見出し画像

オタクの備忘録[伝説巨神イデオン編]

皆さん、お久しぶりです。フリーダムです。前回の閃光のハサウェイの記事からだいぶ時間が経ってしまいましたが、また素晴らしい作品に出会ったので感想やら考察やらをまとめていこうと思います。

イデオンを見るきっかけ

そもそもなんでイデオンという古い作品を見ようと思ったかといいますと、富野由悠季作品に触れる機会が多かったからです。例えば先日公開されました「閃光のハサウェイ」「GのレコンギスタⅢ」などを見たことで他の作品との共通点や根底にある考えなどをもっと知れると思い、総集編もありその名前もよく聞くイデオンを選びました。

イデオンって?

この記事を読んでいる方の中には、イデオンを知らないっていう方もいるかも知れません。簡単に物語について紹介したいと思います。

地球外にも進出した人類は、「ソロ星」で宇宙船と3台の巨大車両を発見する。すると同時期に「イデ」と呼ばれるエネルギーを調査していた異星人と遭遇し戦闘となってしまう。これを退けるために主人公のコスモたちは、巨大車両に乗り込むと、3台は合体し巨大なロボ「イデオン」に変形する。イデオンのパワーは圧倒的でありなんとか乗り切る事ができる。この出来事をきっかけに「イデ」や「イデオン」をめぐり地球と異星人バッフ・クランとの戦争が始まる。その中で徐々にイデの正体が明らかになりながら地球人とバック・フランの人々の思惑が交錯し、アニメ史に残る終わりを迎える

イデオン

イデオン(デザインとしてはでっかいジム)

自分なりに超大まかなあらすじをまとめてみましたが、ネタバレをせずに感想や考察をまとめることは難しいので以下はネタバレ注意です。

イデオンを見た所感・考察

第一に感じたこととしては難しいし、よくわからないということです。それもそのはず、今回見た前編の「伝説巨神イデオン 接触篇」はTVアニメ版の1話から36話を再編集し、「伝説巨神イデオン 発動篇」はTVアニメ版の36話から39話と打ち切りで短縮された4話分を再編集したものであるからです。詰め込みに詰め込んでいるため、話が飛んでいるように感じるとこも多々ありました。自分をネットで色々調べながら咀嚼しました。それを踏まえた上でも「面白い」「考えさせられる部分」も多く見られました。

この作品最大の特徴はやはり「イデ」の存在でしょう。ソロ星の先住民第6文明人の意思が宿った無限のエネルギーであり、自らを扱える「善き心」を持つ生命体を選別する存在でした。そのため地球人もバッフ・クランも、もとは第6文明人を先祖とする種族であり、イデに期待された存在でしたがお互いを理解し合うことはできず最終的にはイデによって全滅させられてしまいます。とても子供向け番組とは思えないストーリー、ラストとなっており大人になった今見るからこそ様々なことを考える事のでき、「面白さ」を真に理解できると思います。

作中イデは正体不明のエネルギーでありそれを扱うことに関して懐疑的な人物も登場します。現代にも言えることであると考えます。原発を始めとしてそのシステムに危うさを伴いながらもその恩恵を受けている技術は多々あり、身近に持っているスマホでさえ私達はその原理を説明することはできません。そういった戦後のテクノロジー志向への警鐘は特撮作品のゴジラやウルトラマンをはじめ多くの作品でなされ本作品にもその要素が含んでいます。近年はわかりやすさを重視したライトノベルを原作としたような作品が多く、イデオンのような様々な示唆に富む作品が少なくなっていることに少し残念な気持ちになります。

富野作品はガンダムの宇宙世紀シリーズを見てきましたが一貫してテーマに

「人と人は理解し合えるのか」

ということが根底にあると感じます。ガンダムのニュータイプにしろイデにしろ対立する2つの陣営をまたぐ存在(1stのララァやイデオンのカララ)を通して「アムロとシャア」や「コスモとドバ」は戦いを繰り返しつつも対話によってもお互いを理解しようとしていました。(アムロとシャアはZで共闘しますが、逆シャアに至るまで理解し合うことはできず、コスモとドバも同様に手を取り合うことはできませんでした。)
これら2つの共通点は、

「共通の要素を持ち合わせているのに、少しの差で理解し会えない」

ことだと思います。アムロとシャアはふたりともスペースノイドでありニュータイプでありますが、置かれた立場の差からお互いにわかりあえないままアクシズとともに消えてしまいます。同じように地球人でるコスモも敵の総大将であるドバも、もとは第6文明人を祖先とする人類でありそこに違いはありません。(現に作中ではコスモたちのリーダーであるベスとバック・フランでありドバの娘のカララの間に子供が生まれます。)しかし、母星が違うということからお互いに憎みあい戦争をしているのです。


この作品においても人間の持ち合わせている嫉妬や怒り、悲しみ、恐怖が人と人が理解し合うことを困難にし手を取り合う勇気を妨げているように感じます。現実社会でも同様で貧富や宗教の差や人種または個人の利益のために理解しあえず争いがなくならないのです。


更には人類を選別している「イデ」でさえこれらを克服できていないと感じます。彼らは自らが生き残るために人類を選別し利用している自己中心的な思考をもとにアクションを起こしており、これらを克服した完璧な存在、ある種の「神」にはなれていません。

これらの描写や表現から富野監督は、

人と人はわかり合えない

と考えていたのではないでしょうか。多くのガンダム作品や今回のイデオンでも彼らが生きている限りではお互いに理解し合うことなく死んでいき、肉体を捨て精神のみの状態になってようやく境界がなくなり他者を理解することができるようになっていきます。私達は、他者が存在する限り、嫉妬や怒り、悲しみ、恐怖のような感情を捨て去ることはできないと感じます。

しかしながらわかり合うことのできない絶望だけがあるわけではないはずです。イデオンやベルトーチカ・チルドレン、そして多くのガンダム作品で描写される赤ちゃんや子どもたちには希望を見出していると感じます。彼らの持つ純粋な心に対してイデも焦点を当てていたように、未来ある子どもたちは柵もないためわかり合うことに対して最も近い存在であると感じます。

そして、わかり合えないけれどもわかろうとする努力はするべきです。カララは地球人とバッフ・クランが最後まで手を取り合うことできると信じていました。(姉との確執によって最後はイデに見捨てられ死んでしまいますが)我々は違いがあって当然であり、中には受け入れられないものも多々存在します。しかしながらすぐに拒絶してしまうのでは発展がない。歩み寄りを行うことでやがては人類も革新しニュータイプのように「分かり合うこと」も可能になるのではないでしょうか。

他作品との関わり

イデオンを視聴して、影響を受けている作品と影響を与えた作品があると考えました。

まず影響を受けている作品は、

STAR WARS

だと思います。
この時期(1970年代末期)の宇宙をテーマにしている作品は間違いなく影響を受けているはずです。イデオンにしろガンダムにしろビームの剣が出てきますがライトセイバーと取る事もできますし、イデの求める「善き心」というのもジェダイの精神とも似通っているように感じます。

続いて影響を与えた作品ですが、

庵野秀明作品

だと考えています。庵野秀明監督本人も名言しておりますが、その作品の節々で本作イデオンの要素を感じます。
例えば「トップをねらえ!」に登場するガンバスターの戦闘は、その圧倒的な力や戦い方にイデオンを感じます

イデオン戦闘

イデオンのミサイル発射

ホーミングレーザー

ガンバスターのホーミングレーザ

上記の画像からもよく似ていることがわかります。
更には描写にも多くの共通点が存在します。例えばイデが発動し人類が絶滅し精神世界が描かれた際には実写の海が描写されますが、エヴァンゲリオンシリーズにおいても多用される技法でもあります。また、全滅エンドというのも旧劇場版のラストとも重なります。庵野監督は、自身が手掛ける作品の中にたくさんのオマージュを仕込まれる方でもあるので気づくと嬉しくなるものです。いつか庵野作品についてもまとめてみたいと思います。

まとめ

イデオンの魅力について、自分の稚拙な文章では伝えきれていないと思います。ぜひこの記事を読んで興味を持った、考察が面白いと思った方は実際に見ていただきたいと思います。富野歴が長い方にはぜひこれ以外のおすすめ作品を教えていただきたいです。前回の記事からだいぶ時間が空いてしまったのですが、更新頻度をなんとか上げていきたいと思っていますので他の記事もよろしくお願いいたします。Twitter(Freedom@趣味 )もやっていますので是非フォローお願いします。それでは皆様、次回のnoteでお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?