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ワインエキスパートの勉強まとめ(ブルゴーニュ地方&ボージョレ地区⑧ボージョレAOC)

かつてフランスのワイン専門誌la Revue du Vin de Franceで「最も官能的なぶどう畑(Le plus sensuel des vignobles)」と評価されたボージョレ地区は、ブルゴーニュ地方とは様々な面で一線を画しています。

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ボージョレ地区

・ボージョレ地区はブルゴーニュ地方の最南端にあり、フランス第2の都市リヨンに近接しています。ボージョレBeajolaisという名前は、昔の中心地であり、またラテン語で「美しい山の頂上」という意味のボジューBeaujeuという村の名前に由来します。なだらかな丘にぶどう畑が広がる風光明媚な風景は「ガロワ(昔のフランスを指す)のトスカーナ地方」とも呼ばれていたそうです。

・生産量は1.6万ha(比較:ブルゴーニュ地方5地区2.7万ha、ボルドー地方約11万ha)です。

・北部は花崗岩質、南部は主に石灰質の土壌です。

・ぶどうの主品種はガメイで、色鮮やかでなでフルーティなアロマが特徴の赤ワインの一大産地です。また、この地区で生産されるワインの98%が赤ワインです。

・生産量は少ないながらも白ぶどうのシャルドネも栽培されています。

・花崗岩質の土壌で日照が強くて乾燥しやすいこと、またガメイ種は良く育つことから、ぶどうの実に栄養が集中するよう株仕立てに剪定が採用されているのもポイント。

・ボージョレ地区の多くでマセラシオン・カルボニックという醸造法が採りいれられています。ぶどうを房ごとタンクに入れて5~7日かけてアルコール発酵を促すもので、これによって赤みの濃いワインになります。おなじみボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauのように収穫年に市場に出すなど短期間で醸造したい場合にこの方法が用いられます。

AOC

ボージョレ Beaujolais/ボージョレ・スーペリュールBeaujolais Supérieur(赤のみ) >ボージョレ・ヴィラージュ Beaujolais Villages>10つの村が対象のクリュ・デュ・ボージョレCrus du Beaujolaisとなっています。

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日本でもおなじみのボージョレ・ヌーヴォー

ボージョレ・ヌーヴォーは「新しいボージョレワイン」という意味で新酒を指し、その年に収穫されたぶどうを用いて短い期間で醸造・販売されるワインです。また、ボージョレの以外にもローヌ地方やロワール地方など、あらゆるところで生産されています。地元の収穫祭など、まつりやパーティーシーンを盛り上げてるれるようです。

また新酒の場合、AOCに認可される生産可能色が通常の場合と異なる場合があります。ボージョレの場合でも、通常は赤・白・ロゼですが、新種の場合赤とロゼしか認められません。

クリュ・デュ・ボージョレ 

全てのCrusはガメイの栽培に適した花崗岩質土壌を持つ北部に位置します。

サン・タムール/St. Amour
ジュリエナス/Julienas
シェナス/Chenas
ムーラン・ア・ヴァン /Moulin a Vent
フルーリー/Fleurie
シルーブル/Chiroubles
モルゴン/Morgon
レニエ /Regnie
ブルイィ/Brouilly
コート・ド・ブルイィ/Cote de Brouilly


ボージョレかボジョレーか、それともボジョレか

Beaujolaisを日本語で表するとき、どう読み書きするか。ボトルのラベルや毎年秋になるとあちこちで見かける広告を目にしてはいつももやもやしていたのですが、なんでこうなったのか考えてみよう、この問題。

まず、ご当地フランス語の発音をままカタカナ表記する場合、「ボジョレ」となります。

しかし、フランス語の発音をいつも簡単に日本語に表記できるとは限りません。たとえば、次の旅でタクシーの運転手さんにグラン・クリュ街道La Rue de Grand Crusと指示しても、おそらく伝わらないと思います。なぜならフランス語と日本語では舌の使い方や口の開け方、母音・子音のバリエーション、アクセントの置き方が異なるからです。

フランス語から派生したカタカナことばに「ボーテbeauté」、ボルドーにその名を冠したシャト―がある思想家・モンターニュの『エセーEssai』などがあります。これらの表記方も影響しているのかもしれません。

なお、私のメンター(と勝手に思っている)たちの本には
・辻静雄氏:ボージョレ(ワインの本、1982)
・パトリス・ジュリアン氏:ボージョレー(フランス料理ABC、1993)
・地球の歩き方 フランス2013-2014:ボージョレ

・・・ばらばらです。

結論。この問題はこだわることではなかったのかもしれません。(すみません)


参考



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