プロ家庭教師がオススメする参考書


小・中・高全般

志望校の合否は、究極のところ親子のコミュニケーションにかかっているところがあると思います。

重要なのは、親は見ることに徹し、子どもの勉強法に干渉しないことです。その意味では親の学力はほぼ関係ありません。

このことは、実は講師と生徒の関係にも言えることであり、有名予備校講師のように雄弁に語ったり、教え込んだり、やり方を強要したりするほど、実は頭には何も残らないし、より本質的には、生徒と講師の信頼関係は築きにくくなり、生徒を自発的・主体的に学ぶことから遠ざけます。

とはいえ、実はこれは親子双方に大きな負担のかかることでもあります。そこで、お互い少ない時間で一定のまとまりを作ることが必要になると思います。

この視点からいうと進研ゼミ(通信講座)が最強だとおもいます。

進研ゼミは2007年に鉄緑会を吸収しました。そのため教材の質は日本一といっても過言ではありません。

レベルの選び方は、将来受講したい大学講座の志望校をまず選び、そこから遡って中学講座を、更に遡って小学講座のレベルを選ぶと良いと思います。

受講を始めたら「何日かに1回30分」とか「毎日15分」とかの一定の短い親子の時間を設け、子どものアウトプットに親があいづちを打ちながら付き合ってくれる、みたいな時間を設ける。

おだてて、乗せてやって、子どもの気分をアゲてやる。でも実力は冷静に見据えてやり、子どもが自分を高く見せようとするのに騙されたフリはしても、本当に道を外れてしまいそうなときは静かに諭して修正する。といった具合です。

これを継続するのが一番良いと思います。そのためのツールとしては進研ゼミが最高だと思います。

通信は続かない?

通信教育が続かないという話がありますが、その理由は「さみしいから」だと思います。

周りの子は塾に行ってるのに、生徒は自分の部屋で1人です。相対的な位置も計れない不安もあります。

加えて、親は「どうして出来ないの」といった類の叱責や、「どうせ続くわけない」という考えを押し付けがちです。このように「子どもを信じない」ということは一番よくありません。

有名な市販教材を与えても、塾に行っても、高い家庭教師を雇っても、本質的な不安は変わりません。

そのことに留意して、親がサポートしてあげる必要があるということです。

とはいえ、なかなかうまくいかないところもあるかと思うので、生徒が自走しやすい市販教材をいくつか示しておきます。

中学生編

参考書ラインという考え方もあると思いますが、学校課題も多いと思いますので、1冊仕上げて早めに過去問へシフトするのが現実的かと思います。

その1冊に何を選ぶかと聞かれれば、やはり教科書とリンクしているものが使いやすいでしょう。

・教科書とリンクしていて、
・必要な演習が過不足なく組み込まれており、
・解説が充実していて独学可能
であるものには、

・教科書ワーク(文理)
などが挙げられます。

購入に当たっては、学校で配布されている「教科書の出版社」をよく確認し、それに対応していることをよくご確認ください。

そして、決めた1冊を何周もすることが重要です。

しかし、これだけで過去問にシフトするのは難しい部分もあると思いますので、実践的な演習用教材として、

・winpass(文理)
をオススメします。

昔は付き合いのある塾でしか手に入らなかったのですが、今はamazonで買えるようです。

winpassを全部かつ何周もやるのはなかなか難しいので、県下最高レベルの高校を目指すような場合を除いては、現状の生徒のレベルに合わせて、問題形式で範囲を絞って、何周も出来るように計画すると良いと思います。

過去問は数学の導出の過程と英語の全訳文がついていれば割と何でも良いと思います。

高校生編

武田塾の参考書ルートをベースに、自分なりの計画を立てると良いと思います。

ただ、学校課題と併行するのは効率が悪いと思いますので、武田塾の参考書ルート中の参考書を、学校で配布された教材で同じ機能を持つものに置き換えて計画を立てると良いと思います。

この際に重要なのが、
・同じ問題集を何周も出来るようにラインを組むこと
が重要です。

また単に問題集をこなした作業量に注目するのではなく、
・今やったことを試験会場でも同じようにアウトプットできるかを意識すること
が重要です。

補足:数学

数学の勉強法については以下も参考になります。

青チャートを書くべきか?問題については次の動画が参考になります。

筆者が受験生の時は、数学に限らずですが、基本は口パク。それで論理が追えていればとりあえず良しとし、少し疲れて頭が働かないようなときはペンで書いてみる、といったように、コンディションに分けてやり方を変えていました。

補足:英語

英語の勉強法については、武田塾が述べている内容の他、
・「英文法」問題集の完成文の和訳文と、
・「英文解釈」問題集の全文訳を
・全て再度英文に戻す(英作文する)練習をする(復文と呼んだりします)のがオススメです。一気に定着のレベルが上がりますし、周回ごとの伸び幅が大きくなります。

この作業は、基本紙に書いて、細かく朱入れをした方が良いと思います。特に短い文であれば口パクでも良いと思います。

復文を実際にやってみると、「英文解釈の全訳文が長すぎる問題」が生じると思います。この点を考慮すると「英文解釈の技術シリーズ」が最適解なのではないかなと思います。

英文付きの「単語帳」を使う場合も同じ訓練をすると、効果的な練習になります。是非お試しください。

また、コーパス3000のような音声付きの単語帳を使っている場合は、ディクテーションも一緒にやってしまうと良いです。

実際のやり方は、以下の動画が参考になります。

こちらもディクテーションの便宜を考えると速読英単語のようなタイプよりもターゲットやコーパスなどの方が使いやすいと思います。

番外編①:中学受験

目指す中高一貫にもよるのですが、一つの目安として以下の2種の教材を使っている塾を探してください。集団より個別指導が良いと思います。

①「太郎と花子」シリーズ

②スフィンクス

これらは要は「言語での表現力」を鍛える教材なのですが、生徒が自分で取り組むのはまず無理で(大抵の場合、メチャクチャ嫌がります)、仮に出来たとしても大人の正しいフィードバックが必要なことが多く、それにはかなりの教務力が必要とされるので、ちゃんとした指導をできる講師を見つけないと厳しいと思います。

作文・面接重視タイプの中高一貫を目指す場合に最適です。

難しめの計算、初等幾何、広めの知識などが重視される伝統的な中高一貫の場合は、標準的な指導方法で対応可能と思います。

番外編②:塾の選び方

冒頭で、
・志望校の合否は親子のコミュニケーションにかかっている。
・親は子どもの勉強法に干渉しないこと。
・講師と生徒の関係にも言える。
・教え込みは生徒を主体性から遠ざける。
みたいなことを述べました。

しかし、これを踏まえて行動できる講師は実際には稀有です。これは構造的な問題です。

まず、講師採用のプロセスにおいて、どのような人物が応募してくるかと言えば、「自分が成しえなかったことを生徒に達成してもらいたい」とか「自分が成功した方法を教え込みたい」といったコンプレックスや強めの思想を持っていることが多いです。これはかなり広くみられる傾向です。

「生徒と一緒に成長したい」という触れ込みで入ってきたのに、ひたすら自分の学歴コンプレックスを生徒にぶつけまくる、ということも非常に多いです。

このようなやり方だと、あまり成果が出せません。そして実績が出せない講師が更に拗らせて、生徒をコントロールしようとしたり、老害講師と化したりすることも少なくありません。

他にも、親から「分かり易い成果」を急がされたり、「やり方」に対して干渉を受け、講師が思う方法を採れなくなり、実績が出しづらくなるということもあります。信頼関係というのは急がされて構築できるものではないからです。

いずれも構造的な問題と言ってよいと思います。

仮に押し付けられた管理教育で運よく合格できたとしても、教室と親、講師と生徒の間には基本的な信頼関係がないため、生徒の意欲は持って1年程度で、口コミなどを介して地域全体に悪い評判を呼び、生徒不足で講師の入れ替わりも激しくなり、数年で教室自体が廃校になることも珍しくありません。

では、どのような塾が良いのでしょうか。

1つは、教室長が講師をよくケアしている教室です。先に述べたような業界全体の構造的な問題があっても、教室長が長い時間をかけて講師と向き合ってケアしていると、講師も少しずつ変化してきます。そのようにして尊重されることを学んだ講師は、生徒のことも同じように尊重しようとするようになります(と信じたい)。

それはどこで見極めれば良いのでしょうか。

親が教室と関わるときは基本的に教室長との面談が多いと思います。このときに講師をケアできそうな教室長かを見ることが教室を見極める方法の一つでしょう。

講師をケアできそうかは、面談のときに自分(親)がケアされていると思えたかどうかを基準にすれば良いと思います。

つまり、塾との関わりあいを、親自身の「カウンセリングサービス」と見立て、その教室長あるいは講師が「カウンセラーとして信頼できるかどうか」を考えるとよいということです。

担当講師と接触する機会があれば、講師に対し「教室長が講師のカウンセラーとして優れているか」直接聞いてしまうのが良いと思います。

このようにしている教室は自然と実績が伴ってきます。

以上、参考になれば幸いです。


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