【ブルーレイ化希望】「ナウシカ歌舞伎」で味わった、全巻分イッキ見の快楽!
時は2019年12月。
まだコロナ・ウイルスの脅威にさらされていない頃。
本当にたまげましたよ。
新橋演舞場で上演されていた新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は”全巻分イッキ見せ”という。
映画版はコミックの2巻までの内容なのですが、歌舞伎では全7巻分を扱うというのですから。
つまり映画の3倍以上の物語になるんですね。
それを昼夜あわせて7時間30分かけて一気に見せるというもう覇王的なダイナミズムの舞台でして。
そんな強烈な舞台、絶対に体感しにいくしかないでしょ!
というわけで行ってきましたのは新橋演舞場。
午前10時30分に入場開始。
まずは、イヤホンガイドを700円でキープして、お弁当を。
もちろん早飯で即食べで。
そして、序幕「青き衣の者、金色の野に立つ」が11時に開演。
※このあたりからネタばれが始まります。お気を付けくださいませ。
王蟲とかガンシップとかメーヴェとか。
本当に用意しちゃうんだから、もう本気度が半端ない。
また王蟲のサイズ感が本当に再現されている感じの大きさで、実際に向き合ったらこんなかんじなのかぁ~という感動たるや。
また、公演中に痛めた左ひじの骨折を感じさせないナウシカ役・尾上菊之助さんの芝居がこちらにどえらい緊張感をこうもたらしてまして。
さらにさらにクシャナ役の中村七之助さんにいたっては、ばっしばしに神々しいオーラ出ちゃってましたね。クシャナがずんずん出てくるだけで観客から歓喜の声がもれてくるような。
本当にすごい舞台で。
圧倒されていたら、「ええ~!」って思うぐらいしっかりと序盤1時間20分で映画版のSTORYに追いついてしまいました。
いや、お見事!
そしてここからですよ。全巻分イッキ見の醍醐味。
二幕目「悪魔の法の復活」が12時55分から開幕。
メディア化されたことがないゾーンに侵入する背徳感とでも申しましょうか。ここから先、自分ごときが見ちゃってもよろしゅうございますか?という気分に。
”蟲使い”とか。思えばこの”蟲使い”登場からが未知のゾーンの入り口だったんですね。
原作好きとしてはごくりとつばをのんじゃいます。
二幕目で素敵なのは尾上松也さん演じるユパ様が水しぶきの中で大立ち回りをするのですが、キレといいもうめちゃくちゃ格好いいです。
んで三幕目「白き魔女、血の道を征く」が14時から開幕。
いよいよ地上戦に向かうナウシカ。
漫画でしか読めなかったあのストーリーがこうして歌舞伎で拝めるなんて想像だにしていなかった。
強烈だったのはメーヴェでの宙乗りシーン。
ひじを痛めているにも関わらず、まさかのメーヴェ乗り(両手でささえて両足を後ろに突き出すあのスタイル)をされてまして。
メーヴェ乗りになった瞬間、トルメキア兵のように「おおおー!!!」と後方の男性客が大きな声を出してました(もちろん会場のお客様すべてが声をあげたのですが)。
観客へのサービスといいますか、お芝居への本気度といいますか、もう鳥肌もので。
そんな感動の連続の中、14時30分ごろ昼の部が終了。
興奮もさめやらぬ状態で16時に再び入場。
また、お弁当を即食べで。
16時30分からの四幕目「大海嘯」は私のおすすめです。
イチオシ。
クシャナとクロトワの掛け合いが好きで、まさに映画版では堪能しきれなかったこの組み合わせですが、蟲の大群を前にクシャナがクロトワに子守唄を聞かせるシーンは神が降臨していたかと。
コミックでいうところのクロトワが「クシャナが歌ってやがる!?」と心の中でひとりごちるシーンです。
この子守唄のメロディがまた意外なかんじで。
ぜひブルーレイもしくはDVD版が出ましたらそのシーンをご堪能いただきたい。
そして、18時15分の五幕目から大詰までの展開はより歌舞伎色が強くなりつつもきっちりとビッグサイズの巨神兵が出てきたりもう話の作りこみがすごいんです。
このあたりはブルーレイもしくはDVD版が出ましたらお楽しみいただければと思います。
ちゃんとナウシカでしたし、ちゃんと歌舞伎でした。
このバランス、鳥肌もので。
そんなこんなで20時30分に終演となり会場を後にするころには頭の中が全部ナウシカですよ。
やはり全七巻分を一気に見ると「ナウシカ像」が深くなってきます。
映画では蟲や人を愛する「変わらないナウシカ」が描かれていますが、全七巻分ですと地上戦にも参戦したり、胞子にまみれたり、ヒドラが作った母親の幻想に誘惑されたり、巨神兵の母となったりと「変わりゆくナウシカ」を見ることができます。
人物像がめちゃくちゃ深くなりクライマックスではえもいわれぬ気持になりました。
同時にクシャナも「変わらないクシャナ」から「変わりゆくクシャナ」が描かれています。
それを一日でいっぺんに見ることの豪華さたるやもう快楽としかいいようがないです。
Netflixのコンテンツなども最近そうですが、長い尺のコンテンツやドラマのイッキ配信などトレンドがそちらに向かいつつある気もしています。
「イッキ見の快楽」とでも申しましょうか。
新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』はこれだけ豪華なメンバーでめちゃくちゃ凝った作り込みなので再び舞台で見ることができる機会も少ないかと思いますが、毎年恒例の演目などになっていただけると大変うれしいです。
あとイッキ見の快楽としましては、『不思議の海のナディア』歌舞伎もあったら観てみたいと夢想しました。
ちなみにグッズですが、テトのぬいぐるみとブローチが売切れでした。
よって、テトが裏に入っている湯飲みを買って帰りました。
また、夜公演でもイヤホンガイドを使用しました。
台詞は現代語的で聞き取りやすいのですが、設定の説明や歌舞伎の知識がよく分かって大変ありがたかったのでおすすめいたします。
本当に神がかった舞台でした。
映画版の『風の谷のナウシカ』のように人生をとおして何度も何度も見続けたい内容でした。ですのでブルーレイ版を強くのぞみます。
今、新型コロナウイルス対策で舞台系のビジネスは苦境に立たされていますが、歌舞伎界の皆様に明るい日差しがそそがれるよう願っております。
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