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ちょっとだけ嬉しかったこと

先日、某観光局さん主催のプレス向けイベントに伺ってきました。
いろいろ差し障りがあるといけないんで、どこの観光局さんかはナイショの方向で。また、文中、若干の脚色もお許しいただければなお幸甚です。

観光局さんというのは、例えば、イタリア政府観光局や韓国観光公社のように国単位で対外向けの観光広報を担ったり、ハワイ州観光局やブリティッシュコロンビア州観光局のように州単位、ニューヨーク市観光会議局やシカゴ観光局といった具合に都市単位でPRを行う組織もあります。
最近だと、香港政府観光局さんがテレビの5分番組枠をスポンサードしていたり、オーストラリア政府観光局さんもTV-CMを流されていましたね。
要は「日本人の皆さん、我が国、我が街に、もっともっと来てくださいね!」ということです。

通常そういったイベントには、その観光地を取り上げてくれそうなメディア関係者が招待されます。
一般的に多いのは出版社や雑誌媒体の編集者さん、ライターさん。次に新聞・業界紙の記者さん。テレビの方々も時折お見かけしますね。複数の媒体に跨って活躍されているフリーランスのジャーナリストさんも多いです。

ところが、今回わたしが伺ったイベントでは、もっとずっといろんなジャンルの方々がいらっしゃいました。
ブロガーさんやインスタグラマーさん、そしてユーチューバーさんといった皆さん。逆に我々のような紙媒体専門のオールドメディアはほとんどおらず、オウンドメディアの編集者さんやデジタル系メディアの関係者さんなどもたくさんおられました。何年か前からこの傾向はあったんですが、時代だなぁ、って。

でも、観光局さんからのプレゼンテーションがひと通り終わって、参加者同士の交流を兼ねた立食パーティとなった際、とあるインフルエンサーさんがご挨拶にいらっしゃいまして。名刺交換をさせていただいたら、とっても意外で興味深いお話を聞くことができました。

その方は「本を出版したいんです」とのこと。
最初は、若い方々が本を買うのかという部分に懐疑的で、しかもSNSで既にかなりの影響力をお持ちの方でしたので、なんでやねんと思ったのですが。彼女のお話を聞いたら、なんとなく納得できました。

曰く、デジタルはプラットフォームがいつなくなってしまうともかぎりません。TwitterがX(旧ツイッター)になり、Threadsが生まれたけれどもさほど振るわず、TikTokだって5年後10年後にどうなっているかなんて誰にも予想できません。
その点、ご自身の記事やコラム、エッセイなどが書籍になれば、カタチを成した実績として残ります。それに、日頃SNSに疎かったり、あまりご覧にならない層にも、ご自分が見聞きしたこと、旅した地で感じたことを、広くご紹介されたいんだとか。すごいなって思いました。

ウン十万規模のフォロワーさんがいらっしゃるんだから、出版社さんに持ち込めば全然イケるんじゃないですかね。だって仮にあなたのフォロワーさんの1割の方々が買ってくれたとしたらウン万部が売れるってことですよ〜。5%でも充分ヒット作の仲間入り。喜んで書籍編集者が相談に乗ってくれますって! ……なんてことを話してたら、それがどうやらおいそれとはいかないみたいで。畑違いの分野に対する尻込みといったら失礼かもですが。本を出すということに敷居の高さを感じられていらっしゃるご様子も見受けられました。

でも、絶対チャレンジしたほうがいい。
実際にコンテンツを拝見したら、映像や写真は素敵だし、内容もしっかりされてます。優秀な編集者さんにコンセプトを考えてもらって、なんらかのテーマ性を持たせて串刺しにしたら、お洒落なフォトブックができあがると思います。売れると思うけどなぁ。甘いかなぁ。
書籍編集は門外漢なんで、あまりテキトーなことはいえませんけれども。

でも、若い人が本や雑誌といったオールドメディアを「戦いの舞台」として興味を持ってくださっていることに嬉しくなりました。なんかもう紙媒体って、実は見向きもされていないんじゃないかと思ってたりしてたんで。

ていうか、そのインフルエンサーさんとは、ほとんど立ち話レベルの会話しかできなかったんで、詳しくはお聞きしていないんですが。
よく耳にするのが、マーケティング会社さんなどからの依頼でお仕事(例えば、実際の使用体験を通して商品をPRするとか)を受けると、フォロワー1人に対して2円とか3円とか貰えるんですってね。つまり、10万人にリーチすれば20〜30万円、3桁万人なら200万円オーバーということです。
いいギャラいただいてるんだなぁ。
決してこれは皮肉ではなく、皆さんがあらゆる手段を講じて、工夫を凝らして、フォロワーを増やしたいんだと思う気持ち、わかるような気がします。

まぁでも、そういう生臭い話は置いといて。
いろんな方々が、いろんな手段で以って、今も誰かに情報を届けているということに素直に感動しました。そして、重ねて申し上げますが、紙媒体に対してもリスペクトをいただいていることに感謝です。

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