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18年連れ添っている【愛車】との出会いとこれまで。

バイクよりも車に乗りたい。
そういう気持ちが強かった10代。

Volkswagenのクラシックカーミーティングでもあったのだろう。中学生の時に高速道路で見た、1時間程度反対車線に旧車のワーゲンがひたすら走っていた光景。

引用元:AUTO MESSE WEB
https://www.automesseweb.jp/2022/06/22/1060216


それをずっと見ながら、『かっこええ.…』と心を奪われた。早く車に乗りたい。Volkswagenのビートルに乗りたいと思うようになった。


免許を取得して乗り始めたのは、祖母から姉が受け継ぐも、ペーパードライバーになり家の駐車場で朽ち始めていた、古いSUZUKI の軽自動車を自分が引き継いだ。

引用元:みんカラ
https://minkara.carview.co.jp/userid/297721/car/3040426/profile.aspx

シルバーの塗装はハゲハゲ。パワステも壊れていて激重ハンドル。乗っていた時期の後半は、カセットデッキも壊れ、小さいスピーカーを持ち込んでMDプレーヤーで音楽を聞いていた。
でもこれはこれで友人達と色々な場所に行って思い出が詰まっている。廃車にする別れの日は雨。悲しい気持ちでインスタントカメラで車を撮影した。

noteで書いてきた自分の【社会人遍歴】の其の弐 の頃。22歳になっていたと思う。薄給激務の中、コツコツと貯めた50万を元手に遂に車を探し出した。



運命の愛車と出会う

旧車のビートル?いや貯金はすべて車で使い果たす。乗り始めてもすぐ修理が発生するだろう。修理するお金が無い。自分で修理できるような技術と知識も無い。もう少し現実的な所で欲しい車をピックアップ。それがランクルだった。40/60/70 この辺がめっちゃカッコいいやん!と思った。予算上限は100万まで。(少なっ)

色々と四駆専門店をまわったり、車検を頼んでいた所にオークションで探してもらったが、100万でランクル?無理無理~(笑  って感じ。

そんな中、中古自動車販売の雑誌を見ていると、80万の格安ランクルが。早速休みの日に友人と見に行った。郊外から田舎の方へ。更に山の方に向かっていくと、山の麓にあった。砂利駐車場に乱雑に車が止められている。奥に小さなボロいプレハブ小屋があり、おじいさんがいた。とにかくめちゃくちゃ怪しい。

『あのランクルを見に来ました』

『あ~ ちょっと鍵もってくるけんね。』

一通り説明を受けながら実車を見せてもらう。

『横に乗って、その辺走ってきたら?』

すると40代くらいの男性が出てきて乗り込む

40代整備士『ちょっとその辺走ろうかね~』


走らせてしばらくすると、土の大きな段差があり『こんなのも簡単に登れるんだよ』とトライ。四輪駆動に切り替えてブォ~ンとアクセル踏みまくるも、タイヤは空転し全然上りきれない。『ちょっと後でチェックしとくね…』と。

や は り 怪 し い 


ランクル80万は安すぎなんだよ…

怪  し  い


帰り間際におじいさんが『これね~ 昨日佐賀から見に来た兄ちゃんおってね。ありゃ買いそうやぞ~』

怪      し      い


『1日考えさせてください』


家に帰ってから、今の自分の給料でアレを維持できんのか?4200ccやぞ…とか考えたけど、もし無理やったら手放せばええやろ!精神と、若さの勢いで買う事を決めた。

次の日の朝に早速電話をして買う旨を告げ、50万の現金を握りしめて店に向かった。奥の汚いプレハブ小屋の中でおじいさんが札束を数えながら『いや~ 若いのにちゃんと金貯めて偉い。最近の若もんはすーぐ壊れるような車ばっかり乗っていかん。でもランクルはそうそう壊れんよ。』なんて上機嫌。


そして乗っていった廃車にするSUZUKIの軽自動車を渡す。

40代整備士『思い出が詰まってるなら、なにか部品取ってやろうか?』

『いいんですか?じゃあハンドルを!』

40代整備士『いやハンドルはいかんて!』

『じゃあ大丈夫です…』


ランクルに乗り、エンジンを自分でかける。軽には無いエンジン音と身体に伝わる振動。心が躍る。じゃあ、ありがとうございました~なんて言って始動。

こんな車高の高い車は初めて運転する。しかも家まで結構遠いし、雨も降ってる中、片道3車線の大きな通りにすぐ出ないといけない。

腕に力が入りながらも、なんとか家に到着。エンジンを切り鍵を外そうとすると抜けない。どうやっても抜けない。早速お店に電話。この時代の車にたまにある仕様で、上のボタンを押しながらじゃないと鍵が抜けないらしい。

雨が降る中、駐車したランクルをずっと眺めていた。



22歳で手に入れた相棒は

TOYOTA LAND CRUISER 70 ZX / DEISEL

ワイドボディのショート
購入当時の走行距離 6万キロのワンオーナー
12V並列の24V車

ディーゼルエンジンでFRPトップ。電動ウインチ付きという、なかなかのガチ仕様。

これ今だったら何百万するんだ.… っていうくらいの好条件だ。この辺のオールドランクルの相場は年々上がっているそうだ。※25万キロとか走ってても、綺麗に塗装・整備されて400万~500万とかになってます。

購入当時にリッター何キロ走るかをやった所、およそ5km。 それから18年経っている。今はもっと.....…  ふふふ.…(吐血)



NALDI  ウッドステアリング

車を探している中、ハンドルは納車されたら即変えたいと車が決まる数ヶ月前にハンドルを先に買うという、若さの勢いMAXムーブをかましていた。購入したハンドルは、イタリアのNALDI ウッド&シルバースポーク。

引用元:KCM Online Shop



なにをするにも普通の車よりお金がかかる

購入時は純正のTOYOTAロゴが入ったカセットデッキが付いていて、そのまま使っていた。しかし1年もしない内に壊れた。オートバックスに行きCDデッキを選び、店員さんにこれを付けたい旨を伝える。車を見てもらうと

店員『あ~これ、24V車なんで電圧変換機いるっすね』

『電圧変換機....…?』

見せてもらうと一番安いやつでも5万~
一般的は普通車は12V。トラックなどの大型車になると24V。24Vを12Vに変換してオーディオに電力を流さないといけないということ。おい… 数千円のデッキ付けるのに総額6万もすんのかいコラぁ…となった。

店員『どうします?』

『いっちゃん安いやつでお願いします』

店員『オーディオ分でギリなんで、今後ETCとか付けようと思っても無理ですよ』

『 構 い ま せ ん 』


その他にも、軽自動車の時は4本で2万くらいだったタイヤも、四駆になると10万超えてくる。これも購入して1年後くらいにくらった。バッテリーもええやつが2個必要なので、6~7万程度かかる。後はアメ車並みの燃費の悪さね。



若造の心をへし折る故障

今からでいくと32年前に作られた車。人間と同じでいろいろガタが出てくる。車検の度にどこからかオイルが滲み出てるなんて当たり前。

しかし20代の俺の心を折りかけた高額修理がこれまでに3回ほどある。

心の負担を軽減する為に、しっかりとした記憶が消え去って確かではないが、タイミングベルト交換によるエンジン下ろし+α。エンジン下の故障修理の為エンジン下ろし+α、エアコン故障による全面交換修理+α。(←これが一番高かったような…)

1回が数十万という、20代の若者にはヘビーな修理額。この3回の修理の時は『ハァハァ.… もう売って楽になろうか.…』なんて本気で悩んだものだ。

その度に整備士さんから『絶対に手放さない方がいい。頑張って。』と言われて乗り越えてきた。




乗り始めて10年経った頃

22歳から乗り始めて10年程経った頃。30代に入り転職もして収入もアップ。独身でお金も使い放題。その時に、塗装もクタクタ・錆も浮いてきていたので全塗装を考え始める。

デザインの仕事をしているので、写真を撮ってPhotoshopで加工して、何色にしようかな~なんてやってた。そしてランクル専門店に行き、全塗装の相談をした。

ランクル専門店スタッフ『めっちゃかっこいいですね!』

『ありやす!』

ランクル専門店スタッフ『全塗装しちゃうと、このオーラ無くなっちゃいますよ。私なら絶対このまま乗ります。』

となぜか猛反対。結構良い売り上げになるのに.…

その熱い反対を受け止め、全塗装はやめるかと思うも、何か変えたい欲がまだあった。そこで思いついたのがステンシルを入れるという事。


もちろん自分でデザイン。

BRENTWOODとはアメリカ西海岸の街の名前。
日本車のランクルが遠くアメリカに輸出されて、アメリカ西海岸で車のカスタム・修理工場をやっているアメリカ人が乗っているという妄想に基づき、デザインした。ポイントは手描き感。

このデザインと完成イメージを印刷して、車にステンシルを入れてくれそうな所を探す。そして数件回るも、どこもそういうのはやってないと門前払い。

途方に暮れている時にドライブしていたら、ファンキーな古いアメ車の四駆が並ぶお店を発見、いきなり突撃した。

店の入り口にはSOLDになった、JEEP グランドワゴニア。カメラマンをしている4~50代の男性が購入したらしい。

引用元:CHUKYO AICHI  CHRYSLER
http://www.chukyo-chrysler.co.jp/shop/nagoyahigashi/blog/2020/08/30-1.html


Hoo~~ かっこええ!!!っと嘗め回す様に見てから入店。誰もおらずしばらく待つと、人のよさそうなお兄さんが登場。ステンシルの話をすると、『やったことないですけど、それで良かったらやりますよ! 』と。
初挑戦という事で、ほんといいの?というくらい格安でやってくれた。

後日、データを入稿して版を起こしてもらい、いざ本番。

真っ黒にせずにこのくらい擦れたぐらいがカッコいいすかね?

こんな感じで。

くぅ~~ 迷う~~~ってなりながら、最終的には真っ黒で行く事に。

もう後戻りはできない。

そして完成。

めちゃくちゃカッコいいやないかい。と仕上がりに感動した。

このステンシルを入れてから早8年。まぁ目立つ。走ってても良く見られるし、走ってる時に写真を撮られたことも。あと若い兄ちゃんに喋りかけられたり。悪い事できない仕様になった。

アメ車屋さんには、このステンシル、本格的に5万円くらいでサービスとしてやろうと思うんで、お知り合いにいたら紹介してください!と言われたが、車にデカイステンシル入れるような強者は周りにおらずに、一人も紹介できなかった。(ごめんなさい)

この頃に、このランクルの弟分として、OLD BMXの車両を1年かけてパーツを買い集めて、家でコツコツカスタム。車に積んで景色の良い遠方で、BMXクルージングしてた頃が懐かしい。




ホイールカスタム事件

このステンシルを入れる2~3年前ほど。中古パーツ屋にめちゃイカした四駆用ホイールを発見。5万円と格安。店員さんに尋ねるとランドクルーザー60用の当時の古いホイールとのこと。

70にも装着可能だと思いますよ!試しに付けてみましょうか?との事で試し履きさせてもらった。かっこええ.… 買いますで衝動買い。でそのまますべて付け替えてもらった。

そのホイールがこちら。 今見てもかっこええ.…

1年ほどこのホイールで乗っていた。そして車検へ。

車検の整備士さん『このホイールってどうしたんですか?』

『中古パーツ屋で買ったんですよ!』

車検の整備士さん『これ一応ネジの規定内には入ってるけど、ギリギリなんですよ。これで高速とかに乗るのは危険です。』で元の純正ホイールへ逆戻り。

買った所に文句いってやろうと向かうと、その店は潰れていた。未だにあのホイールカッコよかったな…と思い出す。



最後に

最後に地味に気に入っているポイントをご紹介して終わります。地味な所だけ。

①フロントグリル部が、TOYOTAのロゴマークではなく【TOYOTA】な所


②TOKYO TOYOTAな所


③天井部分にある破れ

このランクル、ワンオーナーで初年度登録が東京。そして助手席上の位置に三角の破れ。最初にこのランクルに乗っていた方は、間違いなくサーファーだと思う。このランクルで高速に乗って、湘南かどこかでサーフィンをしに行っていたに違いない。想いを馳せる為、これは修理せずにこのまま乗ってきた。

東京からどんな経緯で福岡の田舎の方の怪しい車屋に辿り着いたのかは分からない。あなたの次に私がこのランクルと共に色々な場所に行っています。と伝えたいものだ。

18年も乗っていると、色々な人を乗せて色々な場所にこのランクルで行った。そして22歳の時に、若さの勢いで買ったこのランクルに、今は妻と娘が乗っている。

もし別れの時が来るとしたら、ちょぴっと涙が出るかもしれない。

終わり

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