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【表現研】百合作品に現れる「尊さ」と形容される一種の感情について



諸君,私は百合作品が好きだ 

諸君,私は百合作品が好きだ 

諸君,私は百合作品が大好きだ  

純情物が好きだ 

悲恋物が好きだ 

階級差物が好きだ 

同級生物が好きだ 

歳の差物が好きだ 

ソフト物が好きだ 

ヤンデレ系が好きだ 

寝取られ物が好きだ 

百合堕ち物が好きだ  

学校で 職場で 

過去で 未来で 

都会で 田舎で 

日常で 異世界で 

戦場で 寝室で 

 この地上で生産されるありとあらゆる百合作品が大好きだ 

 …いきなり頭が極悪なテンションでお送りしました,どうもこんにちは.

 冒頭の通り,私は女の子同士の友情や恋愛を描いたコンテンツ,いわゆる百合系が結構好きです.ただその知識がディープかどうかは疑問があり,せいぜいアニメイトなどの書店で気になった本を表紙買いしたり,コミックマーケットでいくらか同人誌を買ったりする程度なので人より詳しいかと言われたらそうでもありません.好きな作品もコミック百合姫などソフトなモノが多いのでいわゆる一般的な範疇に括られると思います. 

では,なぜ今回この記事を書いたのでしょうか. それは,私は良い百合作品に通底する概念−「尊さ」について確かに触れたという実感があり,その経験を少しでも他者に伝播したいと考えたからです. もう一度言います.優れた百合作品は,「尊い」のです. 我々は,その「尊さ」を日々の糧にしてこの辛く苦しく先の見えない現実世界をなんとか耐え抜いて生きているとも言えます. 

しかしながら,私はこの「尊さ」という概念をいまだ十分に言語化できていません. もしかすると「尊さ」は,岡潔の言う「情緒」のような,定義を語るのではなく形容することでしかその概念を説明できない言葉なのかもしれません. 百合作品は尊いから尊いのです.こまけぇこたぁいいんだよ.おわり  

…ただ,このままでは他者に百合作品の「尊さ」を伝えることはできません. また定義を語れないからと言ってそれに満足し言語化,及び表現する努力を怠るのはオタクとしてどうなのでしょうか.満足な豚と不満足な豚ならば,私は不満足な豚であることを望みます.現状に不満足であるならば,これより先に事態が好転する可能性があるからです.  

では,百合作品はなぜ「尊い」のでしょうか.そもそも「尊さ」とはなんなのでしょうか. 私は,百合作品が「現実世界にある種々のしがらみを排除し,純粋に人物の関係性のみを抽出,デザインしているから」だと考えます.翻って考えてみますと,百合作品には余計な思考を挟むような要素ができる限り排除されています.性的関係などどうしても付随してくる要素の多い異性間ではなく,女の子どうしなのでそのような要素を制御しやすいのはいうまでもないでしょう.もちろん,女の子どうしの性的行為を描いた百合作品もありますが,百合作品でのそのような性的行為は異性間ではどうしてもつきまとう「生殖」という生物的な生々しい要素を読者に想定させず,女の子たちの関係性を表現する一手段としての役割のみを発揮します.  

また,百合作品に出てくる登場人物は大抵美少女という設定なので容姿,という人間に関わる要素の中である意味一番どうしようもないものを無視できる,という点も大きいです.ルッキズムの是非が議論されて久しいですが,やはり現実世界では人間の容姿が人間関係に与える影響は否定できないでしょう.しかしながら,百合作品では容姿というものに惑わされず,より純粋に人間の関係性を描けるのです. 「汚い現実世界から汚点を取り除いた世界を描く」のではなく,「現実世界では見えない純粋な関係性を描く」のです. ところで,最近読んだ本に,「芸術とは現実世界をどのように表現するかを考えるという行為」であると言ったような記述がありました.その意味から照らせば,百合作品は確かに芸術という行為に沿っていると言えます.

 そして,「尊さ」とはそのような「女の子どうしの純粋な関係性」に触れたことで一瞬でも感じられる「光」のようなものではないでしょうか.普段生きていく上では到底経験しようのない混じり気のない感情,情動に触れた結果,脳の処理能力がオーバヒートし「尊い」という単語しか口から出力されなくなってしまう,というわけです. 具体的な作品紹介に関しては凄まじく長くなりそうなので,今回はここらへんで筆を置いておこうと思います.

#表現研 #百合 #アニメ #漫画 #まんがタイムきらら #コミック百合姫





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