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結婚式で父母に読む手紙

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この小説は、1000文字程度の短編物語です。
今回は読者様からのリクエストがあり「結婚式で父母に読む手紙」と題して作成しました。
どうぞ、楽しんでくださいね。
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まだ梅雨と呼ぶには早いある日のこと。
光沢のあるウエディンググローブから、少し汗ばんだ手をだした。
2時間ぶりに空気にふれた手が、管理された空調のおかげで気持ちが良い。

バックから取り出したB4サイズの白い封筒には、折り目のついた手紙が出番を待っている。

*****

「お父さん、お母さん
今まで育ててくれてありがとう。
本当に感謝してる」

・・・・・・

数秒間、私はまぶたで照明の光を遮った。

・・・・・・

「本当はね。手紙を用意してきたんだけど、、、

普段から仲が良い私達だから、今のそのまんまの気持ちを伝えたい。そんな風に思うんだけど、いいよね?



私はどんな娘だったかな?

自由奔放で、気の向くままに県外に就職しては、落ち着いてきたと思ったら仕事を変える。たまに地元に帰って来たと思ったら妹を連れ回してカフェ巡り。
気がついたら結婚するとか・・・・・・お父さん。ビックリしたんじゃない?
それでいて、困ったときはちゃっかりご飯に連れてってもらって不機嫌がリセットされるような、ちょっと面倒くさい娘だよね。
ホントごめんなさい。

仕事も結婚も自分のやりたいことを見据えてまっすぐに進める人なら苦労はしないんだろうけど、そんな簡単なものでもないのは27年の経験で多少は理解してる。

綺麗に誰もが憧れるような妻や家族になんて、私には作れないかもしれない。

でもこれからも私は挑戦する。仕事も家庭もプライベートも。精一杯楽しむの!

今日が明日になっても明後日になっても、これからもお父さんとお母さんの娘として、わがままをいうと思う。

でも許して!精一杯やりたいことをやって、わがままをいってるのが、、、
それが私だから。

嫁にいったからって冷たくしないでね。
その代わり、私が全力で幸せになってる姿、今度は間近で見せてあげる。

だからいつまでも元気でいてね!またご飯食べに行こう。
たまには私が奢るからさ。

じゃあ、また後でね。お父さんとお母さん大好きだよ!」

*****

「ねぇ母さん。しまってあったこの手紙ってなに・・・?」
「これね、私が結婚するときにおじいちゃんとおばあちゃんに読んだ手紙だよ」
「じゃあ、今度は私の番ね」

(882文字)

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