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この一文が、誰かのお金の人生を変えてしまうかもしれない

お金の話を書く仕事をしていて、とてつもない責任を感じることがあります。お金は、人の人生を左右する道具でもあるから、その情報を発信することは、誰かの人生に影響してしまうのではないかと。


お金の話に対する、人々の渇望

お金の話は世の中に溢れています。ネットで検索すれば無数の記事やブログ、商品やサービスの情報がヒットするし、SNSを開けば節約、貯金、投資、保険、住宅、税金、給付金、相続……と、ありとあらゆるお金の投稿や動画が流れてきます。noteも然り。

本屋さんに行けばこれらの書籍が山のように平積みされています。テレビやラジオでも、経済番組に限らずお金の話はひんぱんに取り上げられます。

それでも、絶えることなくまた新しいお金の話が日々生まれては流れていきます。

それは、現代社会はお金なくしては、ほぼ生きていけないから。

お金があれば、いい暮らしができる
お金があれば、好きなことができる
お金があれば、夢が叶う
お金があれば、誰かを助けられる

きれいな言葉を並べればそんな表現になるけれど、
日常的にはほとんどの場合、それよりずっと現実的で小さなお金の話を、
私たちは求めています。

お金をうまく使いたいから、お買い得な情報が知りたい
お金をうまく手に入れたいから、お得な制度を知りたい、稼げる仕事を知りたい
お金をうまく増やしたいから、儲かる商品や投資のテクニックを知りたい

そんな現実的で小さなニーズにもれなく応えために、
数多のお金の情報が、
さまざまな形のコンテンツとして毎日のように生産され、
消費されています。

人々の生活を支えるために大量生産と消費を繰り返すさまは、まるで世界中で食料品が生産され、消費されていくようだとすら感じます。

社会が資本主義経済によって動かされている限り、私たちは常にお金の情報を渇望し、消費し続けていくのでしょう。

お金の情報は毒にも薬にもなる

食べ物は、その人の血肉となります。体にいいものを摂取していれば健康になる期待ができるし、体に悪いものばかり食べていたら病気になるリスクが高まってしまう。

お金の情報も同じです。

たとえば、使っていないサービスを解約して固定費を削減しましょう、という話を読んで支出を減らすことができれば、貯金が増えるかもしれません。家にある不用品はフリマアプリで売れるという話を読んでやってみたら、収入が増えるかもしれません。

しかし、かりに節約するにはひたすら食べるのを我慢して食費を削減すべきだという話があったとして、その通りに我慢し続けたら飢えてしまいます。預金金利は低いからすべての資産を投資に充てたほうがいいという話があったとして、慣れていない人が貯金を全部投資につぎ込んでしまったら、目減りしてしまうリスクもあります。

偽物の儲け話や詐欺に遭ったら、生活がままならないほどお金を失ってしまう恐れも無きにしも非ずです。

アクションを起こすのは本人だとしても、どんなお金の情報に出逢うかで、その人の人生が変わってしまうこともあり得ます。

そう思うと、お金の話は、一文一文が受け取る一人一人の人生の1ページになる可能性もあるわけです。

「お金は経済の血液」といわれることがありますが、
お金を使ったり、貯めたり、増やしたりするきっかけになるのだとしたら、
お金の話は、お金という血液に栄養を与えたり、スムーズに流れるように促す薬のような存在といえるかもしれません。
そして、一歩違えば毒になることも。

人から人へつながる、お金の話の影響力

もし、お金の話を受け取った人がお金を節約して家族のために使ったら、家族の生活が変わるかもしれない。
浮いたお金で何かを買ったら、他の人の収入になるかもしれない。

そうやって、受け取った本人から他の人の人生に作用していくことだってありえます。

お金の話を書くとき、
「どんな方が読んでくれるのだろう」と受け取る人の顔を思い浮かべてみると、
その人の向こうにどこまでも、人がつながっていく世界が見える気がします。

そう思うと、この一文は読んでくれた人だけではなくて、その人と関わるあらゆる人のお金の人生を変えてしまうことだってあるのかもしれない。

そんな途方もない責任に押しつぶされそうにすらなります。

しかし同時に、願ってもいます。
「どうかこの一文が、ほんの小さな幸せのカギになりますように」と。

お金の話を書くだけでは、誰かにお金を渡すことはできません。その人を直接豊かにすることはできません。

でも、お金で幸せに近づく知のきっかけを、ほんの少しだけ与えることはできる。
お金の情報発信には、そんな力があると信じています。

だから、
どうか、正しく伝わりますように
どうか、心地よく伝わりますように
どうか、お金と前向きに付き合う後押しになりますようにと願いながら、
一文一文を大切に書いていきたいと思います。

加藤梨里(ファイナンシャルプランナー)


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