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読書記録。~自分にとっていちばん良いもの~

『あやうく一生懸命生きるところだった』
ハ・ワン・著
岡崎 暢子・訳
ダイヤモンド社

「韓国エッセイにハマっているんです」と話をしたら、
誕生日プレゼントに大学の先輩がくれた本。
先輩らしい一冊でした。

でも本って高価だから先輩に頭が上がらない…

一生懸命頑張ったって、結果や報酬、周りからの評価のためだけに頑張るような、
そんな自分をないがしろにしてしまう生き方をしていた私に向かって、
自分のために何かできないかと提案してくれる、そんな本でした。

正しい答えを目指して

以前の私は”自分へのご褒美”のあげ方を忘れ、誰かのためになると確信できることしかできずにいました。

勉強は、身近な(というより、高校までは身近だった)”大人たち”から散々受けてきた期待という名のプレッシャーに応えるため。
自立した1人暮らしの生活をしようと努力したのは、家族に迷惑かけまいと必死だったから。

その結果何度も空回りし、最終的に精神的な破綻につながってしまったのですが。

うまくやりたい、失敗したくない。
こんな気持ちから、つい力が入ってしまう。
力むというのはつまり柔軟ではないということ。恐れがあるということだ。
これまで何事も力みすぎて、うまくいったためしがない。
『あやうく一生懸命生きるところだった』
p.76

思い返せば、色々なことを周囲の人から言われました。
それは「参考にすればいいよ」くらいのアドバイスに過ぎなかったのかもしれないけれど、
そんなことも理解できない私はその「アドバイス」を全部真に受け、
言われたとおりにしないといけない、
そんな風に思いながら生きてきました。

自分のやりたいことをやれる生き方

自分の人生なのに、自分の気持ちなのに、どうして他人の評価によって大丈夫だったり大丈夫じゃなかったりするんだろう?
『あやうく一生懸命生きるところだった』
p.42

これまで、やりたいことはたくさんやってきたし、
今でもやりたいと思ったことには色々挑戦している。
資格の勉強も、SNSも、料理もそう。

でもこの一文を読んだ時、そんな私でさえ共感してしまったのはどうしてだろう。

こんな人生が望ましい、という考え方が、
気がついたら強く根付いていたのかもしれない。

名前のある大学に行けば、みんなが「いいね~!」と言ってくれる。
大きい大学の方が出会いがあるし楽しい。
資格を持っていれば、食べていけるだけの働き口がある。

間違ったことは言われていない。
でも、それだけが正しい人生なのだろうか?

大きな大学や力のある資格を勧めた両親が今ハマっているのはYouTubeの世界。
昔だったら考えられないほど、実況者やVTuberについて詳しいので、
小さい頃よくゲーム実況を観ていた私はもう会話についていけない。

でもそんな両親も、少しは権威にこだわらない生き方を知り始めているのかも。

もう少し多様な生き方と仕事ができる世の中になってほしい。
さらにが、お金をたくさん稼がなくても幸せに暮らせて、無視されずこともなく、惨めでもない世の中、そんな社会を夢見ている。
『あやうく一生懸命生きるところだった』
p.180

私はというと、名誉や権力なんて気にしない人生に憧れながら、
自分に当てはめて考えることは難しいのです。

だから今は大学の勉強を続ける傍ら、
自分のやりたいことができればそれでいい。

頑張りすぎない方法も、手を抜く方法も、
未だに分かりません。
でも、好きなことをしていたら自然と思い出してくるのかもしれない。

手の抜き方が分かったとき、何事にも100%以上の力で取り組めていた時の自分に戻りたくなるかもしれないけれど、
そんな時こそこの本を思い出したいのです

人生のプロセス

どの人の人生も、ゴシップ記事の見出しではない。
とても長い物語、つまり小説なのだ。
『あやうく一生懸命生きるところだった』
p.270

誰かの人生を描くような物語が好き。
というよりも、フィクションであれノンフィクションであれ、
どんな作品もある人物の人生を一部分だけ切り取ってできているのかも。

誰もが紆余曲折して、最後には完結する。
ハッピーエンドとは限らないけれど、物語は終わりを迎える。
その結末に辿り着くまでの様々な展開が、ラストシーンにつながっている。
その展開1つ1つが、作品の面白みとか、醍醐味だったりする。

結末だけが面白い作品を、最後まで飛ばさずに見られる自身がないように、
人の生き方もまた、最期だけじゃなく、
そこに向かうまでのプロセスが充実してしまう。
嫌でも色々なことが起こってしまう。

だから、どんなにつまらない人生でも「色々あったな」と思うしかないんだろうなと想像します。

多様なプロセスがあることを、そして色々な生き方があるということを知った時、
いつか自分自身に
こんな私でも、楽しく生きてていいんじゃない?と思える日が来ればいいなと思いました。

19歳。
主治医の先生には「残り80年の人生」と言われました。
相対的に見れば若いのであろう私だけど、
そんな私にも人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる。そんな本でした。

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