見出し画像

かみなりと飛行機(1/2)

航空機は飛行中、駐機中にかかわらず、避雷します。
しかし、中にいたとしても、痛い思いをしたり、感電したりすることはありません。
一体なぜでしょうか?
その理由を、飛行機と雷の関係性を以下に分けて説明します。

1、雷はなぜ発生するのか
2、電気の基本と恐ろしさ
3、機内は安全?
4、一番危ないシチュエーション
5、避雷時の整備士の点検


1、雷はなぜ発生するのか

雷には「夏の雷」と「冬の雷」というものがあります。
8月の記事なので「夏の雷」について解説します。

雲の中で水と氷がぶつかり合って、+と−の電荷ができます。(乾電池の+/−です)
そして雲の下側に「−」が溜まります。
一方で、地上には「+」があり、上昇気流によって雲の高さまで持ち上げられます。

そして地上の「+」が、雲の「ー」にたどり着いた時に、「+」から「ー」へ流れる電気が雷なのです。

ここまで読んで勘の鋭い方はお気づきかも知れませんが、雷の電気は地上から上空の雲に流れるのです。
「雷が落ちる」と表現されるので、逆のイメージを持ってしまいますね。

雷に打たれると、感電や焼け焦げるようなイメージが浮かぶと思います。
では一体なぜ、飛行機や車の中にいると、雷に打たれても、中にいる人は平気なのでしょうか?


2、電気の基本と恐ろしさ

その理由を理解して頂くために、簡単な電気の話からさせてください。
電気の世界にも「力」「量」「流れにくさ」の考え方があります。
数値化できるように
・力:電圧(V/ボルト)
・量:電流(A/アンペア)
・流れにくさ:抵抗(Ω/オーム)
として扱われています。

絵と比較しながらお読みください。

①電気は発電機や雷によって電気の力(電圧)が発生します。

②この力が強いほど、たくさんの量の電気(たくさんの電流)が、電線やコンセントに流れます。

③その途中に家電を接続すれば作動しますし、人間を接続すれば感電します。
そして家電や人間には必ず電気の流れにくさ(抵抗)を持っていますので、その分流れる電流(量)は少なくなります。

雷は1億Vです。
比較の目安として
・家庭用の電源は100Vです。(1/100万)
・ピカチュウの必殺技は10万Vです。(1/1000)
・全国の家電量販店は100満Vです。(1/100)
いかに雷の力(電圧)が高いかお分かりになるかと思います。

人間がダイレクトに避雷してしますと50,000アンペア流れることになります
(電圧1億V、抵抗2千Ωで、ざっくり計算した値です)

ちなみに0.05アンペアでも1秒以上人の体に流れると、呼吸停止、重度の火傷が生じます。


3、機内は安全?



なぜ飛行機の中では人は無事でいられるのでしょうか?

それは、雷の電流が飛行機の金属部分を流れてくれるからです。
電気は複数の経路がある場合、流れやすい方を流れるため、人より金属の胴体部分を流れるというわけです。
(人の抵抗>金属部の抵抗)

ただし、胴体には電気が侵入し、また胴体から出ていくので、その部分は焼き焦げたり溶解してしまいます。


長くなってしまいましたので、次回の記事で以下について記します。
4、一番危ないシチュエーション
5、避雷時の整備士の点検



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?