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Praktikumを活かせなかった自分

ドイツでは原則としてすべての学校種において、中等部~高等部になると、『Praktikumプラクティクム』と呼ばれる職場体験が実施されます。目的は、生徒達に職業の現場を体験させることを通じて職業観を育ませ、自分の進路を決めるために必要な判断能力を身につけること。期間は、学校によって差があるようですが、ほとんどの場合、2~3週間です。僕も当然、Praktikumを経験したうちの一人です。

僕が通っていたギムナジウムでは、職業体験はドイツ語と社会科の授業の一環として行われました。そのため、職業体験後に各生徒が提出するレポートは、ドイツ語と社会科の両観点から採点されました。レポートの内容が第三者にもわかりやすくまとめられているか、語学的・文法的な観点から採点するのがドイツ語。会社の仕組み(会社の構造や命令系統、モノの流れなど)や、会社が所属する業界などが客観的に説明されているかという観点から採点するのが社会科です。

テレビ局や病院、空港など、『花形職場』への受入れを許可された生徒が多数いる中、「将来、〇〇になりたい」などの夢はもちろん、やる気もそれほどなかった僕は、受入れ先を決めるのに出遅れました。でも、決めないわけにもいかず。学校からの斡旋も一応ありましたが、「受入れ先は自分で探す」というのが原則で、パソコンがまだ普及していなかった当時、複数の会社に投げやりに電話をかけまくっていた記憶があります。

結局、見本市に使用するステージなどを制作する会社に、同じく出遅れた同級生と2人で行くことに。しかし、会社はどうやら、職場体験者を受け入れるのは初めてだったようで、僕たちをどう扱うべきか困惑した様子でした。最初の一週間は特に何もすることがなく、作業場に落ちていた木材でオモチャを作ったり、ただ単に暇を持て余したりして終了。一度は実際に見本市会場にてステージの解体作業に携わったものの、僕たちが不慣れであったが故に作業が滞ってしまい、現場担当者がブチ切れるという始末。二週目に入ってやっと、事務の人が案件受注からステージ制作までの流れなどを教えてくれました。

これといった学びを得ないまま、職場体験は終了。レポートがそれなりの内容にしかならなかったのは、言うまでもありません。ドイツ語の先生からは「コンマの付け方など、文法的なミスが多い」、社会科の先生からは「会社の仕組みや業界の情報などに関する具体的な記述に欠ける」というコメントをもらったことを覚えています。

というわけで、僕が職場体験から得たものは何もありませんでした。しかし、言うまでもありませんが、悪いのは職場体験という制度ではなく、何も得ようとしなかった自分です。興味をもって挑めば、得るものがあったに違いありません。あ~、せっかくの機会だから、ギターを専門とする楽器店とかに応募すればよかったなぁ・・・今さら遅いですね。

今思えば、仕事においては『人とのつながり』が重要な要素の一つであることから、中等部~高等部における職場体験というまたとない機会を活かして、運命の仕事や人生の師匠とめぐり会うのもいいかもしれませんね。

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