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話が伝わらないのは、出口を示さないから

以前「話の入口が間違っている」という記事を書きました。入口を間違えると、望まない方向へ話が展開し当然目標にたどり着きません。悩みが生じたり、当初考えていた目標とは違うところにたどり着きます。

「入口が間違っていること」は大きな問題です。そして「出口を示さない」ことはもっと大きな問題です。

目標設定が出来ていないから「聞く気にならない」

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会社のトップ、上司、リーダーが何を考えているのか、何を目指しているのかを明確に打ち出しているか、部下は聞いています。両親が本心で考えているのかを正しく伝えているか、子どもたちは聞いています。

どのような環境でも、明確な目標を確認できれば、(賛否があったとしても)聞く耳を持ちますし、何を考えているか曖昧な場合には、以降、話を聞く気が失せてしまいます。そして、自分がどうすべきなのかを判断できないので、無駄な行動が増えたり、何も行動をしなかったりします。

「目標にたどり着かない5つの理由」を「必ず目標にたどり着く5原則」に

入口と出口はつながっています。つなげ続けているのが今です。その今、どのように進むか・移動するかの選択肢は無限にあり、選択を誤ると、いつまで経っても出口にたどり着きません。「出口」とは目標(あるいは目的)です。

では、目標にたどり着かない理由を知り、目標にしっかり到達する方法について考えます。

1. 望む状態を理解できていない、予測できていない

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・目標地点に何があるのか想像できていない。
・あるべきどのような状態か想定できていない。数値目標、期日目標など。
・目標が「日付」になっている。

菅内閣の思考です。宣言解除の目安の数字がいかようにも解釈でき、しかも判断するタイミング「日付」を意識するあまり、判断基準が二の次になっていて、目標設定をしていないのと全く同じ状態になっています。そのため、あいまいな基準をクリアできたか否かをそれなりの判断をしたことにして、何度も同じ状態を続けています。区切りポイントが先伸ばしになり、それが何度も続くとなれば、誰も話を聞かなくなります。

大切なのは「目標が何なのか、極めて具体的である」こと。

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・達成率、完成度、人数、売上、顧客数など、数値を設定していること。
・未達の場合の分析方法を確立していること。

具体的であればあるほど、目標は確実に達成できます。

2. 現実的でない、抽象的である

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・到底、無理な目標を立てている。道が険しい。目標が高すぎる。
・目標が具体的でないため、行動できない。道が見えない。
・小手先の手段ばかりで出口を設定していない。

目標が現実離れしていれば、聞いている側からすると気持ちが失せます。また、目標が具体的でないとな行動できません。このような目標設定は、小手先の手段を思いついたときに出てくることが多いです。初めて聞いたときには「なるほど」と感じますが、手段を考え始めると、具体的に「それをどのように実現するのか、実現できるのか」を十分意識していなかったことが、大きな問題となる場合があります。これは、小池知事に多い手法です。

大切なのは「現実的な目標であること」

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 ・聞いた者が目標を容易に想像できること。
 ・無理なく、各人が目標に向けた行動計画を策定できること。
 ・思い付きは、すぐには発言しない。

目標がより具体的で、高望みしていないこと、思いつきでないことが大切です。もし閃きがあったとしても、いったん発言は控えておき、よく吟味する必要があります。

現実的・具体的な目標設定の条件

・肯定的な表現であること(どうありたいか、何を実現したいか)
・いつまでに、どこで、どのような組織で実現するか
・完成予想図、数値情報、波及効果を誰もが共有できる状態か
・進捗の確認、完成したものをどのように確認できるか
・新たな目標設定をしているか

3. 危機管理の不備

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・「できない」ことを想像している、言い訳にしている。
・失敗を恐れるあまり、あいまいな状態を続けている。
・トラブルが発生したときの対応策を設定していない。

できない理由を考えたり、判断を先延ばしにする理由ばかり考えていれば、その通りになります。それが目標になっているからです。できない理由考えるのは、田村大臣の得意技です。また、議論を曖昧にして検討時間を長くするのは西村大臣の常套手段です。

このように、危機管理について考えることから距離を置くことは、危機管理には全く効果がありません。ましてや、不測の事態、トラブル、危機への対応策を「発生してから」考え始めること自体、危機管理がなっていません。

仮に、入念な「危機管理マニュアル」が作成されていたとしても、その危機に直面した際、マニュアルに固執するばかり、身動きが取れなくなるケースもありません。「本当はこうしたいけど、ルールを破ったら後から非難されるだろう」と。

「マニュアルを破ってでも、早急に判断する場合もある」意識をもつ

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・マニュアルは「原則」「基本動作」である
・不測の事態では、マニュアル通りでないことも選択肢の一つである。

日本を除く多くの民主主義国家では「多様な意見を集約し、そこから多数決で1つの決断を下す」のが当然とされています。危機が発生した際、多くの意見を聞き、最終的に多数決で1つの結論を実行します。

日本は、民主主義国家に似た自由主義国家であるため「意見の多様性を尊重する」ことで、誰もが文句のつけようがない結論に至ります。そのため、結論を得るまでに長い時間がかかります。

危機に直面するときに「マニュアルについてどう考えるか」関係者が集まって議論していることほど危険な状態はありません。マニュアルを超えて決断できる環境を整えることが究極の危機管理です。

4. 情報を伝えていない、共有していない

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・話さず、読んでいる。(自分で考えていない)
・そもそも何も情報が届いていない、知らない

自分の考えであったとしても、それを他人が文章化して、当の本人がその原稿を読む。答弁を部下がゴーストライターのように作成することは、国会だけでなく、企業でも、大学でもあることです。他人が書いた文章なので、いくら正確に読んだとしても、「自分の言葉ではない」「読んでいる」ため、相手にはなかなか思いが伝わりません。聞き手は、その人の朗読を聞くのであれば原稿がもらえれば十分です。

ましてや一部の閣僚においては、自分に情報が伝わっていない「裸の王様」なっている事態も散見されます。実働部隊が内容を理解していても、トップが内容を知らないようでは、不測の事態にトップは何も指示できません。何らかの施策を行ったとしても、それが正しいのか否かの判断、責任の所在も不明確です。

関係者が情報を十分に共有せず、それなりの理解を文書化して朗読しているようでは、目標へたどり着けるはずがありません。

大切なのは「思いを話す、思いを共有する」こと

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・書いてあることは最終的な確認事項・共有すべき事案。
・話すべきは思い。
・情報の共有こそ、着実な前進。思いを伝え、賛同した者が行動すべき。

トップは状況を十分理解したうえで、指示内容を明確に伝える必要があります。指示内容については、後からデータで関係者へ送信すれば良く、まずは思いをマナの声で伝えることが大切です。トップの考えを聞き、賛同できる者が行動すれば良いのであり、そうでないメンバーで構成されていては、組織としての体をなしておらず、存在が無駄です。

5. 自ら、口に出している

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・今回の宣言が最後になる覚悟で臨んでいる
・目先のことに重点的に取り組む

目標について宣言する代表が「最後となる覚悟」と言ってしまうのは、希望的観測・意気込みを表現しているだけで、必ずそうするとは言っていません。「目先のことの重点的」に取り組むということは、長期ビジョンは後回し委だということを言っています。

このようなことを総理大臣自ら発言しているので、そうなってしまうのは当然のことです。

いつまでも同じ環境が続くのは、「終わらせよう」という意気込みだけを宣言しているからです。景気対策との両立については、少し先のことなので、まだ真剣に考えていません。不明確な事案ばかりが報道されるのは当然です。口に出すことは、まさしく宣言です。

●大切なのは計画・方策を「言い切る」こと

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・いつまでに、何を、どのようにするかの実行計画を言い切る。
・思いではなく、実現方策を言い切る。

口にしたことは実現します。そのように行動するからです。ですから「~になると良いなぁ」といったことは、いつまで経ってもそれは実現しません。「試験に合格したいな」と言うひとは合格できません。

「~になる」「~に合格する」と言ったことが、その通り実現します。

目標に辿り着くには

・目標設定が明確であること。
 明確でないと達成できたのか否かの判断もできません。
・目標に対して、現在地が確認できていること。
・メンバーと状況を共有できていること(思考が同じ方向であること)

いずれかに不具合があると、どれだけ優秀な人材が集まったとしても、烏合の衆になってしまいます。


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