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新しいNISAはココがすごい!移行期ならではのメリットも見逃すな!!

2024年以降、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化が図られ、新しいNISAが導入される予定です。\_(・ω・)

家計の資産所得の倍増」を掲げる岸田内閣は、今後5年間でNISA口座数を3400万に、投資額を56兆円にそれぞれ倍増させる目標を打ち出しており、恒久化や非課税枠の上限引き上げなどを盛り込んだ新しいNISAの検討に入りました。

まだ正式決定ではないので、変更される可能性もありますが、大枠では税制面でのメリットが大幅に拡大することから、投資経験のなかった人々にも関心を持ってもらい、個人の資産形成を促進する一助となりそうです。

▼そもそもNISAって何?

NISAとは「少額投資非課税制度」の名の通り、個人投資家の少額投資に対し、その収益が非課税になる制度です。

本来、株式投資など金融商品から得られた利益には20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税金がかかります。仮に100円で買った株が倍の200円になったとすれば+100%の利益ですが、課税口座では、20.315%の税金がかかるため、税引き後は+79.685%の手取りになります。しかし、NISA枠の範囲内であれば、利益に対する税金が免除されます。

投資信託の平均利回りの目安は3%~10%といわれているので、20%超のコストが抑えられるとするなら大きいと思いませんか?加えて、新制度に移行すると、この20.315%の重みが格段に変わってくる可能性があります!

まずは新制度の変更点からチェックしてみましょう。

 ▼現行制度から、どこが変わるのか?

現行のNISAは、毎年120万円を上限に最長5年間、新規購入株の配当や譲渡益が非課税になる「一般NISA」か、毎年40万円を上限に最長20年間、投資信託の購入で得た利益にかかる税金が非課税になる「つみたてNISA」のどちらか一方が利用できました。

では、新しいNISAはどこが変わるのでしょうか。以下のような案がまとめられています。

1:非課税保有期間の無期限化
2:口座開設期間の恒久化
3:つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
4:年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能)
5:非課税保有限度額は、全体で1,800万円(成長投資枠のみでは1,200万円が上限)

新制度によって非課税で投資できる金額が増える!つまり「コストが減る」ということは、投資家にとって利益を出すのと同じくらい大切なことです。

加えて、非課税保有期間の無期限化により、定期的に利益を確定する必要のある機関投資家よりも個人投資家が有利な点として挙げられる「時間を味方につける」メリットが増すことになるでしょう。

また、この無期限化は、後述する「非課税保有限度額の中であれば、何度も売買できる」という大きなメリットにもつながります。

まずは2023年までのNISA(以下従来型)と2024年からの案(以下新NISA)にどんな枠組みがあるのか把握してから、変更点を見ていきましょう。

【従来型】
a:対象が金融庁の選んだ投資信託に限られる「つみたてNISA」
b:国内外の上場株などにも投資できる「一般NISA」
c:「ジュニアNISA」←2023年末で廃止

(金融庁ホームページより)

【新NISA】
A:「つみたて投資枠」
B:「成長投資枠」

(金融庁ホームページより)

▼変更点

1:非課税保有期間の無期限化
従来型の非課税保有期間は、a:「つみたてNISA」が20年間、b:「一般NISA」が5年間でしたが、新NISAではA:「つみたて投資枠」、B:「成長投資枠」ともに無期限化されます。

2:口座開設期間の恒久化
従来型の口座開設期間は、a:「つみたてNISA」、b:「一般NISA」ともに2023年まででしたが、新NISAではA:「つみたて投資枠」、B:「成長投資枠」ともに恒久化されます。

3:つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
従来型は、a:「つみたてNISA」か、b:「一般NISA」のどちらか1つを選択しなくてはなりませんでしたが、新NISAでは、A:「つみたて投資枠」、B:「成長投資枠」を併用することができる見込みです。

4:年間投資枠の拡大
従来型の非課税保有期間年間投資枠は、a:「つみたてNISA」が40万円、b:「一般NISA」が120万円でしたが、新NISAではA:「つみたて投資枠」120万円、B:「成長投資枠」240万円に増額されました。しかも上記3で述べたように併用可能なので、最大で年間360万円の投資枠が使えることになります。

5:非課税保有限度額は、全体で1,800万円
従来型の非課税保有限度額は、a:「つみたてNISA」が40万円×20年=800万円、b:「一般NISA」が120万円×5年=600万円と、累計での金額が設定されていましたが、新NISAではB:「成長投資枠」の上限1200万円を含み1800万円に拡充されました。

さらに、従来の「累計」から「簿価残高方式」に変更されるため、1800万円のうち1000万円分を売却すると残高は800万円となり、新たに1000万円分非課税枠が生まれることになります。つまり上限の1800万円内であれば毎年360万円を上限に非課税枠が復活するのです。

(現時点では「回転売買への勧誘行為については金融庁が監督指針を改正し、法令に基づき監督及びモニタリングする」とされていますので、過度な回転売買については正式決定までに変更が入る可能性もあります)

▼新NISAで変わる20.315%の重み

株取引をしたい人が選択する従来の「一般NISA」では、年間120万円の枠のなかで得た利益にかかる20.315%の税金が免除されるわけですが、そこに大きなメリットを感じない投資家もいたようです。

たとえば、120万円で買った株が25%値上がりし、150万円になったとします。30万円の利益になりますが、売却益30万円に対する20.315%の税金、約6万945円を節約するために、わざわざ口座を開設するのは面倒だという発想です。

しかし、年間120万円から240万円に非課税枠が倍増するほか、枠の再利用が可能となることで、20.315%の重みが格段に増してきます。(わかりやすいように手数料は考慮せずに話を進めます。)

成長投資枠の240万円を使って毎年買い足し、上限の1200万円に達する5年後に、25%の運用益が出たとすれば、300万円の利益に対する20.315%の税金60万9,450円が節約できることになります。

▼メリットはそれだけではありません!

非課税で保有できる期間の制限が撤廃されることによって、さらに上昇の見込みがあれば、そのまま保有し続けることが可能になります。25%といわず、50%、100%、それ以上の運用益も狙えるということは、50%の運用益が出たとして、節約できる税金の金額は121万8,900円、100%であれば243万7,800円という大きな金額を節約できることになります。

ちなみに100%の運用益、つまり投資資金が倍になるということですが、これは決して非現実的な数字ではありません。

例えば、ウォーレン・バフェット氏が、日本の5大総合商社株(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)の大量取得を2020年8月末に発表しましたが、その後これらの商社株は軒並み上昇しています。

バフェット氏の大量取得発表以降の5大商社株の値動き

バフェット氏が買い進めていると発表された時点で同じように買っていたとしてもこのような利益を獲得できたわけです。このような上昇は株式市場では往々にしてあります。もちろん、それらに伴う節税効果も大きなものになるというわけです。

▼非課税投資枠が再利用できる!

また、現行制度では保有している株式や投資信託を売却した場合、売った分の非課税投資枠の再利用はできません。たとえば、買った株が上昇して利食いした場合、その株への投資額が非課税枠から減ることになります。
 
したがって、投資家心理としては効果的に非課税枠を利用するために、できるかぎり利幅を伸ばしたいと考えます。ところが、決済を先送りするうちに元値に戻ってしまうといった残念なケースもあるわけです。

しかし、新制度では、利食いしたらその分の非課税投資枠が復活するようになるので、限度額のことを気にしなくてよくなります。正しい投資判断を下しやすくなるともいえますね。

さらにいうと、新制度は18歳以上が対象なので、家族での運用も有効と考えられます。例えば、夫婦ふたりだと、「成長投資枠」の上限1200万円×2で、最大2,400万円が非課税投資枠となります。これだけの枠があれば、相当大きな節税効果が見込めるでしょう。

▼NISAのデメリットと注意点

課税口座での株式取引では、株式を売却して損失が出た場合、一定の要件を満たせば、利益と損失を相殺することができる「損益通算」が可能で、損失を3年間繰り越す「繰越控除」があります。

NISA口座は非課税口座なので、この方法が使えません。従来の課税口座で50万円の利益が出た一方で、NISA口座で50万円の損失があっても相殺できず、50万円の利益に対してのみ、そのまま税金が掛かるため、トータルでマイナスということもありえるので、口座ごとの金融商品の選択には注意が必要です。

▼移行期ならではのメリットに注目

従来型NISA(現行制度)の「つみたてNISA」、「一般NISA」において投資した商品は新しい制度の外枠となり、従来型の非課税措置が適用されます。

つまり、すでにNISA口座を利用している方も、現行制度を期限まで利用しながら、新制度の投資枠をゼロの状態から満額利用できるということです。

たとえば夫婦で従来型の「一般NISA」口座を開設すれば、年間投資枠120万円×2で240万円の非課税枠を、新NISA枠とは別に持てることになります。
また、18歳以上のお子さまが2人いるのであれば、120万円×4人分の口座で480万円分の非課税投資枠を外枠で確保可能です。

グレードアップされる新NISAには及ばなくとも、この経過措置によるメリットをみすみす放棄するのは勿体ないですよね。従来型と新NISAの双方の枠を使えるこの移行期、取りこぼしのないように準備を始めたいものです。

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