スペイン国外資産の報告義務 (1)

スペイン居住者は国外に50.000€相当額以上の資産(預金、証券、不動産、暗号資産など)がある場合は税務署に報告しなければならないことをご存知な方も多いと思いますが、みなさん申告していますか?

報告しなければならない国外資産は次の4つに分類されます。
分類1:預金(普通預金、定期預金など)
分類2:不動産(土地、建物など)
分類3:有価証券(株式、投資信託など)
分類4:暗号資産

※なお、国外にて議決権保有割合が10%を超える株式など保有している場合には別途申告が必要になりますが、こちらの申告については改めて記事にします。

よく勘違いされるのですが、スペイン国外の資産=日本の資産だけではないということです。日本で保有する資産に加えて、気がつかないうちに国外の金融機関などに資産を保有している場合もありますのでもう一度確認してみてはいかがでしょうか。
EU内での金融市場の開放によって他のEU加盟国でライセンスを取得している金融機関などもスペイン国内から簡単に口座開設をすることが可能です。
金利が良い、手数料が安いなどの理由で開設した口座が実は外国の口座だったなんてことはありませんか?

有名な金融機関だとN26やRevolut、Wiseなどに預金口座を開設している場合、その口座がどこの国に属するのか一度確認してみましょう。
N26及びRevolutは現在スペイン居住者にはスペイン籍の口座を付与していますが、それまではそれぞれドイツ籍、イギリス籍(Brexit時にリトアニアに移籍)の銀行口座です。Wizeはベルギー籍の口座となります。
口座番号IBANがESから始まっていない場合、口座残高はスペイン国外にある資産に含まれると考えるといいかと思います。
そのほかにもDEGIRO、Scalable Capital、Trade Republicなどの証券口座も外国籍となり、バイナンスなど外国籍の取引所にて保有しているビットコインなどの暗号資産も申告が必要となります。

国外資産の報告は確定申告とは別に提出する必要があります。
申告期間は1月から3月までとなり、4月からの確定申告期間にはすでに国外資産の申告期限を過ぎている点にご注意ください。

私も毎度確定申告のお手伝いをする際にお客様に国外資産とその申告状況を確認していますが、申告漏れの方には期限後申告も可能な旨お勧めしています。
中には外国ですでに税金を納めているのだからスペインでまで報告して課税される義務は無い等という悪質な方もいらっしゃいますが、この国外資産の申告は直接課税につながるものではありません。
国外資産から発生した所得に関しては、確定申告時に申告し納税することとなります。この際外国ですでに徴税された所得税などは二重課税調整を利用し二重課税を防ぐことが可能です。

次回も今回の記事続きをお話ししようと思います。

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