

是枝監督の美少年趣味は全然変わってねえな、髪の毛ボサボサの10歳ぐらいの唇ポッテリの美少年がタイプみたいでここは変わってないですね(真顔)。主役の二人の美少年は二人共がまさにこんなタイプだったので趣味を隠そうともしないところが表現者としてすげえなと。ジャニー喜多川とかタイムリーすぎる時期にこいつやるなあという感じで尊敬しました。宮崎駿もそんな感じですが。

本当はこの映画を観た日、別の映画も観る予定でしたが、どう考えても「怪物」は超えられないであろうと。ならば日を改めた方が良さそうだと思い、その日は黙って帰って歯医者に行きました。

ここ最近は映画館に行きたいとすら思わなくなっていたので、久しぶりに良い映画はよいものだなと感じられました。お勧めです。

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