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好きなSF小説ベスト3

ついさっき「書きたいお題」というのを眺めていて、ちょっと気になったのが「#SF小説が好き」でした。

書斎の本棚に並んだ書籍を誰かに見られるのは、なんだか脳内の奥底にある自分だけの図書館を覗かれているみたいで気恥ずかしいものがあります。
とはいっても、今は大量にあった蔵書をすっかりすっきり処分してしまったんで。仕事でものした雑誌のバックナンバーを保存しておくための、IKEA製の書棚一台しかございませんが。

それでも、わたしの電脳図書館のいくつかの書架には、確実に「SF」のスペースが設けられています。なにしろ、小学生の頃には図書室にあった『少年少女世界SF全集』(あかね書房)はすべて読破しましたし、それに味を占めて『世界SF全集』(早川書房)に食指を伸ばし、英米の巨匠たちを平らげ、小松左京、筒井康隆、福島正実、眉村卓、平井和正と、それこそ手当たり次第に読み耽りました。
確か、漱石だの、子規だの、川端だの、三島だの、谷崎だの、寺田寅彦だの、司馬遼さんだのにハマったのは、そのずっとあと。完全にSFが読書体験のファーストゲートだったと思います。

わたしが大好きなSF小説を3つだけ挙げるとすれば以下です。
(これもまた自らの生き様を示すようで小っ恥ずかしいのですけれども)

まず一冊目は、アレクサンドル・べリャーエフの『両棲人間』。
これは7歳くらいの時分に読みましたかね。子ども心に強烈に刺さっています。
悲しくて、恐ろしくて、人の醜さというものをまざまざと見せつけられて、苦しくて、息ができなくなりそな場面があって、それでいて耽美だったりもして。
陸上と海、双方で生きられる青年が主人公なのですが、彼に感情移入し過ぎて頭がパンクしそうにもなりました。汚れた水桶の中に囚われる日々なんてもう最悪。子どもには刺激が強すぎる。
ちなみに、この作品は、同作家の『生きている首』から流れて手に取った一冊。ドウエル教授の哀切に触れて、やや耐性ができていたから乗り越えられたところがあったかも。ただね、哲学的な問いかけや人間に対する絶望みたいなものがあって、消化するのに痛みや苦しみを伴いましたけど、あの頃に読んでおいてよかったと今でも思います。
たぶん読んだのが大人になってからだったら、感じ方が違っていたかも。

次に挙げるとすれば、ベタかもしれませんが、光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』。これもまた小学生低学年で読んだ作品です。
今振り返ってみると、子どもには難解なテーマですよね(笑)。
高校生の時に文庫で見つけて再読しましたが、あんなもの、小学生がよく読了できたと感心したものです。よくやった、頑張ったよ、わたし。
特に後半からラストにかけての展開が、ね。
宗教とか、神とか、輪廻とか。そういったモノを強く意識するようになったのは、これがきっかけだったんでしょう。

そして最後。あ、もう最後ですか。
うーん、難しいけど、筒井康隆さんの『乗越駅の刑罰』を。
筒井さんの短編には不条理で独特の回しが際立つ作品が多いですよね。『走る取的』『猫と真珠湾』『最後の喫煙者』と挙げればキリがない。
もちろん長編も好きでした。『家族八景』から連なる『七瀬シリーズ三部作』。記憶が確かなら、当時NHKでドラマにもなっていて、主演が若い頃の多岐川裕美さん。あの頃は10歳くらいだったかなぁ。『ニューロマンサー』『カウント・ゼロ』『モナリザ・オーヴァドライヴ』のウィリアム・ギブスン、サイバーパンク三部作も好きですし、フィリップ・K・ディックも、ハインラインも、アシモフも好きですけれど、やっぱりラストは筒井さんで締めたいと思います。

あ、それと。
なぜだかわたしをフォローくださっている山木マヒロさんの、こちらの作品を、つい先日拝読させていただいて。
とっても不思議な魅力を感じました。こういうの大好物です。

ジュ。と消えてなくなるミッチ。ラリーをもっと続けたかったマナミ。なんだか胸を締めつけられました。
(なので敬意を表して。見出し写真は〝閃光〟が飛んできそうな青空で)


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