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【コラム】16パターンあるドイツの学校制度

ドイツは小学校(原則4年)を卒業した後、複数の進学路が開かれているという、いわゆる「分岐型学校制度」を採っています。小学校卒業後の主な進学先は以下のとおりです:

ギムナジウム(Gymnasium・以下『Gym』):大学への進学を主に希望する児童生徒が進学する8年制または9年制の学校

基幹学校(Hauptschule・以下『HS』):職業準備を行う教科を中心に学ぶ学校

実科学校(Realschule・以下『RS』):職業訓練のみならず、高等教育の準備も行われる学校

総合学校(Gesamtschule・以下『GS』):右記3校の要素を併せ持つ学校

ドイツの学校制度を図式化したものが、次の図となります。なお、ドイツにおいては教育政策は連邦の権限ではなく、各州の権限であり、学校制度は州ごとに若干異なることから、やや一般化しています。

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第二次世界大戦後にそれまでの分岐型から単線型へとシフトした日本の学校制度と違って、ドイツでは大戦後もGym、HS、RSからなる分岐型学校制度が維持されました。1870年代に入ると、前期中等教育(5・6年)に「オリエンテーション段階」が設けられ、それにより、6年生終了時に別の学校種を選択することが可能となりました。GSが設立され始めたのは、その頃です。1990年代には、それまでは単線型学校制度だった旧東ドイツが旧西ドイツの分岐型システムに転換するかが議論され、それもあって、より様々な学校制度が混在することとなりました。そして2000年代には、従来の三分岐型から二分岐型へのシフト、及び、8年制Gym(G8)の導入が議論されるようになり、現在に至ります。

なお、ドイツ連邦統計局によると、2016年度(2017年6月期)におけるドイツの学校数は約33,500校でした。そのうち、46%が小学校、9%がGym、8%がHS、6%がRS、6%がGSとなっています。HSは10年前と比べて6%減少、RSは2%減少したのに対して、GSは4%増加しました。児童生徒の減少に伴い、HSとRSが廃校・統合の一途をたどる中、GSが増加していることが現在のドイツ教育の特徴として挙げられます。

2016年度における小学4年生の進学先は、Gymが40%、RSが17%、そしてGSが16%でした。10年前と比べて、GSへの進学率は8%増加しています。

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