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ボージョレ・ヌーヴォー解禁日

こんばんは。久しぶりのnote更新です。

本日11月の第3木曜日は、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日ですね。

毎年この時期になると、日本のメディアなどでも大きな話題になりますが、これは本場フランスでも同じようです。今朝、ぼんやりフランスのニュースを聞いていたら、ボージョレ解禁の話題が繰り返し取り上げられていました。

毎度派手に取り上げられるワインだからこそ、はやりものにはあまり関わりたくないと思う方もいらっしゃると思いますが、ここはひとつ、こちらのワインについて深堀してみたいと思います。

よろしければぜひお付き合いください。

ボージョレ・ヌーヴォーって何?

端的にいうと、フランスのボージョレ地方で作られた新酒のことをいいます。ヌーヴォーはフランス語で「新しい」という意味です。

ここでいう新酒とは、その年に収穫されたぶどうを用いて、その年に醸造・瓶詰めされたワインです。つまりこの秋に収穫されたぶどうでつくられた、できたてほやほや(?)のお酒です。

よく「ヌーヴォー解禁」という表現が用いられていますが、本国フランスの事情に由来しています。フランスのワインにまつわる法律は非常に厳格で、12月15日まではお酒の出荷が禁止されています。

しかしヌーヴォーと称することが認められたワインは、例外的に11月第3木曜日に販売することが認められています。

このような新酒はボージョレだけでなく、フランス各地で生産されています。

ボージョレ・ヌーヴォーってどんなワイン?

端的にいうと、フレッシュさ・赤系果実のフルーティーさが売りのシンプルな赤ワインです。

このワインはガメイという黒ぶどうで作られており、収穫から数週間という短期間で仕上げられています。

ちなみに、瓶のラベルに「ヌーヴォー(nouveau)」や収穫年の表記のない(新酒ではない)ボージョレワインもあります。これらは通常の、フランスのワイン法に定められたとおりに作られたワインです。

同じガメイで作られたボージョレワインでも、畑の場所や醸造の方法によっては、より複雑なワインとなります。


ボージョレ・ヌーヴォーの歴史

ボージョレ地方では19世紀ごろから、ぶどう収穫後の早い段階でワインの取引が行われていました。一説によると、ぶどうをつぶした後、まだアルコール発酵も始まっていない段階で、生産者と卸売商の間で樽取引がされていたようです。

というのは、交通手段が今より発達していなかった頃、卸売商がワイン販売業者やレストランなどのもとへ運ぶのに数週間かかっていましたが、この移動中にぶどうの発酵が良い感じに進行し、移動が終えた頃にはちょうどよくワインが出来上がっていたようです。

昔は早飲み用の安ワインとして、ボージョレ地方の南にある大都市・リヨンのカフェで提供されていましたが、徐々に人気が高まって、市場はパリまで拡大しました。

フランスでこれまで人気になったのは、ボージョレの地方議員が国会の議長に働きかけ、国会でボージョレワインを振舞ったこと、またボージョレの生産者たちが一同でプロモーションを行い、解禁をイベントとして扱い、時の有名人ミレイユ・マチューやジョルジュ・ブラッサンスを招待し、これがメディアで大いに取り上げられたことが背景にあるようです。

日本については、言い方は良くないかもしれませんが、「新しいもの好き」の国民性や「(時差により)世界で最初に解禁日を迎える」といった時流にうまく乗っかり今にいたる、というような印象があります。しかし裏にはジョルジュ・デュブッフという仕掛け人が日本の大手メーカーと契約してプロモーションを行うなど、日本へのボージョレ普及に尽力したそうです。

最後に

今までなんとなく見過ごしてきたボージョレ・ヌーヴォーですが、よくよく調べてみるとおもしろい歴史があるもんだと感心しました。

たまに「ボージョレ・ヌーヴォーはまずい」というコメントを見かけますが、最近はブルゴーニュの高名なドメーヌ、たとえばマルセル・ラピエールやルイ・ジャド、ジョゼフ・ドルーアン、ローヌのミシェル・シャプティエなどもこの地でヌーヴォーを手掛けているようです。

最後の最後に、Beaujolaisの日本語読みですが、「ボジョレー」でも、「ボージョレ」でも、「ボジョレ」でも、何でもありだと思いますが、ここでは過日書いた記事と同じく「ボージョレ」に統一しました。


過去の記事:https://note.com/fracofr/n/n7c82abdf4784

フランス語学習者はこちはもぜひ: https://m.youtube.com/watch?v=PKxNCy73VGU

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