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他機関との連携:フリースクールを創る計画

2021年9月に開校を目指してフリースクールの準備を進めています。なぜフリースクールを創ろうと考えたのか?そのために準備をしていることはどんなことなのか?何を参考にしているのか?などを以前まとめました。

その後、継続的に準備を進めています。今回は、その進捗について、特に様々な機関との連携とその意図について説明をしていきたいと思います。

1 フリースクールが連携する機関について

フリースクールのコンセプトにも関連するとは思いますが、フリースクールは様々な機関と必要に応じて連携していく必要があると考えています。例としては以下の通りです。

① 生徒さんが通学する教育機関(校長先生、担任の先生、SC、SSWなど)及び教育委員会

当然と言えば当然なのですが、フリースクールの場合、子どもの所属機関は基本的には通学している教育機関(小学校や中学校、あるいは高等学校)になります。フリースクールは、学校に行くことが難しい状況にある生徒さんとともに居場所や学習の機会を提供する場所としての位置付けであるため、生徒さんが通学する教育機関との連携は、フリースクールに通う生徒さんが要録上出席扱いにしたい旨を希望された場合には必須であると考えています。しかしながら、希望されない場合(要録上の出席扱いは得られなくてもよい)という場合には希望に沿う形で対応する必要があると考えています。

おうちフリースクールのわたなべさんが書いた記事で学校との連携について、素敵な記事であったので、共有します。

少し前の文部科学省からのデータ(以下URL)になりますが、フリースクールと学校教育機関の連携がまだまだ未熟であると言わざるを得ない状況があるのも事実であることが示されていました。データでも記されていますが、「特に何の連携を行っていない」の回答が最も多く、課題としては「フリースクール等との連携が学校復帰のための取組と相容れるかが明確でない」が最も多く、他にも「フリースクール等との連携の効果が明確でない」「児童生徒等に関する個人情報の共有が難しい」「フリースクール等の活動内容等についての情報がない」などがあり、学校機関、フリースクール双方が理解を深めていく必要があるのであろうと考えられます。

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/07/25/1382195_1.pdf (平成29年2月13日 フリースクール等に関する検討会議 不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~)


② 教育支援センター

不登校支援を行う主な機関の一つとして挙げられるのが、教育支援センターであると思います。教育支援センターとは、文部科学省の資料によると、「不登校児童生徒等に対する指導を行うために教育委員会及び首長部局(以下「教育委員会等」という。)が、教育センター等学校以外の場所や学校の余裕教室等において、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、個別カウンセリング、集団での指導、教科指導等を組織的、計画的に行う組織として設置したものをいう」と定義されています。各都道府県のHP等で紹介などされていることが多いです。ちなみに、埼玉県では、以下のHPから見ることが可能です。

個人的には「教育支援センター(適応指導教室)」の「適応指導」という名称が、あまり好きではないのです。児童生徒が環境に適応できるように指導するという個人への責任に偏った視点及び「指導」という強制力を持つような感じがあまり好ましくは思えていません^^;

上記のセンターが機能しているか否かについては不明ですが、国及び都道府県主幹で行われている事業であることなどからも、各地域の不登校に関する情報を最も多く持っている機関であるということ/不登校支援に関しての知識及び支援策を検討しているということに関しては間違いがないものであると考えられます。

よって、地域において活動するフリースクールにおいても教育支援センターとの協働は必須になるものと考えています。


③ 医療機関(子どもの心身の発達に関すること)

不登校の理由の一つに、心身の不調が挙げられます。フリースクールに通う生徒にとっても例外ではなく、必要に応じてきちんとした医療とつながる必要性があるものと考えられます。その際に、フリースクールと医療機関が繋がりをつくっておけるというのは、そのフリースクールを利用する人にとって安心につながるのではないかと個人的な経験から感じています。

私が今後開始するフリースクールでも、発達や起立性調節障害などの相談が可能な医療機関の情報を、きちんとまとめて発信できる取り組みをはじめました。※note掲載時には情報がまだまだ不足していますが、今後随時更新予定です。


④ 地域にある様々な機関など

フリースクールは、「地域に根付いたもの」であると個人的には考えています。ここでいう「地域」とは、フリースクールの規模や対象地域にもよるかと思いますが、都道府県/圏域/市区町村などの単位を指します。次項目でも書きましたが、義務教育の目的にも示されている「社会の良き形成者を育てるという「社会の側からの教育」」の実践の一つとしても、様々な大人との出会いが必要であると思います。学校教育現場においても、フリースクールにおいても色々な大人に出会うことは、非常に大切な経験となると信じています。

※ 私自身の経験から考えても、小学生、中学生、高校生の時に見た「大人」は良くも悪くも未来の自分の姿を創造したり、こうなりたい!ああなりたい!と思うことに繋がったのだと感じています。

「地域みんなで子どもの成長に携わっていく仕組みづくり」をしていくことが、結果として、子どもが地域の魅力を感じたり、この地域を誇りに思えたりすることにつながると信じています。今後の未来を創っていく子どもの教育に携わるというのは、未来を創っていくものと個人的には考えています。


2 連携の目的

「連携」は「手段であって目的ではありません」というのを間違えないようにしないといけないことを、様々な実践経験の中で感じています。フリースクールにおける「連携」の目的は、「①子どもの学びと成長、②地域で生活する子どもにとって生活しやすい環境づくりであり、公的教育機関の目的と変わらないことであると考えています。ちなみに、文部科学省の以下のHPに義務教育の目的として記されています。

義務教育とは「義務教育は,国民が共通に身に付けるべき公教育の基礎的部分を,だれもが等しく享受し得るように制度的に保障するものである。」と明記され、上記のHPに記載されている目的は以下の通りになります。

国家・社会の形成者として共通に求められる最低限の基盤的な資質の育成
国民の教育を受ける権利の最小限の社会的保障

上記2つの文章を作成するに至った専門家の意見として、「義務教育においては,1.社会の良き形成者を育てるという「社会の側からの教育」と,2.人生をより良く生きるための土台をつくるという「個人の側からの教育」の両方のバランスが重要。」や「高度に発達した複雑な現代社会において,生涯を人間としてとにもかくにも生きていけるだけの資質能力を体得させること。」などがあったと明記してあります。

一般的に義務教育機関と言えば、小学校/中学校ですが、フリースクールもその並びの一つとして今後対等に扱っていくことの必要性を感じる次第です。

繰り返しになりますが、私自身が考えるフリースクールにおける連携とは、上記のことからも、①子どもの学びと成長、②地域で生活する子どもにとって生活しやすい環境づくりを目的として様々な機関が協働していくことが重要なのだと思います。決して敵対する関係性ではなく、協働する関係性である必要を強く感じています。


3 フリースクール運営者が他機関と連携するために必要な知識

他機関と連携する為にはフリースクール運営者は様々な知識を得ておく必要があると思います。少なくとも、連携を取りたいと考える先の機関の目的や機能については、HPなどで事前調査などしてからコンタクトを取るなどが必要だと思います。以下には、目的を達成する為の連携を可能にするための知識として作者が考えていることを列挙します。

① 連携のレベルを理解すること

C.B.Germainによれば、連携のレベルとは「第一段階 Linkage-連結、第二段階 Coodination-調整、第三段階 Cooperation-協力/連携、第四段階 Collaboration-協働」であると記されています。いきなり協働することは難しく、一緒に活動をともにすることによって相互信頼から連携が可能になると示されています。

② ミクロ・メゾ・マクロレベルを理解すること

フリースクールが他機関と連携する場合というのは、「メゾレベル間での連携」ということになります。少しだけ各レベルと整理しておくと、ミクロレベルとは、個人・家族・小集団などです。メゾレベルとは、組織・団体などです。マクロレベルとは、制度・政策などです。よって、メゾレベルで連携するということは、組織間調整ということになります。双方にとってメリットがあること/双方で出来ることを具体的に共有することなどが必須であると考えられます。


4 連携するための方法

連携の方法は様々ありますが、私自身が行っているいくつかの方法について紹介します。基本的は次の4つです。①対面、②オンライン、③電話、④メールです。これは連携の手段としての4つとなりますが、この4つの方法を用いるためのスキルも同時に必要になります。

コミュニケーションスキル、ネゴシエーションスキル、コーディネーションスキル、コーチングスキルなど様々です。更には、スキルに加え、戦略的計画づくり(Stragertic Planning)も重要です。特に組織間調整の中では、組織を理解することを踏まえ、組織の誰にどのようなアプローチをするのが良いのかなどをよく吟味して行う必要があります。正面突破も時には必要ですが、最終目標は目的の達成ですので、それを見失わずに様々な方法を駆使し取り組む必要があると感じています。


5 まとめ

本日は連携についての記事を書きましたが、上記に記せていない一つ一つのスキル等はたくさんあります。本日の記事では、フリースクールにおいては単独で動くことには限界があること、様々な機関と目的を持ってつながっていくことなどが必要であることを自分自身でも改めて整理しました。

最後になりますが、必要に応じて実施する、目的を達成するための一つの手段として「連携」が存在するということを深く認識する必要があることを、自戒を込めて、今後も大切にしていこうと思います。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。


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