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【FRACTA×FFG記念対談④】「連合体でいきます、の方がみんな楽ですよね」FFG・塚田さん(前編)

フィードフォースグループへのジョインを記念してスタートした、対談企画。最終回となる対談のお相手は、フィードフォースグループ社・代表取締役の塚田さんです!

インターネットの歴史と未来


河野:改めまして、この度は仲間に入れていただきありがとうございます!BIGBOSS!実は僕自身はEC-CUBEエバンジェリスト時代から、フィードフォースさんとずっとお仕事させていただいてるんです。塚田さんとはなかなかお話しする機会がなかったのです……塚田さんは、FRACTAのことはご存じでしたか?


塚田さん:もちろん、存じ上げていました。サービスでいうと「EC Booster」や「ソーシャルPLUS」でご相談やヒアリングなどがあったら、必ず河野さんのところにお話をお伺いに行っていたと思います。やっぱり「ECといえば」みたいなところでFRACTAさんはしっかり認知していました。


河野:ちなみに、フィードフォースさんって、元々制作をやられていた頃もあったんですよね。


塚田さん:厳密に言うと、僕が1996年の秋に1社目の会社を起業しているんです。高校の時の同級生と一緒に、2人でWebの制作会社を立ち上げたんですね。「ルートコミュニケーションズ」っていう制作会社で、今は友達の方が代表やっているんですけど、元々は僕が代表をしていました。なので、僕自身は10年ぐらいWeb制作のキャリアのど真ん中にいました。ただやっている中で、自分のサービスっていうのがやりたくなってきて。その友達には、「ちょっと申し訳ないんだけど、自分のサービス(いわゆる今でいうSaaSですよね。当時はSPって言われていたんですけど)をやりたいから、別の会社を作ってそっちでやらせてほしい」とお願いをして立ち上げたのがフィードフォースです。2006年にフィードフォースを立ち上げてからは、基本自社のサービス中心で。広告運用のところは、いわゆるクライアントワークとしてやるようになりました……というのが、変遷ですね。話が長くなっちゃったんですけど、最初の10年ぐらいは僕もいわゆるお客様のWeb制作をやっていたというところになりますね。


河野:ルートコミュニケーションズさんって、僕らの世代からすると結構有名な制作会社さんでしたね。僕、この仕事をはじめたのが2000年ぐらいだったのですが、もうすでにその時には結構実績ありましたもんね。


塚田さん:そうですね。やっぱ、NIKEさんをやっていたのが、結構大きくて。当時ってFlashゴリゴリの時代じゃないですか。昔はキャンペーンサイト全盛の時代で、例えば新しいスニーカーがローンチされたら、Flashゴリゴリのキャンペーンサイトでカンヌの賞とりにいく、みたいな。そういう時代だったので。


河野:2006年ってちょっとずつ陰り始めていたとはいえ、まだ結構Flashを活用した制作会社の全盛期だったじゃないですか。それでも「サービスやりたい」となったのにはきっかけがあったんですか?


塚田さん:サービスをやりたい理由がいくつかあって。そのうちの1つは、いわゆるクライアントワーク特有の成果の見えづらさがあります。お客さんが求める「こういうのが作りたいんだ」というのを頑張って作って「できました」とお客さんに見せて、すごく喜んでくれるのは楽しいです。「こういうのが欲しかった」って、納品してお金いただいて……もの作りをすることと、自分の目の前に喜んでいただけるお客さんがいて、ちゃんと価値を提供できているという意味においてはすごくよかった。よかったんだけれども、納品してしまった後にサイトがその後一体どう使われているのかとか、その先にいるエンドユーザーが本当に喜んでいるのかがほぼ見えないわけなんですよね。なので、そのあたりに物足りなさを感じてしまって。自分たちが頑張って作ったサービスがそのあとも継続的に役に立っていて、かつ何か足りないところがあればさらに自分たちで改良を続ける。そしてどんどんいいものにしていくプロセスを経験したいという思いがどんどん強くなって。それでSaaSの会社を作りたいと思うようになりました。

あとは、受託にありがちなちゃぶ台返しも理由のひとつです。納品間際で要件が変わるとか……


河野:特に当時は多かったですよね。


塚田さん:そうです。最終決済者の確認のタイミングでひっくり返されて。その後、本当に納期まで2週間しかないなんてことがザラにあった。


河野:徹夜して……みたいな。


塚田さん:みんな徹夜して……みたいなのって当時は日常茶飯事でしたけど、自分たちが本当にいいと思っているものと、お客様の最終意思決定者が求めるものが違っていたりすると、やっぱり自分たちが本当に欲しいものを作りたいなという思いも出てきたりとか。そのあたりのいくつかの理由が組み合わさって、だったら新しく自社サービスとしてチャレンジしようかなって感じですね。


河野:ありがとうございます。でもそこからのスタートは、やっぱり大変でしたよね。サービスやりたい!って人はたくさんいるけど、ちゃんとビジネスになるには本当に難しい。


塚田さん:受託とサービスって、全然ビジネスモデルが違うんですよね。受託は作ってちゃんと納品すればすぐお金が入ってきますけど、自社サービスは足が長い。まず企画から始まって、上手くニーズにフィットしたらお客さんがつきはじめて、どこかで損益分岐点をようやく超えて、そこからは利益出始めて……というところまでが結構長いんですよね。だから、その単体のサービスで見たら、3年ぐらい赤字の期間が続いてようやく黒字になって、そこから先はちょっと黒字が積みあがるようなモデルになる。売り上げが立ち始めるまでの時間軸が全然違うんで、結構苦労はしましたね。うちだと、1個3〜4年かけてサービスが立ち上がったら、出た利益を基にまた次のサービスを立ち上げはじめてというのを重ねていたので、いつまでやっても結構カツカツの状態で。10年ぐらいずっとこの状態でやってきてたので、それなりにタフな感じでした。


河野:そうですよね。サービスって外から見るとすごくうらやましいというか、サービスで上手くいってる会社ってすごく健全な状態ができてるように見えるじゃないですか。正直、サービスをやっている側からするとそもそも2〜3年先に黒字になる確証もないし、すごく大変だなとは思います。


塚田さん:デザイナーやエンジニアを含めてサービスのチームを作るわけなんですけど、結構心折れるんですよね、みんな。普通、5~6回ピボットしてようやくって感じなんですけど、そのピボットのタイミングで、みんな心が折れて辞めていくみたいなこともありました。人の問題でも結構厳しいですし、なかなかハード。笑


河野:僕自身、フィードフォースさんはずっと存じ上げていたので、すごく大変そうだなというのは感じていました。でも途中からなのか、塚田さんのビジョンってすごく大きくなったじゃないですか。それは何かきっかけがあったんですか?上場前ぐらいから、今の構想に近いものを考えられていたんですか?


塚田さん:そうですね。結果的にはたまたまなんですけど。元々フィードフォースの創業の時に一番最初にリリースしたサービスが、RSSフィードを使ったマーケティングツールみたいなものなんですね。「RSS Suite」というサービスなんですけど。それは何でRSSだったかというと、当時2006年は「Web2.0」の全盛の時代で。Web2.0の「三種の神器」って言われていたのが、SNSと、ブログと、RSSだったんですよ。


河野:そうですね、言われていましたね。


塚田さん:SNSは、当時mixiが日本で大流行していたし、ブログは、ニフティのココログやアメーバブログ、ライブドアなど結構いろんな会社さんがブログツールを出していた。でもRSSだけなかったんですよ。これっていうサービスがなくて。RSSリーダーは一応あって、Googleなどいくつか出している会社はあったんですけど、情報発信ツールとしてのRSSを活用するっていう切り口のサービスがなかったので、そこに着目しました。これだったら……と思って、RSSを企業が自由に出せるようなサービスを作ったっていうのが一番最初だったんです。ただその「RSS Suite」は、100社ぐらいの導入まではいったんですが、結局エントリーユーザー側に、RSSリーダーを使って企業のRSSとかブログのRSSを登録するぐらいの高いリテラシーを持った人はすごく少なかった。笑 一定数までしかいかなくて、そこから裾野が広がっていかなかった。RSS自体もそんなに普及しなかったっていうのもあって、そのサービス自体も頭打ちになってしまったんですね。ただ、結果としてその後に「データフィード」という、コンテンツや商品データを流すための仕様・フォーマットみたいなものが登場して「これ結構いいかもしれない」とデータフィードの方のサービスにシフトしていった。我々フィードフォースとしては、RSSで培った仕組みだとかテクノロジーを応用する形でやれたのが大きかった。

それとは別にもう1個、全く違うものをやろうというので、「ソーシャルログイン」のサービスを始めました。日本のサービスでは存在していなかったので。海外だと、メジャーなところ2つぐらいあったんですが日本にはなかったので、それの日本版作ろうと「ソーシャルプラス」を立ち上げたんです。

あとから気づいてみると、データフィードもサイトとサイトを繋ぐようなサービスだし、ソーシャルログインもOAuthっていうテクノロジーを使ってサイトとサイトを繋ぐようなものだと。どっちも、とにかく繋いでいくことに関しては共通していた。当時2014〜5年くらいですかね。APIもある程度普及はしていましたけど、まさしくこれからどんどんいろいろなサービスや企業がAPIを解放して、どんどんいろいろなものが繋がっていくようになる。そんな未来がやってくるに違いない!というところから、「我々は何かと何かを繋いでいくっていうことに特化してサービスを提供していく」方針でいこうって決めたんです。それがまさに5年ぐらい前ですかね。その時には一応ある程度サービスもラインアップとして出そろってきていて、且つそれぞれが伸びているという状況だったので、IPOをいよいよ目指そうということで西山がジョインしまして。そこから、色々整理をしていって、2019年に東証マザーズに無事IPOできて……そんな感じですね。


河野:今お話を聞いていて、僕もその時にちょうど生きていた人間でもあるので……Web2.0ってすごく夢があったじゃないですか。でも実は、半分ぐらいがちょっと早すぎたんですよね。フィードって考え方もそうだし、それこそ2つの機能をAPIで組み合わせる、「マッシュアップ」みたいなものもそう。


塚田さん:マッシュアップも、「マッシュアップアワード」とかありましたよね。


河野:話題になっていましたけど、特に日本の場合はやっぱり企業側がついてこれなかったんですよね。今になって、そのあたりが改めて当たり前になりつつある。


塚田さん:そうですね。今APIがないと、むしろ話にならないっていう。


河野:やっと時代が追いついてきた感はありますよね。


塚田さん:そうなんですよ。


Web3は社会に実装されるのか?

河野:Web3も、実はWeb 2.0の頃に提唱されたけれどその時は社会に実装されなかったもののリベンジのようなイメージがある。きっと、ここから10年ぐらいかけて今度こそ理想の未来に近づいていくのかなと思います。


塚田さん:そうですね。Web3も、是非取り組みたいなと思ってはいるんですけどね。


河野:Web3は、どっちかというと概念的なものが強いですよね。自律分散された仕組みとか。「もののやりとり」という行為自体すら、デジタル上で完了する。つまりNFTもそうですけど、決済も所有することも、リアル世界に存在する(変換する)必要のない世界という意味では、すごく先進的なので。コマースの未来においては、欠かせない要素だったりすると思うんですけど。


塚田さん:本当にそうなんですよね。結構地続きになっていると思っていて、それこそ我々がこれからやっていこうとしている、Shopifyを中心としたコマースのエコシステムみたいなものから繋がっている未来だと僕は勝手に思っていて。僕もまだ全然Web3は勉強し始めたばっかりで、正しく理解できているかどうかはわからないんですけど、さっき河野さんが言われたような、デジタル上で全部完結して且つ所有ができてしまう。ちょうど先日、アディダスがNFTのラインアップ出して、すごく売れているみたいで。

ああいうのもそうですし、あと「DAO」というクリプトを使った、統治というかコミュニティ統治の考え方なのかな、今必死で勉強中なんですが、やっぱりコアは、趣味性のカテゴリーなのかなと。例えば、サッカー好きみたいな人が集まるコミュニティがあって、それを「DAO」で管理するとか。テーマがそれぞれあって、テーマやプロジェクトごとに「DAO」のコミュニティが作られるらしいんですけど、それって、お買い物とかECの文脈とすごいフィットするなと思っていて。そのあたりも研究していきたいなと思っています。

河野:僕が勝手に思っていることなんですけど、やっぱりWeb3に出てくる未来って、端的にまとめるとマトリックスみたいな未来なんだなと思っていて、リアルの世界がありながらも、違う次元でオンライン上の世界が存在している。しかもリアルの世界の力によって統治されているわけではなく、この分離された、自律された仕組みによって統治されている、みたいな。なので、すごく多様化に対応できるということになっているし、その世界においてブランディングっていう概念はすごく合うなと思っていて。自分が何者で、どんな形を提供できるのか、というのが既存世界に縛られない。


塚田さん:本当そうですよね。


河野:価値観という文脈においても、すごく合うと思って。そういう新しいWeb3時代を見据えたブランディングとリテールコマースって、多分地続きなんですよ。そこは、まさしく今回のFFGならではのシナジーが効いてくるところかなと。


塚田さん:そうですね。よかったなと思っています。Web3とか出てきたときに、Web3に接続しやすい業界・分野と、接続しにくい業界・分野があると思っていて、間違いなく、これから我々がやろうとしているところは、接続しやすい方なのでめちゃめちゃ可能性を感じています。

(後編に続く)



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