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5.障がい者と演劇

前の記事で述べた通り、好きなものへの集中力や熱意は障がいの特性も相まって、かなり質の高いものと考えられます。演劇においても、自分に与えられた役(その役が自分自身に即して割り振られたものであっても)に対する作り込みや、演出や脚本の想定を超えた動きを見せてくれることが多いと感じます。

公演する上で意識してもらいたいことを伝えはしますが、彼らの演技を否定することは決して行いません。(あくまで私の見てきたレッスンや公演の話で、未だにダメ出しを良しとするケースもありますが)
「否定されない」即ち「ありのままの自分が受け入れられる」経験、正に受容であり、インクルーシブの一つではないでしょうか。このことは障がいの有無に関わらず、誰にでも必要なことと感じられます。

ただ、お遊戯会や発表会との差別化に悩む劇団があるのも事実です。
「障がい者なのに演技が上手い」という考えにはしたくない。
「一般的な役者に比べると下手」と思われてしまうのも本心ではない。
残念な話ですが、一生懸命上手に演技をしようと尽力する役者ほど、一般的に見てしまうと技術不足を感じてしまいます。ありのままの演技が魅力!と言いたいところですが、この一生懸命さも彼らの特性・強みです。

「上手い演技とは」も含めて、障がい者演劇のどこに重きを置くのか、何をお客様に感じていただくか、まだまだ勉強の身です。

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