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プレゼン通じて自信アップ

9年生のとき、授業中に生徒一人一人がプレゼンテーションをする機会がありました。プレゼンといえば、なんとなく文系の教科を連想しがちですが、僕達が発表したのは化学の授業の一環として。何のテーマについて、そしてそれをどのようにプレゼンするかは、生徒の裁量に委ねられていました。先生が課した唯一の条件は、「自分が選んだテーマを、あくまで化学的な観点から捉えること」。

そのとき、僕は『広島・長崎の原爆投下』について発表しました。

まずは、原爆投下に関する歴史的背景、そして投下による被害について、客観的なデータを用いながら概説。その後、原爆投下がなぜあれほどの被害を招いたのか、化学の観点から説明するという、2ステップアプローチを採用。当時主流だったオーバーヘッドプロジェクターを駆使しながらの発表となりました。

僕がプレゼンするに際しては、あくまで客観に徹し、原爆投下の是非を問うというようなことはあえて避けました。プレゼンは化学の授業の一環であり、政治的・歴史的な議論をするのが目的ではなかったし、そもそも、原爆投下について何をどう考えるかは、聴講者の判断に委ねよう。そして、彼らが判断できるようになるために、自分はあくまで客観的な発表を心がけよう。僕は自分のプレゼンを、そのように位置づけたのです。

プレゼンテーションを通じて、先生は僕達に何を学ばせようとしたのでしょうか。目的の一つが、これまでの授業で得た化学の知識を応用させることであったのは確かでしょう。しかし、先生がより重要視していたのは、化学をはじめとするあらゆる学問分野が、自分なりの意見をもつきっかけとなることを、生徒達自らに気づかせることだったのだと思います。

「判断は聴講者に委ねる」という僕のプレゼン方法が、先生の意図に合致していたためでしょうか。僕の発表はクラスのみんな、そして先生から好評を得ることができました。

なお、僕の発表が好評であったのには、タイミングも大きく影響しています。9・10年生といえば、クラスの団結力がもっとも高く、学校生活について余計な不安を抱くことも、失敗を恐れる必要もなかった時期。あの頃、僕は『時』が自分の味方になってくれていることを肌で感じていたのでした。

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