【映画感想】「007 Goldeneye ゴールデンアイ」

007シリーズを久しぶりに見返しています。
数ある作品の中でも、名作の一つ(と勝手に思っている)の感想を書きたいと思います。以前、1作目の「ドクター・ノオ」は書きましたが、それ以外にも書きたくなったので。

「007 Goldeneye ゴールデンアイ」(1995年)
監督:マーティン・キャンベル
出演:ピアース・ブロスナン、ショーン・ビーン、イザベラ・スコルプコ、ファムケ・ヤンセン

▫️あらすじ
犯罪組織ヤヌスの暗殺者オナトップとロシア軍将校ウルモフが、NATOの最新鋭ヘリを強奪。彼らを追うボンドは、ヤヌスが旧ソ連の大型兵器(ゴールデンアイ)の起動を目論んでいるのを知る。陰謀の阻止に挑む彼だが、その前にかつての仲間アレックがヤヌスのボスとして現れる。

1.5人目のジェームズ・ボンド
5代目のジェームズ・ボンドに就任したのはアイルランド出身の俳優、ピアース・ブロスナン。
4代目のティモシー・ダルトンはボンド役を受けるにあたり、1987年から6年契約を結んでいましたが、2作が公開された後で映画の著作権がMGM(配給会社)とイーオン・プロダクション(制作会社)の間で揉めたため、3作目の制作がストップ。ダルトン自身は次回作の撮影開始をずっと待っていたそうですが、そうこうしてるうちに契約期間が過ぎてしまいます。ようやく撮影ができるとなったときに、今度はダルトン自身に他の作品のオファーがあり、契約は更新されず。結局、ダルトンが演じるボンドは2作のみとなりましたが、この辺りは巡り合わせとしか言いようがない。

主演を失ったイーオン・プロダクションですが、一度はボンド役のオファーを出しておきながら実現しなかった俳優の存在を思い出します。それが、このピアース・ブロスナン。
実はティモシー・ダルトンが007に決定する前、イーオンは当時33歳のピアース・ブロスナンにもオファーを出していました。そのときはブロスナンに別の仕事があったため実現せず。
時を経て41歳でジェームズ・ボンドに就任したブロスナンは、4作でボンド役を演じました。その1作目が「ゴールデンアイ」です。
とにかく熱かった先代に対して、ブロスナンのボンドはとにかく「完璧」。容姿、判断力、身のこなし、女性の口説き方に至るまで非の打ち所がない。いろんなテストを受けさせても、どれも95点くらいは軽く叩き出してくるようなタイプです。

ピアース・ブロスナン

2.シリアスとCG
さて、ブロスナン期4つの作品のうち、最もシリアス度が高いのがこの「ゴールデンアイ」です。これ以降は段々コントっぽくなっていくというか、ツッコミどころ満載になっていきます。あと、時代の流れからか、この作品からはCGがフル活用され、作品中にもコンピューターやITが登場します。60年代から70年代の映画なら、アクションシーンはCGがないため俳優やスタントマンが「本当に」やるしかない。そのため、怪我をすることもしばしばあったわけですが、CGの活用が事故の防止と、今までできなかった撮影を可能にしたといえるかもしれません。例えばボンドが断崖絶壁までバイクで疾走して、そのまま崖へダイヴして生身で飛行機に飛び移ったり、宇宙空間の人工衛星兵器(ゴールデンアイ)。本当に撮影してんじゃねえか?と思わせるくらい。

断崖絶壁から飛んでる飛行機へダイブ
ゴールデンアイ

3.見どころ
舞台はソ連崩壊後のロシア。長らく冷戦を1つのテーマとして取り上げてきた007シリーズですが、ソビエトがなくなったことによりストーリーも変化したことは見どころの一つです。

作品に関しては、とにかく完成度が高い。まず、CGも駆使したアクションたっぷりで面白い。飛行機、戦車、汽車、ヘリ、あらゆる乗り物でド派手なシーンを見せ、最後の対決まで観る側を引き込んで離さない。演者に関してもブロスナンの演技はキレキレだし、今作からMに就任したジュディ・デンチの貫禄、飄々としたQ(デズモンド・リュウェリン)の存在、脇を固める配役も見事。魅せるポイントをすべて織り込んだみたいな作品です。もう一つのポイントが、今回の黒幕がボンドの同僚である006(アレック)。MI6の諜報部員が裏切り、ボンドの前に立ちはだかるのは、後のダニエル・クレイグ期の「スカイフォール」でも踏襲されますが、この作品ですでにこの手法が使われていました。
ある意味つまらないとも思うかもしれませんが、全体としては非常によくできてると思います。
そしてティナ・ターナーの主題歌が秀逸。

4.ツッコミどころ
シリアス度が高いと述べた「ゴールデンアイ」ですが、やはり007の根幹はエンタメ。ツッコミどころはたくさんあります。

1.破壊された施設のスタッフの生き残り(一般人)が超絶美人
生き残ったプログラマー(イザベラ・スコルプコ)がとにかく美人。ありえない。

ナターリヤ・シミョノヴァ役のイザベラ・スコルプコ

この人が今回のボンド・ガールですが、ボンドと行動を共にしていろいろ巻き込まれてるのにほとんど怪我してない。ありえない。

2.秀逸なネーミングセンス
ファムケ・ヤンセン演じる敵役(ビッ○)の名前。「セニア・オナトップ(on a top=女が上)」。この名前を見た瞬間に爆笑してしまった。今ならコンプライアンス的に完全にアウト。

セニア・オナトップ役のファムケ・ヤンセン

ピアース・ブロスナンのボンドは完璧すぎて面白くないという人もいるかと思いますが、僕は全然好きです。
個人的に歴代ボンドを一言でいうなら、
・ショーン・コネリー⇒まさにジェームズ・ボンド
・ジョージ・レーゼンビー⇒いいけど、なんか地味
・ロジャー・ムーア⇒モテまくりのコントおじさん
・ティモシー・ダルトン⇒熱すぎ
・ピアース・ブロスナン⇒完璧すぎ
・ダニエル・クレイグ⇒人間くさい

007シリーズの感想はまた気が向いたときに。

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