突然はじまった「読む」

私が突然読書にはまったのは今年2023年、37歳になってからだ。
今回はそのきっかけを話してみようと思う。
それまではゲームとX(旧Twitter)をしてその間に音楽をやるような人間だった。
TV・映画・アニメなども、気になった作品は見るものの、積極的にそれらを摂取することはなかった。
とりわけ本に関しては「読んでみたい」という気持ちを抱くことなくこの歳まで生きてきた。
学生生活以外で自主的に読んだ本といえば、ただ1冊「ハリーポッターと賢者の石」だけだ(中学生のころ、映画化もされる前の本作をなぜだかネット通販で買って読んだ。そしてハマらなかった)。

しかし本を読まない人生の中にも本の影響は沢山ある。
アニメ「攻殻機動隊SAC」では小説「ライ麦畑で捕まえて」をフィーチャーしているし、
大いに熱狂したシン・エヴァンゲリオンのサブタイトル「THRICE UPON A TIME」は小説「未来からのホットライン」に由来するし(アニメ「シュタインズゲート」の元ネタでもある)、
大好きなゲームシリーズである「メタルギアソリッド」では小説「1984年」や「白鯨」などがしきりに引用されている。
私は自分が好む作品の源泉となった作品の内容が知りたくなってきた。それからぼんやりとSFが読んでみたいという気持ちが芽生えてきた。

そんな気持ちを抱える中、X(旧Twitter)のタイムラインに
「傑作SF作品がアマゾンでセール中!今すぐ買え!」
というような投稿が流れてきた。
そこでは「プロジェクトヘイルメアリー」や「三体」などが紹介されていた。どれも面白いと評判ではあるものの、巻数も多く、読めるかどうか不安であった(今となっては「いいから買え!」と言う側の人間になっている)。
そんな中に「老ヴォールの惑星」という本が混じっていた。
"400円台" + "短編集" + "高評価"
まさに自分にぴったりだ!と買ってみた。
驚くほどスルスルと読めた。
読み終わると読書へのアレルギーがなくなっていた。
本の感想はここでは割愛するが、なんだかこの本が特効薬のように効いてしまった。
自分で本を読もうとして読み切るという成功体験が自分には欠如していたのかもしれない。
その日から私は「本が読める」人になった。
まずはSF繋がりで「プロジェクトヘイルメアリー」・「火星の人」を読み
「1984年」を読みそこから「1Q84」を読み、「遅いインターネット」を読んだ。
関連性から読書が連鎖していく。そして本から受け止めきれないほどの情報を受け取って、なんとか消化して、こうして出力している。
読む事にこんなに力があるのだということを知らなかった。
いや、本当は知ってはいたのだと思う。私が素敵だと思う人はみんな読書家だったから。
「読書は最高。君も今すぐ読書教に入ろう」と言いたいわけではないし、この記事で何か強いメッセージを発信したいわけではない。
ただ、醸成していた何かが突然形となって現れることがある、ということを他の人に伝えてみたいと思ったのだ。

信号待ちをしているときにふと思ったことがある。
「このトラックの運転手の人は運転を一切しない自分とは正反対に、自分が全く知らないような道を何百キロも毎日走っている。この人は一体どんな人生を送っているんだろう」。
私は本をトラックの運転手と同じような「近くにいるけれど届かない存在」だと思っていた。
でも本は簡単に手に取れるし、開いたらすべてを見せてくれた。
タイムラインを覗き疲れたら、本を覗いてみようよ。




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