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#2. サン・ジャック・ドゥ・コンポステーラの道を歩く ~その2~

サンジャックの道へ出発

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ガイドブックと最低限な準備

出発にあたって、巡礼をする際のガイドブックの存在を知り、それを手にすることができました。

ミャンミャン・ドド(Miam Miam Dodo)、と言います。

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ミャンミャン(Miam Miam)っていうのは、美味しそうなご馳走を前にしていう言葉で、「うーん、美味しそう!」っていう意味。日常生活の中でよく使います。

ドド(dodo)っていうのは、赤ちゃん言葉で、ねんね、っていう意味です。
こういう言葉は、ファミリエ(familier)といって、親しい間柄でつかいます。
例えば、子供に寝ようね、っていう場合や、恋人同士なんかがじゃれあってつかったりです。

巡礼するにあたって必要なことは、ちゃんと食べて、ちゃんと寝ること、後は道を歩くだけ。
難しいことなんて、実は何もありません。

その本質的な情報だけを乗せたものが、ミャンミャン・ドドというガイドです!

このガイドは、本当に素晴らしく、巡礼をするにあたって、これ以外のガイドは必要ありません。

いわば、巡礼のバイブル。日本人にとっての「地球の歩き方」のようなものです。

ちなみに、ハイキングを趣味にしている方は、「TOPO GUIDE」という道の高低差などを詳細に解説したガイドもあります。
しかし、これは別に持っていてもいなくても、どっちでもいいと個人的には思いました。

この区間は坂がたくさんあるから、歩く距離数も短めにしておこう、とか、詳細に計画を立てたい人には参考になるかもしれません。

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巡礼のバイブル、ミャンミャン・ドドはフランス語なのですが、
前半の出発の準備編と、後半の実際に歩く際につかう地図編に分かれています。

準備編では、
サンジャックの道とは?の簡単な説明に続き、
巡礼に必要な持物リスト
宿泊施設の種類と予約は必要か?、
飲み水はどうする?、
傘?それともレインコート?
歩くのならばいつの季節がいいか?
歩くよりも、自転車で行くほうがいい?

など、かゆいところに手が届くような記述がたくさんあります。
これだけ読むだけでも、巡礼した気分になれます。

そして、地図編では、
歩く道とその距離、
通過する村々とそこにある施設のリスト
になっています。

ちょっとだけ抜粋。点々のところが歩く道。
水道のマークは、飲み水補給できる場所。
グレーと赤のマークの中に入っている数字は、距離。
街の部分には、そこにある施設のリストがアイコンで表示。
下のページが、それぞれの施設の詳細。

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地図は本当に簡単なものなのですが、巡礼に必要な情報はこれで十分だったりします。
例えば、ある村を通過するときに、どんな宿があって、料金はどうか、食料品屋があるとか、そういうこともわかります。

今日歩く行程では、ここで食料を買っておかないと、あとで買えなくなる、なんてことがこの地図でわかるようになっています。

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本来であれば、この準備編を熟読して、出発に備えるべきですが、ご察しの通りダメ人間の私は、とりあえず最低限必要に思える荷物を適当に用意して、現地でどうにかなるだろうと、下調べもあまりせずに出発しました。
とりあえず行ってみたらなんとかなるだろう。
どうせ失敗しても、自分が痛い目にあるだけだから、と気楽です。

そもそも、そういう考えだから、こういう行き当たりばったりの生き方しかできないのかもしれません。

そういえば、フランスに来た時もそんな感じだったなぁ。

今だったらブログとか、Vlogとかで色んな情報収集もするのかもしれませんけども、まあ、その時はそういう時代ではなかった、、、ということにしときましょう。

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行き帰りの電車のチケットと初日の宿のみ予約

今回の期間では、20日間、ルピュイアンヴレイからモワサックまで歩く計画を立てました。

ルピュイアンヴレイからモワサックまでは、大体350㎞から400㎞ぐらいの距離があります。

Google Map
(注意:上記リンクは実際歩く道ではない)

つまり一日、20㎞から25㎞ぐらい歩けば問題なく目的地に着けるようなスケジュールです。

行きの電車は、2011年8月2日、当時住んでいたレンヌ発、ルピュイアンヴレイ着。
帰りは、 8月22日、モワサック発、レンヌ着。

予約した宿は唯一、電車で到着した日に泊まるルピュイのユースホステルだけ。
その後は歩きながら、考えればいいやという感じでした。

ガイドブックには、前もって宿泊施設を予約するのでもいいし、歩きながら、予約なしで飛び込むのもいいだろうと書いてありました。

ガイド曰く:
予約しないリスクは、疲れ果てて宿についたにもかかわらず、満席で泊まれない可能性があること。運悪く、その村に他に泊まれる宿がない場合、さらに数キロ先まで歩かなければならない。
歩いてる人数が大人数であればあるほど、前もって予約をお勧めする、
とありました。

一方で、予約しないメリットは、その場で自由に決められること。これは、素晴らしい!

私は一人だったので、予約しなくてもいいかなって、考えました。

実際に歩いてみないと、自分がどれくらい歩けるものなのかわかりませんし、すべての行程を詳細に組み立てて、予約するのは、めんどくさい!
いつものように、現場で何とかなるだろう、の精神です!

*** ちなみに、実際に歩いた経験から予約に関していうと、2、3人の少人数で歩くのであれば、初めの三日間ぐらいは予約しておいてもいいかもしれません。そして、歩きながら、その都度3日後ぐらいまでの予定を立てて、その都度宿を予約していくのが確実かなと思います。

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ルピュイアンヴレに到着

そして、出発当日。
当時住んでいたレンヌからリヨンまで、TGV(フランスの新幹線)。
リヨンからまた在来電車でルピュイアンヴレまで行きました。
到着したのは、確か、夕方ぐらいになっていました。

ルピュイという町は、編みレースなどが有名で、街の中心にある大聖堂は黒いマリアが有名ですね。

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街には、赤石で作ったマリア様があったり、大天使ミカエルの岩山があったりします。

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photo by W. Bulach

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photo by W. Bulach
ガイドの今だったら、一日余計をとって、ルピュイをくまなく散策したと思いますが、当時は、簡単に街を散策するぐらいしかしませんでした。もったいない!

それでも、明日からサンジャックの道を歩くぞ!という少し高揚した気持ちで、見知らぬ街を歩くのは楽しいものでした。

ルピュイの大聖堂のアーチは半円なので、ロマネスク様式だ!

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柱の上にある部分、柱頭には、彫刻がしてあって、これも美術史で習ったぞ、

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美術史を1年学んだ青年の目線です。

ルピュイの大聖堂がある場所は、小高い丘になっていて、魅力的な小道なんかがいたるところにある本当に可愛らしい街でした。

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すぐ近くに、サンジャックデコンポステル高校というのがありました。
その出発点になってるからこんな名前がついてるんですね。

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ああ、ついにあしたから、このサンジャックの道を歩くのか!

ちょっと感慨深い気持ちになりました。

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ユースホステル:若い男性教師のプロローグ

こちらが泊まったユースホテル。
写真の左したに見切れているのが、私のバックバック。

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2人部屋の二段ベッドで、おそらく現在の私ぐらい、30代後半から40代前半くらいの痩せた男性と同じ部屋でした。

彼は自分の車でルピュイまで来て、ここから巡礼の道を歩き、そしてここに帰ってきて、明日車で家に帰るということでした。

こんな人のために、ルピュイには、巡礼者用に、週単位、月単位で貸りれる駐車場もあるのだそうです。

話してみると、どうやら学校の先生のようでした。

フランスの教師という仕事は、長期休暇が取りやすいようで、
これから歩いていく中で、教職についている人にたくさん会いました。

物腰が落ち着いて、馴れ馴れしくならず、他人との距離を取りながらも、小さい声ですが、ゆっくりと明瞭に話す。その話し方に、彼の教師という職業を見たような気がしました。

僕は明日から道を歩きますと言ったら、

「それはいいことだね、Bon Chemin」と言ってくれました。

歩いてみた感想を聞いたら、「とてもよかった」、と言っていました。

「やっぱり歩いている人は、キリスト教信者の方が多いのですか。」

「私の出会った人達はあんまりそういう人がいませんでしたね。
ただ何かしらのきっかけがあって、皆さん歩かれているという印象を受けました。例えば、大切な人を失った、長くやっていた仕事をやめた、というような。」

人生における大きな変化を、受けとめ、そして、受け入れる。
日々続いていく日常を、サンジャックの道を歩くことで、ほんの少しだけストップさせようとしているのかもしれない。

確かに、人生に迷いまくりの私も、全く同じような状況でした。

「サンジャックの道の方が、その道を必要とする人を呼び寄せるんです。
その声を聞き取れた人が、この道に集まってくる。」

私にこの道を教えてくれた女の子と同じようなことを、彼は言ったような気がします。

今思うと、彼も最愛の人を亡くしたか、あるいは失恋したか、そんな理由でこの道を歩いたのかもしれません。
記憶は定かではないですが、彼の肌はものすごく白かったような気がします。

これは巡礼した後に気づくことなんですが、巡礼をすればだいたい日焼けして、体力もついて、気分も晴れやかになり、笑顔になるものなんですが、彼はそういう感じがしませんでした。

何か重いことがらを静かに受け入れて、納得をした、という雰囲気が漂う男性でした。

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その後も巡礼のことに関して色々と聞きました。

どんなところに泊まったかとか、
印象的な宿はどこだったかとか、

彼は印象的な場所として、ある村で泊まったシャンブル・ドットの料理と、
そこで販売していたマッサージ用のエッセンシャルオイルの話をしていました。

一日何 ㎞ぐらい歩くか、それは個々人が決めることです。
別に 5 ㎞でも、10 ㎞でもいいし、30 km も、 も 35 km でもいい。

まあ、大体、20 ㎞から 30 ㎞ 歩く人が多いです。
これだけ歩くと、足が棒のようになってくるし、坂道だったり、あるいは重たい荷物を背負ってるとかなり足に負担がかかります。

足にマメができたり、膝と足首に痛みがあって歩けなかったり、そんなことがよくあるんですよね。

ですから宿によっては、有料で足のマッサージを提供することがあったり、マッサージオイルを販売していたりすることがあります。

その男性は、 ある場所で泊まったシャンブルドットの料理の素晴らしさと、そこで買ったマッサージオイルの効果の素晴らしさというのを熱弁していました。

それぐらい足が痛くなったんでしょう。
彼は油の入った小瓶を見せながら、これを足に塗ると、嘘のように足の痛みがなくなるんだ、といっていました。

学生で、ほとんどお金がない私にとっては、縁のない話だなぁと思っていたんですけども、シャンブル・ドットみたいなところに泊まるのも、今思うととってもいい経験だろうなと、思います。

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宿泊施設

話が前後しますけども、サンジャックの道において、フランスにはどんな宿泊施設があるかということも簡単に説明しておきます。

まず基本的にサンジャックの道では、我々が一般的にイメージするようなホテルというものはほとんどありません。

大体2種類に分かれていて、gîteジット、というものと、 Chambre d’hoteシャンブル・ドットというものです。どちらも日本語に訳すと民宿って感じなんですが、ジットのほうが、質素で料金は安いです。 あえて、訳すとすれば簡易宿泊施設って感じですね

Chambre d’hote シャンブル・ドットは、 ふつうの家庭のゲストルームを貸し出して、宿泊施設にしているところです。

フランスでシャンブル・ドットChambre d’hoteをやっている人はどちらかというと、商売のためにやっているというよりも、喜びでやっている人が多く、すごく凝った、おしゃれな内装をしているところがあったり、朝食に、手作りのジャムが出てきたりします。

シャンブル・ドットこそ、まさにフランスのいいところがぎゅっと詰まった宿泊施設で、普通の家庭に、ホームステイしているような居心地の良さがあります。
旅行通の人は、ホテルに泊まらずにシャンブル・ドットに泊まり歩くことが多いし、おしゃれな旅行雑誌には、フランスのおすすめシャンブル・ドット特集なんかも組んでいたりします。

料金はそのグレードによってまちまちなのですが、
大体、サンジャックの道では、一人、70ユーロから80ユーロ出すと、上に説明したような上等なサービスを受けることができます。
巡礼では、基本的に相部屋なのですが、場所によっては、個室もリクエストすることができ、その場合は追加料金がかかることがおおいです。
ちなみに、パリで同じようなサービスを受けようと思ったら、この2倍か3倍はします。

gîte ジットは、ユースホステルのような簡易的な宿泊施設で、部屋に入ると、二段ベッドがいっぱい並んでる感じで、もちろん共同部屋です。

夕食ついてる場合もあれば、ついていない場合もあります。

一番安いのは、市がやっている公立の宿泊施設。
料金は、素泊まりで大体10ユーロ から15ユーロの間。朝食をつけるとプラス5~7ユーロくらいです。

中には朝夕食付きを選べるところがあって、そうすると大体30~40ユーロぐらいの値段になります。

私は基本的にお金がなかったんで、ジットに泊まってましたね。
はじめは、素泊まりで、夕食もフランスパンをかじったりしていましたが、さすがにそれもつらくなってきて、できるだけ、朝夕食付き(ドゥミポンションdemi-pension、といいます)を頼むようにしていました。

食事は、おいしい時もあれば、いまいちの場合もあるのですが、やっぱり、誰かに作ってもらった温かいものを食べられるのがうれしいです。
それに、空腹は最大のソースといったもので、なん十㎞も歩いてきて、はらぺこで食べると、基本的になんでもおいしいです。

わかっていただけたと思いますが、巡礼は、時間はかかりますが、お金はかかりません
パリでホテルに泊まっているほうが、よっぽどお金がかかります。

逆に、どんなにお金をだしても、リゾート地にあるような贅沢はあまりできません。贅沢をするのであれば、別のところに行くべきです、とガイドにきっぱりと書いてあります。

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巡礼者たちとのミサと巡礼手帳(クレアンシアル)

巡礼者の必需品の中に、巡礼手帳(クレアンシアル)というものがあります。

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手帳というよりは、 単なる折りたたんだ厚紙なんですけども、これを持っていることが巡礼者の証明になり、これから泊まっていくことになる宿泊施設で提示すると、巡礼者料金で泊まることができ、さらに宿泊施設が独自のスタンプを押してくれます。

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サンジャックの道は、このように、スタンプラリーになってるんです。

歩き終わった後、これを広げると、何日にどこに泊まったかが分かるようになっていて、
さらに、それは、サンジャックの道をちゃんと歩いたという証拠にもなっているのです。
巡礼者料金で泊まるためにも、このクレアンシアルを必ず手に入れないといけません。

調べてみると、街の中心のノートルダム大聖堂では、毎朝7時から巡礼者のミサがあり、その後、大聖堂の売店でクレアンシアルを購入できることがわかりました。

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翌朝、ミサにには20名ぐらいの巡礼者たちが出席していました。

神父さんがお話をした後、安全に道を歩けるように、彼が巡礼者一人ひとりに

「どこから来ましたか? … そうですか。それでは、あなたの巡礼に神のご加護がありますように」

と祝福していきます。

私は、日本人ということで、JAPONから来たというべきか、当時住んでいたブルターニュのレンヌから来たというべきが迷いましたが、

結局インパクトの強い「日本から来ました。」

と言いました。案の定、その場の巡礼者たちが「おお!」
と声をあげたので、やったぜ!みたいな。

この時の印象は強かったようで、後々出会った巡礼の方々には、あなた日本からいらしたんでしょう?って声をかけられました。出発のミサの時のこと、覚えてますよと。

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それから、かごが回ってきて、折りたたんだ紙が入っていました。

これは、「祈願委託」とでもいったもので、個々人のお祈りが書いてあります。
サンジャックの道を歩きたくても歩けない人が、このように願い事を書いて、これから歩こうとしてる人たちに自分の願いを託すのです。

私も一つ取りました。

「ミッシェル(仮名)の病気が回復しますように、祈っています」

素敵な風習ですよね。サンジャックの道は、自分のためだけに歩くのではない。他人のためにも歩くことができるのです。

ミサの後、大聖堂付属の売店にいって、 無事クレアンシアルを購入し、「祈願委託」を挟んで 出発しました。

大聖堂は丘の上にあり、その扉を出ると目の前には階段があります。
バックパックを背負った人たちがこの階段を降りながら巡礼をスタートさせていくんです。

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photo by Bmclaughlin9

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ガイドブックには簡易的な地図が載っていますが、実は、地図を見なくてもサンジャックの道を歩くことができるようになっています。

というのは、サンジャックの道は、GR65というハイキングコースになっていて、その道は印によって、常に道案内されているからです。

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上の図で、赤と白のマークがGRの標識で、
一番上の白と赤の横棒が、この道を進め
真ん中が右に曲がれ
左に曲がれの場合は、矢印が反対側をさします。
そして、一番下のバッテンマークが、間違った方向に進んでいる、という意味になります。

GRというのは、chemin de grande randonnée(偉大なハイキングコース)の略で、フランスハイキング連盟(Fédération Française de Randonnée.)の8500名のボランティアの方々が、フランス国内で全長18万㎞に及ぶ散歩道を設定しています。

その65番目の道が、サンジャックのルピュイの道になっているのです。
ですから、これから、ただひたすら、20日間にわたって、この赤白印の示す通りに歩いていけばいいわけです。

ただ、この標識は小さいので、結構見落としてしまいます。

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そうすると、道から外れてしまい、バッテン印も気が付かなければ、どんどん別の方向にいってしまいます。

その場合は、大体の地元の人が、「あなたサンジャックやってるでしょ、道外れてるわよ」って教えてくれます。

大きなリュックサック背負ってこの辺歩ってたら、巡礼者ってすぐわかるわけです。

だいたい間違えてしまうポイントは、みんな一緒でしょうから、
その地元の人も慣れているんでしょう。

サンジャックの道の特徴:道をはずれても、すぐに 周りの人が正しい道に導いてくれる。

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一日目:
ルピュイからモンボネ 16kmを歩く

ミサの後、大聖堂前の階段を下り、街中を通って、印を頼りに、サンジャックの道を進みます。

ガイドブックによると、初日にあまり無理をしない方がいい、とありました。

まだ体が慣れていない時に、たくさんの距離は歩いてしまうと、体が疲れてしまって、最悪の場合は怪我もしてしまいます。

初日は16㎞ぐらい歩き、モンボネ(Monbonnet)という町で宿をとりました。

体力を温存して、ちょっと抑えとこうと思ったのではなく、とにかく、ものすごく疲れてしまったんです。自分的には、もう無理って感じでした。

この次に宿がある村は、8㎞先でした。いやー、絶対無理。

宿に行ってみると、うれしいことに空いているベッドもありました。
確かに、ここでベッドがなくて、8㎞さらに歩くのはしんどいなぁ。

これは、今後の宿の予約もしたほうがいいな。
そんなことを思いながら、一日目が終了。

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二日目:巡礼ルーティーンの始まり
モンボネからモニストロル・ダリエ(Monistrol d’Allier) まで 13.5kmを歩く

二日目が始まりました。

この辺はもうあんまり覚えていません
かつて撮った写真を見返してるんですけど、泊まった宿の写真はほとんどとっていなくて、どんな風だったかっていう記憶もないので大した出来事はおこらなかったと思います。

日記とか、ブログを残しておけば良かったなと思いますが、残念ながらそういうものはありません。

当時撮った写真と、ガイドブックの書き込みと、クレアンシアルに捺されたハンコと日付。そして、私の記憶を探りながら、書き進めます。

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今後の巡礼の日々は、ほぼ同じような繰り返しになります。
いわゆる、巡礼ルーティーンの始まりです。

朝7時ごろに宿を出発して歩き始めます。早い人は、6時台に出発していました。

8月は日中熱くなるので、太陽が登らない薄暗いうちのほうが歩きやすく、体力も消耗しません。

大抵朝ごはんはその宿舎で簡単なものを食べます。朝食はついている場合が多いです。

と言っても、ジットの場合は、簡単なものしか、用意されていません。
ヨーグルトとコーンフレークとか、パンとバターとジャムみたいな感じですね。
後はコーヒー。


宿がある場所は、大体、街、あるいはちっちゃな村のような場所です。

基本的には、そこにパン屋さんがあるので、お昼ご飯用にサンドイッチを買っておきます。

街が広く、商店街などがある場合は、フランスパンだけ買っておいて、後は、肉屋さんでハムやサラミ、スーパーか小さな食料品屋でカンズメ(ツナ、イワシなど)、チーズ、デザート用のお菓子、そんなものを買っておきます。

そして、お昼頃になってお腹がすいてきたら、その辺の原っぱに座って、もっている食料を食べる。

そうそう。この時に、パンやサラミを切ったりできるように、ナイフがあると便利です。日本から持ってこずとも、なければ、タバコ屋で買えます。

自然に囲まれた草原の上で、フランスパンに、ハム、サラミ、あるいは、ツナやチーズを挟んだり、トマトなどの野菜を挟んだり。
そんな質素な昼食なんですが、これがもう、抜群に美味しいです。

パンも、サラミとかハムも、チーズも、全部フランスの名産じゃないですか。

フランスパンまるまる一本、ペロリと食べてしまいます。

そして、食べ終わったら、木陰でちょっと横になって、30分ぐらいお昼寝。
それでまた歩き始めるという感じです。

トイレは?

男性は、その辺の木陰にはいって、そのまま。
女性は?
同じように、その辺の木陰にはいって、そのまま!

ですから、トイレットペーパーも持参しながら歩きます。

汚い話ですが、大きいほうも、その辺の木陰にはいって、そのままです。

バス旅行などで、いつもトイレが近く、心配という方は、ある意味、サンジャックの道では、まったく心配いりません!あなたがトイレをしたいと思ったとき、そこがトイレです!

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重たい荷物(荷物の話はいつかします)を持ちながら歩くと、大体1時間に歩ける距離は、4㎞程です。

7時に出発し、12時まで歩いたら、それでもう20㎞です。

一日に何㎞歩くか、にもよりますが、
お昼を食べて、すこし寝て、あと、2時間ほど歩けば、28㎞、つまり30㎞近く歩けることになります。

30kmの設定をしていても、もし、大幅に迷わなければ、昼過ぎには目的地に着いているわけです。

宿舎についたら、シャワーを浴び、夕食までのんびりとすごす。
これが、巡礼者の一日です。
体が疲れているので、食事もおいしいし、夜はぐっすりと寝られます。

そして次の日は、太陽が昇る前に宿を出ます。

その繰り返し。

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2人のフランス人女性との出会い:ヴァレリーとソレン

ただここでとっても大切な出会いがありました、二人のフランス人女性との出会いです。
今後、この女性2人と巡礼の道を歩くことになります。


つづく


よろしければ、サポートをお願いいたします。いただきましたサポートは、今後の活動のためにつかわせていただきます。よろしくお願いいたします。