あ、ゲームしよ。
2020年、未曾有の新型コロナウィルスによるパンデミックにより世界中が大打撃を受けた。
健康被害に経済被害、枚挙にいとまがないぐらい様々な分野でダメージを残すコロナウィルス。
何を隠そう僕のやっているバンドでもそりゃもうやべえぐらい被害が出た。具体的に言うとしたら2020年の中盤戦の全国ツアーが白紙になり、メンバーと直接会うことさえままならない状態で作曲すらまともにできない。
両手両足をもがれたと言っても過言ではない。
アイデンティティを失ったバンドマンはさながらバイキンマンの存在しない世界のアンパンマン。
『あれ?俺、なんの為に存在してるんだっけ?なんの為の幸せ?何をして喜ぶ?』
いつになるともわからないライブハウスへの復帰を前にスタジオにもまともに入れず仕事と自宅を繰り返す日々。
大好物で息抜きの海外旅行にも行けず目標を見失ったバンドマンもといよく喋るおじさんは精神衛生上の窮地に立たされた。
家でやれることってなんだろ?
最初は配信で毎日歌うことも考えた。
だがしかし現実はそう簡単に甘くない。
自慢じゃないが声量オバケでもある私ではいくら鉄筋コンクリートのマンションであっても完全には防げないのだ。
ただでさえマンションには赤子を抱えた家族が私が確認する限りでは少なくとも3家族はいるのだ。
そのうち1家族は双子で。
無理やん。そんなん絶対無理やん。
赤子の泣き声ならまだしも見ず知らずのおじさんの歌声がマンションから漏れたら非難轟々やん。
たとえ隣人が平井堅でも毎日聞かされたら絶対いやになるし、古時計だって破壊したくなるに決まってるやん。
諦めてゲームした。
私は悟った。
全世界を揺るがすパンデミックを前にしてバンドマンごとき無力なのだ。
10余年程前は「音楽で世界を変えてやる」そんな風に思っていた時期も確かにあった。
今思えば微笑ましいことこの上なく、穢れを知らない青年の淡い夢物語に過ぎないのだが、誰がこんな事態を想定して活動していただろうか?
ノストラダムスの予言も外れたしパンデミックも大丈夫やと思うやん?
全然大丈夫ちゃう。
大丈夫やと思ってた頃の自分を呼び出して逃げ場のない説教をかましたい。でも〜とか言い訳する自分にビンタしながら説教かましたい。
真面目にエンターテイメントするにはどうしたら良いのか考えるのもしんどいので逃げるようにしてPUBGモバイルをやりだしたのだ。
PUBGめっちゃおもろい
ハマった。
結果めっちゃハマった。
なんやったら初めて基本プレイ無料のゲームに課金した。
スマホゲームに課金するやつはアホやと思ってたのに課金した。
3000円を推し(PUBGモバイル)に貢いだ。
10年以上もバンドをやってて、あししげく通ってくれるお客様たちが物販で同じラバーバンドを2つも3つも購入してゆく様子に理解が難しいながらも複雑な気持ちにされていたが
良いモノには金を払う
という精神を完全に理解する瞬間が私にも訪れたのだ。
そうだ・・・
良い映画を見たら1冊1000円もするパンフレットを購入した。
美味しい料理を食べたら一杯どうぞとビールをご馳走した。
テーマパークで楽しんだらそこでしか着用出来ないグッズを購入した。
そうだ。これこそ推しに金を払うという精神なのだ。
良いサービスにはそれが今後も続くようにとお金を落とす行為・・・それこそが課金(貢ぎ)。
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