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4.障がい者の表現活動

さて、ここまでは「演劇の今」について述べてきましたが、ここで福祉の方に目を向けてみるとします。

昨今、障がい者の表現活動に注目が向き始めているのはご存知でしょうか。「ヘラルボニー」という会社が、ニュースやインタビュー記事で取り上げられるようになったのがその一例です。こちらは、障がい者が描いた絵をデザインとしてアパレル企業に提供し、一般的な衣服の価格で販売する事業を行なっています。(noteにも記事をあげてらっしゃいますね)

一般的と述べましたが、障がい者の作ったものを販売すること自体は以前から行われています。(=自主製品販売)バザーやフリマといったイベント、役所の一角、紙漉き製品や縫い物、菓子類を販売しているのを見たことありませんか?こういった商品は大抵1000円未満で販売されています。

彼らは、このような自主製品販売に加え、工場の下請け作業、鉄や古紙を業者に納品しての売り上げ等を経て、月1万に満たない額を稼いでいます。中には企業の障がい者雇用で勤めている人もいますが、結局そういう人は、「障がいが軽い」「能力が高い」と判断されているのが現実です。心身や精神にハンデを抱え、仕事に取り組めないコンディションの時もある中、「お金のため」と支援員に鼓舞されて、決して高額ではない給料を受け取る姿を目の当たりにしてきました。
(著者も鼓舞する側の人間になっていましたが…)
 
この事実に疑問を抱き、先述の事業を行っている例の一つがヘラルボニーです。障がいの特性に各個人の性格も考慮し、好きな時に好きなものをひたすら描き続けるお仕事の機会をつくり、生まれたデザインを大手企業に提供し、一人のアーティストとして収入を得る。障がいの有無に関係なく、魅力的な働き方であるのは言うまでもありませんね。

こういった実例を受けてか、障がい者の表現活動を見直し、取り組み始めている法人や施設が増えてきています。障がい者の表現活動に特化した支援センターや相談支援も見られるようになってきました。展示会の開催、作品そのものを販売・レンタルして収入を得ているケースも見られます。障がい者の絵画がカフェに展示されているの目にする機会も増えました。

ですが、あくまで絵画や作品、商品としての表現活動が盛り上がりを見せていますが、ダンスや演劇といった身体表現については、未だ「手探り」と評する団体が多いのが現状です。ダンスに関してはイベントの機会が多く、障がい者のダンスチーム間や振付師・ダンサーとのコラボレーションが積極的に行われています。施設利用者を集めてダンスを踊る活動は施設行事の定番ですし、東京五輪で障がい者ダンサーが活躍したのも記憶に新しいです。

結局この分野においても、演劇に感じる敷居の高さは表れているようですね。

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