スペイン国外資産の報告義務 (2)

先の記事 スペイン国外資産の報告義務 (1) での説明の通り、スペイン居住者が報告しなければならない国外資産は次の4つに分類されます。
分類1:預金(普通預金、定期預金など)
分類2:不動産(土地、建物など)
分類3:有価証券(株式、投資信託など)
分類4:暗号資産

分類1〜3は申告書類Modelo 720と呼ばれるフォームを使用し、分類4の暗号資産についてはModelo 721を使用します。

まず、各分類別の合計試算額を計算します。
この際各分類別の合計額が50.000€以下の場合には申告は不要となります。

例1
預金合計=30.000€
不動産合計=40.000€
有価証券合計=40.000€
上の場合、国外資産の合計額は110.000€になりますが各分類内の合計が50.000€以下であるため申告は不要です。

例2
預金合計=30.000€
不動産合計=0€
有価証券合計=80.000€
この場合、分類3の有価証券合計が50.000€を超えているためModelo 720の提出が必要となります。

Modelo720/721提出の要否を決める計算日は、年末12月31日もしくは第4四半期(10月〜12月)の平均残高となります。下の例をご覧ください。

例1
1月にオランダ籍の証券会社(例:DEGIRO)を利用し100.000€相当の有価証券を購入したのち9月に全て売却後スペイン籍の銀行口座に全額出金した場合。
12月31日の国外残高、第4四半期の平均残高ともに0€なので申告不要

例2
通年でドイツ籍銀行に100.000€の預金があったが11月30日に全額スペイン籍の銀行口座に出金した場合。
12月31日の国外残高は0€だが、第4四半期の平均残高は66.666,67€になるため要申告。

例1、例2の場合とも譲渡益、配当、利息などに関しては別途確定申告時に申告が必要となります。

Model 720/721の提出期間は翌年1月1日から3月31日までです。
4月からの確定申告の期間が始まってからでは手遅れとなる旨注意してください。

Modelo 720/721は毎年提出する必要はありません。
一度提出したのち、その資産額から20.000€増えた場合はあらためて提出する必要がありますが、そうでなければ必要ありません。

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