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【見えてきた日本のD2C】「D2C」の持つ意味〜USと日本の違い〜

こんにちは、フラクタのPRチームです。今回は【見えてきた日本のD2C】として3連載にてお送りします。第1弾の今回は、D2Cという言葉の持つ意味を、USと日本の違いからお伝えします。

この記事で書かれているように、D2Cとは『消費者に直接つながっている』という意味である、ということには私たちも同意です。しかしUSと日本のD2Cでは、文化的背景から少し毛色が異なります。

USのD2C

USのD2Cの原点は、シリコンバレー発のスタートアップ企業体系や文化、そしてVCから多大な投資を受ける環境にあるといえます。シリコンバレーの熱量が、そのままリテールに昇華されたようなイメージです。
テクノロジーやソーシャルネットワークを駆使して、「顧客とダイレクトに繋がる」。すなわち中間コストを廃止し、適正な価格で届けるという概念には、AirbnbやUBERで唱えられた理想に近いものがあると思います。
つまりUSのD2Cとは、シリコンバレー発のスタートアップ的な概念・思想をもち、ニューヨークやポートランドで生まれ、進化したリテールスタートアップであるといえると考えられます。「信念や価値観、正義」に基づいて行動した(この商品をつくった)という、テック系スタートアップの多くが汲んでいる思想。それらを最も具現化したものが「Apple」でしょう。そしてその思想のフレームワークはTEDのサイモン・シネックの講義「How Great Leaders Inspire Action」にて、ゴールデンサークル理論として多くの人々に周知され、D2Cの思想には多く取り入れられています。「共感」が重要な武器であるD2Cにおいて、ゴールデンサークルの「WHYから始めよ!」は、この上なく最適なフレームワークだったのです。


これは、「信念や価値観、正義」に基づいて行動した(この商品をつくった)という、テック系スタートアップの多くが汲んでいる思想です。それに加えて、USのD2Cが最大の武器としているのは、
優れたワールドビルディング能力と文脈形成力です。
この二つの力は、昨今のハリウッド映画のマーベルシリーズやスターウォーズサーガをはじめとする「世界全体を最初に築き上げて(又は過去に築き上げられたものを基に)、そこから一部分を切り出して映画をつくる」ことと同じ手法です。これによって、ファンに共感と強い没入感を与え、ブランドの熱狂的ファンを維持し続けることに成功したのです。

USのD2Cの課題

結果として、USのD2Cはシリコンバレーのテック系スタートアップと同じく多くの投資を集め、その価値は膨れ上がり続けています。しかし、ひとつのD2Cブランドが成長を続ければ続けるほど、そのブランドの行動は旧来のリテールに近付いてしまうことが、D2C最大の課題です。
さらに、プロダクトがソフトウェアではなく、ハードウェアである限り、生産供給量の継続して考慮する必要があり、その予測にも限界があります。また、特殊性や特異性のない多くのプロダクトにおいては、SKUを増やさない限りは売り上げの急増を期待できず、テック系スタートアップのような急激なスケールアップは困難なケースがほとんどです。
そのため、ひとたび成長スピードが鈍化しはじめると、Amazonなどの巨大プラットフォーマーに、自社プロダクトをプライベートブランドとして安価にコピー化されるなど、打つ手がなくなってしまう事態も発生しています。

日本のD2C

その一方で日本のD2Cは、「顧客とダイレクトにつながる」という意味ではUSと変わりませんが、中間コストを廃し、適正な価格で届けるという概念においては少し違なる方向に向かいます。日本独自の概念となった理由はふたつあります。
ひとつは、マスを意識せずにブランドのもっている世界観やメッセージに共感してくれるファンに対するアプローチのみでも、十分に成り立つ利益構造が実現できることです。
そしてもうひとつは、日本の伝統的なものづくりや、地方産業などを活用し、現代にトランスフォーメーションさせるきっかけになり得たことです。特に日本の「ものづくり」という概念は、D2Cのビジネスと非常にマッチしました。

これは、日本にはもともとD2Cに近い製造小売文化があったことに由来しています。例えば輪島塗の行商です。彼らは風呂敷を担いで北前船に乗り、全国のお得意さんを一軒一軒訪ねて直販を行なっていました。


彼らは文化的な素養にもすぐれ、多くの情報を同業者から得るだけなく、自ら発信して顧客の共感を生み出していました。日本におけるD2Cという考え方は、実は300年前から存在していたともいえます。
いま日本で成長しているD2Cブランドの多くも、顧客の課題解決に対して真摯に取り組み、着実な発展を遂げています。

USのD2Cと比較すると、地味でなかなかスケールしていない様に見えるかもしれません。しかし、顧客の課題感を真摯に受けとめ、解決できるように尽力する、そして顧客の心を豊かにする。これは日本古来の価値観が引き継がれた、日本ならではのブランド文化だと思います。以下は、その文化を体現した日本のD2Cブランドの一例です。

D2Cは手段であり目的ではない。

前述したように、USと比較すると日本のD2Cはスケールしないと思われがちです。また、USのD2Cに陰りが見えはじめると、日本のD2Cにもネガティブな情報が流れるのではないかという心配もあります。しかし日本には、日本独自のD2Cが存在しています。そしてD2Cは手段であり目的ではありません。
これまで具体的な言葉になっていなかった「仕組み」が、わかりやすい言葉に転換され、その仕組みや手段を活用するチャンスが到来している。そのような視点を持っていると、ブランドはもっともっと楽しくなってくると私たちは感じています。


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