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森井の鑑賞記録 2021年1月

【1月13日 ジュスタン・テイラー チェンバロリサイタル(王子ホール)】

コロナ禍による延期を2回挟んだ末に実現した公演であった。

演目はゴルトベルク変奏曲である。晴朗で表情豊かにライブ感と躍動感が同期していて、久々にチェンバロの生演奏を味わえてしみじみよかったと思う。年明け日本3箇所での公演のために、年末年始を挟んで21日間滞在してくれてありがとうと言いたい。

あまりに楽しく弾いていて、聴いているこちらも憂さを忘れた。自分は舞台から向かって右側に座っていて手元が見えなかった。まるで鍵盤に親しげな呪文をかけて、ひとりでに演奏させているのかとすら錯覚した。強くてしなやかな技術に支えられたチャーミングな音楽で満たされた。

王子どころか天使が舞い降りてきた。ホールは温かい拍手に包まれた。