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どこまでがディスレクシアのせいなのか?〜書かない授業で、短期記憶の力が伸びている〜

筆記用具に1秒たりとも触らない授業を始めて、もうすぐ1ヶ月?
英単語をカードを使用しながら覚える方法で、以前より覚えが良くなっているように感じます。本人も、「あれ、へんだな? どうして覚えているんだろう?」という感覚を持っているようです。
この授業を始めた頃は、やってもやっても定着しないので、このやり方は無理かな、と思いつつ、一つの仮説もあったので、本人も私も辛抱強く続けていました。ここにきて変化が見えています。

ディスレクシアが強く疑われる中学生生徒への学習指導。
1回1回の授業は、気づきがとても多く、気づいたことも、翌週には修正されたりして、追いつかないところがあります。
が、そう言って記憶を置き去りにしてしまうと忘れてしまいそうなので、曖昧なことや、後で大きな修正をかけることもあるとは思いますが、とにかくこのnoteに書いていきたいと思います。
試行錯誤した後、結論としてまとめられることや整理した内容は、どこか別のサイトにまとめられればと思っています。

ディスレクシアと一言で言っても、症状や問題解決方法は様々です。一方、共通することもきっと多いと思います。
ご自身のこと、身近な方のことでディスレクシアに関することは、ご自身の体験や考えを通して行うことが大切だと思います。ここに書くことは、一人の個人に関してのことなので、参考に留めてください。

低次の支援方法の模索(タブレットの使い方など。将来のために)と、高次の支援方法の模索(情報認知処理の同時処理型を応用して、学力をつける方法を模索)をするという視点を持って、指導しています。

まず英単語カードは、以前に書いた”同時処理型”の人に快適な方法、で作る。

カードによる暗記といっても、棒暗記にはならないようにしている。
こちらから、例文をいくつも言ったり、本人に考えさせたり。
「whichと、どっち、って、音が似ているねー!」などと、音に注目させたり。
this, thatは日本語教室よろしく、「物を指す時」ということで、実際の物を置いて話したり(ええ、そこからなんです)、ついでに、「日本語の”それ”って、相手の近くにあるもののことなんだよ(「そういえば、ほんと、そうだ!へー!」)。外国語にはあまりないみたいよ。”これ”と”あれ”の二つだけって、日本語より簡単だねー」などという中身の対話をしたり。
「うーん。famousかぁ。中学生、って、この単語の意味を”人気がある”って憶えがちなんだよね(彼女もそうだった)。でも、人気がない有名もあるからさ(「うんうん」)。人気がない有名な人て誰だ?」
「ふわちゃん」
「ええー⁈人気ない?」
「炎上したから」
「まー、炎上はしたよねー。あ、Fの音繋がりで、覚えやすいかも!」などと、
あらゆるストーリーと結びつけながら、単語について対話する。
できるものは、語源の話などもする(まだそこまで複雑な単語は出てこない)。
そういうことはやっているのだが、それでも、”まとめてカードで覚える”時間はとっている(ストーリーの中で都度覚えるのではない、ということ)。

初めの頃は、苦戦した。
今まで学年ほぼビリから県でのトップレベルまでの100人ほどの中学生を個別指導してきたけれど、「これは・・・。ここまで覚えられないのは初めて。無理かも⁈」と思いつつ、一定程度の量の基礎的な単語の意味は覚えきらないと、あらゆる場面で話が前へ進まないので、手を替え品を替え、頑張った。

するとある日から、ふ、と、覚えられる単語の量が増えてきた。
授業時間内でも、不憫になって「もうやめようか」と思うほど、同じ単語を覚えられなかったのが、覚えられるようになってきた。
これはどういうことだろう?

”書けない”彼女は、単語を覚えるという局面に至るまでのハードル数が多すぎた。それが、覚えるだけ(ストーリーをつけて)という行為に特化したために、
初めて”覚える”という行為に集中することができたのでは?
自分の頭の中の”覚える”回路を、初めて意識的に使ったのでは?
そして、その回路ができてきて、覚えるスピードが上がったのでは?

この感覚は、以前もあった。
成績の振るわない生徒に、その生徒にフィットする方法で教え始めると、諦めから手をつけていなかった事項の能力(知識量ではない)が上がり、その能力で学校でのパフォーマンスも上がるというような。

目に見える”学力不振”は、全てが”学習障害”のせいではない。
既存のカリキュラムの中で、”学習障害”が文字通り”障害”となって、諦めを産み、もともと潜在している能力も開発されないでしまうのではないか。
既存のカリキュラムと違うプロセスで、もともとある能力が開発されることもあるんじゃないだろうか。

彼女が、どこまでいけるか。
今つけ始めた能力が、早々に頭打ちになるかもしれないが、
彼女自身
「学校の英語もわかるようになってきたから、前ほど辛くない」
と言っていることから、
少し調子に乗って、でも慎重に、
彼女に合った学習方法を進めていきたい。

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