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[VR開発#2]開発環境を整えよう

VRコンテンツ開発環境

エンジニアのコヒロトです。「[VR開発]VRエンジニアとして」では、VR世界(VRコンテンツ)は誰でも作れると書いた。今回は、具体的にどのような環境を用意すれば作成できるのかを書いていこう。

私がVRコンテンツを開発するために使用している環境は下記である。

開発プラットフォーム:Unity
PC:Lenovo Legion 550Pi
VRヘッドセット:Meta Quest2

開発環境(Meta Quest2と開発用PC)

Unityについて

Unityとは、米国のUnity Technologies社が開発した開発プラットフォームであり、ゲーム制作に必要な機能をひとまとめにしたツールである。Niantic, Inc.のPokémon GOや株式会社Cygames.のウマ娘 プリティダービー等はこのUnityで作られている。もとはゲーム制作用のツールではあるものの、汎用性の高さから、建築業界や医療業界等広い分野でも利用されている。
プロが使うツールであるためさぞ高価なのだろうと思うかもしれないが、非商用目的など条件を満たせば無料で使用することが可能である(有料版は機能が充実しているので、必要により購入を検討しても良いだろう)。

VR開発でUnityを使用する主なメリットは下記である。

1.直感的な操作により比較的簡単に開発が可能
ゲーム制作用ツールとなると、美しい3Dオブジェクトを作成したり、複雑な処理をさせるためのプログラミングを行うための技術が必要と想像する人も多いだろう。ところがUnityでは、初めから用意されているオブジェクトやコンポーネントと呼ばれる機能をマウス操作で直感的に組み合わせるだけでもVRコンテンツを作ることは可能である。

2.多様なリソースを容易に追加可能
Unityに初めから用意されているオブジェクトと書いたが、それらは球体や直方体といった非常にシンプルな形状である。もっと複雑な形状のオブジェクトや動物などを使いたい場合は、アセットストアと呼ばれるオンラインストアで購入することができる。このストアには3Dオブジェクトだけでなく、サウンドやエフェクト等多種多様なアセットが販売されているため、Unityでコンテンツ開発をする際に必要なものがあれば探してみると良いだろう。
このアセットストアでは、Meta Quest用のVRコンテンツを開発する上で必要となる開発ツールも公開されている。具体的な入手方法は今後説明する予定である。

3.Unity開発に関する豊富な情報量
Unityは世界で最も使用されているゲーム制作用ツールである。そのため、Unityについて書かれた書籍は多く、ブログ等にも様々な情報が記載されている。また、Unity Technologies社が公開しているUnity Learning Materialsでは、Unityを学ぶための動画や資料が公開されている。カテゴリー別に整理されているので、興味のある動画を順番に見ていくだけでも参考になるだろう。

このように、VRコンテンツを開発するうえでUnityを使用するには様々なメリットがある。機能が多いだけに初めは少し戸惑うかもしれないが、ある程度慣れてくれば直感的に開発できるために強力な武器となることだろう。

ただし、VRコンテンツを開発するためにUnityをインストールするPCはやや高めのスペックのものを選んだ方が良い。推奨環境はcorei7以上、メモリ16GB以上、GPU RTX3060以上が良いだろう。

Meta Questについて

Meta Questは、Meta社が開発したVRヘッドセット(頭部に装着することでVRコンテンツを体験できるヘッドマウントディスプレー)である。現在販売されているものは、Meta Quest2、Meta Quest3、Meta Quest Proがある。特にMeta Quest3は、最近家電量販店で見かけた方も多いのではないだろうか。

Meta Quest2は2020年に発売された。他のVRヘッドセットと比較して安価でありながら、完全ワイヤレスでPCがなくてもVR体験ができ、精度の高いトラッキング機能を有しているためにコストパフォーマンスが良く、入門用VRヘッドセットとして高い評価を得た。
2023年に発売されたMeta Quest3はMeta Quest2をパワーアップさせたモデルであり、VRだけでなくARやMRも体験できる。様々な点で性能が向上しているものの、その分価格も高くなった(それぞれのスペックの比較はこちら参照)。

VRコンテンツを開発する際には、VRヘッドセットのハードウェアスペックを考慮する必要がある。例えば、綺麗なグラフィックや負荷の大きな処理を入れるとパフォーマンスが低下し、描画更新速度が極端に遅くなる。頭を動かしても画面が更新されなかったり、カクカクと動いてしまうことで感覚のズレが生じ、VR酔いにもつながってしまう。
そのため、VRヘッドセットのスペックに合わせて負荷の少ないコンテンツを作成する必要がある。逆に言えば、より高負荷なコンテンツを作成したい場合はスペックの高いVRヘッドセットを用意する必要があるだろう。

私は2020年、Meta Quest2が発売されてすぐに購入し、VRプロフェッショナルアカデミーでも同機を使用した。アカデミーでは複数のコンテンツを開発あるいは他の学生が作成したコンテンツを体験したが、高負荷によるパフォーマンス低下によりVR酔いも多く経験した。
コンテンツの内容にもよるが、VR世界では現実にはない派手な演出をしたい、あるいは現実世界を究極に再現したいということが少なからずあるだろう。しかし、いずれも気を付けなければパフォーマンスの低下を招くため、開発には常にトレードオフが必要となる。そのため、可能な限りスペックの高いVRヘッドセットを購入しておいた方が良いと考える。

あとは、開発目的以外でどのような体験をしたいか、予算はどれくらいかも考慮し、適切なVRヘッドセットを選ぶべきだろう。

なお、開発中はデバッグのためにPCとVRヘッドセットを接続するが、USB3.0以上で少なくとも片側がType-C、かつ通信と給電に対応しているものを準備する必要がある。VRコンテンツは体も動かすため、少なくとも3mはあった方が良いだろう。
ちなみに、私はこちらを使用している。

TEXT_コヒロト




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