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クレープと一人旅の思い出

フランスは2月2日がクレープの日でした。シャンドラーと言って、カトリックにちなんだお祝いの日ですが、遡ればローマ時代に春の訪れをお祝いして、太陽に見立てたクレープを食べていたのが起源とも。
2月は招きあって皆んなでクレープを食べる機会が多いです。私は牛乳を消費しないといけない時にもクレープを焼いて、すぐ食べない分は冷凍して先の楽しみにしています。

クレープで思い出したのが、卒業旅行と称して1人でパリへ行った二十数年前のこと。え、誰も一緒に行く人がいなかったの?と思うけど、一人旅に憧れていたのですね。現地で会ってくれる友達はいたものの、1人行動がメイン。

当時、日本ででも1人でご飯を食べにお店に入るなんてことなくて、週貸しの部屋で簡単なものを作るかサンドイッチとかを食べてたと思います。でも一度ぐらいはと勇気を振り絞って有名なクレープ店へ入りました。店内はほぼ満席で、カウンター式のキッチンにいた店主らしいマダムが、私を見るなりちょっと哀れむような感じで、「1人なの?」「何味がいいの?」「ご馳走してあげるから」「あそこのテーブルで一緒に食べていったら?話してあげるから」と。マダムが指差したテーブルには、ランチに来た常連さんと思われる若めのおじさん達がワイワイ話しながら食べていました。せっかくの親切なのに、心の中で「おじさん…無理ー!」と思いました。
で、怖気付いた私は、お持ち帰りにしますと言って、お金を出しても「いいのいいの」というので、熱々のクレープを受け取るとそそくさと店を出たのでした。

一人で楽しめるほどの度胸には欠け、言葉も全然話せないし、部屋のシャワーがお湯がほぼ出ないし、思ったほど色々行動できない自分になんだか情けない気分でいて、クレープを恵んでもらったのも、自分がどんなに惨めそうにみえたのかしらなんて思っていて、この旅を象徴する思い出として心に残っています。無邪気にお客さんの輪に入れてもらえばよかったのにね。

今思えば、引っ込み思案な私の人生最初の一人旅で、どう行動していいかよく分からなかったし、知らない人との関わりも慣れていなくて、これは当然の結果だったのかも。自分に合った旅の仕方は経験しながら確立していく面もあるのかなあ。でも、あそこから始まって段々と逞しくなってきたんだと思うと、情けない気分でいた旅も貴重な一歩だったのねと、今はすっかり良い思い出です。

今日も読んで下さってありがとうございました!

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